帰り道のハリー。~全国39ヶ所!HARRY TOUR 2016 “TURNING TIME AROUND”【横山シンスケ連載】

2016.10.1716:00

HARRY

仕事の帰り道。僕はハリーやストリート・スライダーズをよく聴く。
ハリーの歌声は仕事の帰り道に聴くのにピッタリだ。
別にサラリーマン応援歌をよく歌うアーティストでもない。むしろ昔からそういう応援歌とか他人を励ますような歌から一番遠くにいるアーティストだ。自分の私的な気持ちや自分個人の世界を歌にする事の方が多い。
でもそのハリー独自の世界とあのハスキーで素晴らしい歌声にいつも仕事の帰り道に癒されている自分がいる。
昔、渋谷陽一がストーンズの世界感を一言で表現すれば「疲労感」だと言った事があるが、その感じに近い。
ハリーの曲にがんばれとか、明日を信じてとか、そんな歌はほとんどない。ごくごく自分個人が思ってる事や自分に見えている景色を歌ってるだけだ。でもその歌の中にどこか聴いている僕らが共有できる疲労感や苦しみがいつも漂っている。そんなどこか疲れや痛みをともなっているハリーの歌声は仕事の帰り道の僕にあまりにも優しい。

ハリーは1980年にザ・ストリート・スライダーズを結成し、83年にスライダーズでメジャーデビューした。

ストリートスライダーズ 1st アルバム「Slider Joint」のジャケ

ストリート・スライダーズ 1st アルバム「Slider Joint」のジャケ

当初はストーンズの影響を色濃く受けた横ノリでルーズなロックンロールバンドサウンドで、日本では決してコマーシャルな音楽ではなかったが、ボーカルギターのハリーと当時本当に綺麗過ぎて女のコと見間違えられる事もあったギターの土屋“蘭丸”公平というフロント二人の派手な衣装とメイクのヴィジュアルが妖しく美しくセクシーで、そのたたずまいがとにかくカッコよく、僕ら男のロックファンだけでなく、女のコ達も即座に飛びつき、すぐに人気バンドとなった。時代はヴィジュアル系という言葉すらまだ無いバンドブーム前夜で、その派手なルックスと武道館もすぐ埋めてしまう凄い人気で硬派なロックファンから誤解される事も多かった。
でもスライダーズ自体は昔からブレず一貫していた。
自分達の愛したロックンロールに忠実で、ストイックで、多くを語らず(ハリーは最も喋らないミュージシャンとして有名だった)、群れる事を嫌い、始まりだしたバンドブームに対し「オイラの世界を変える気はない、自分のロックンロールをやるだけさ」と歌った。
スライダーズは活動を続けていく中、詞も曲もどんどん洗練され独特の素晴らしい世界を築いていった。その研ぎ澄まされていくワン&オンリーな存在に誰もストーンズフォロワーなどと言わなくなった。そして硬派な男性ファンも女性ロックファンも最後まで魅了し続け、ロックンロールバンドの美学を貫いたまま2000年に武道館ライブで解散した。

その後、ハリーはひとりギタースタイルで幾つかのイベントに出たりランダムに活動を続けていたが、3年後に満を持してソロデビューアルバムを出しバンドスタイルでの活動をずっとコンスタンスに続けている。

ハリーのソロを「変わらないカッコよさ」とか「相変わらずシブい」とか言う人も多いが、新譜を聴いたりライブを観たりしてると僕はハリーがどんどん変化しているように思う。サウンドやリズム、唄い方も今までになかったものを取り入れている。歌詞もスライダーズ時代なら絶対に使わなかったような言葉やユニークな表現がどんどん増えてきている。
ライブのスタイルもよく変化する。メンバーを変えながらの色んなバンドやユニットスタイル。ひとり弾き語りスタイル。そして3年前には旧友スライダーズのベースのジェームスとドラムのズズを迎えてのバンドスタイルで往年のファンを喜ばせたりもしている。
ハリーは歳を重ねるにつれどんどんシンプルで自由になってきている。昔と同じように自分のやりたい事と自分の世界を守り続けながらもいつも新しい事にチャレンジしている。世間の「昔と変わらないハリー」のイメージとは違う。ハリーは今どんどん変化してる最中なのだ。

今月からハリーとサポートギターに五十嵐”Jimmy”正彦を迎えてのツインギターツアー“TURNING TIME AROUND”が始まった。
ハリーファンはみんな驚いたが3ヶ月でなんと日本中を39ヶ所もまわるツアーで、ハリーのライブペースを知ってる僕らから見たら今までなら絶対あり得ない驚愕のスケジュールだ。ここからもハリーが今どんどん変化している事。よりシンプルに自由にそしてチャレンジングになってきている事がわかる。
ほぼ日本全国まわるようなツアーだからこれを読んでる皆さんの住んでるとこやすぐそばにも来るし、最後は12/18にハリーのホームでもある下北沢ガーデンでファイナルだ。

評判も凄ぶるイイ。今回はスライダーズの曲もガンガン出てきてるようで、何より時折ハリーの笑顔まで見れる(珍しい)らしい。それを目撃しない訳にはいかない。

僕も帰り道だけじゃなく出かける時もハリーを聴いてみよう。じゃないと今のハリーに追いつけない気がする。

HARRY TOUR 2016 " TURNING TIME AROUND"

2016年12月18日(日) 下北沢 GARDEN
17:00 開場 / 18:00 開演
出演:HARRY[Vocal,Guitar]、五十嵐 “Jimmy” 正彦(THE EASY WALKERS)[Support Guitar]
10月22日(土) SALE

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横山シンスケ

お台場のイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」店長・プロデューサー。その前10年くらい新宿ロフトプラスワンのプロデューサーや店長。スライダーズの好きなアルバムは「スクリュードライバー」。ハリーのバラードが特に大好きでソロもスライダーズ時代も全部好き。
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