アーティスト名読み間違い問題。【横山シンスケ連載】

2017.07.2215:00

横山シンスケ

僕は今こんなモノを書くコラム連載をしているクセに、学生時代まったく勉強してこなかったので漢字がメチャクチャ苦手である。たまに僕のコラムが読みやすいと言われる事があるが、それは単に簡単な漢字とひらがなしか使わないからだ。そして更に、読めない漢字熟語とかを自分の勝手な間違い解釈を正しいと思い込んで、誰かに指摘されるまで気付かず平気で使ってしまう事が昔からよくある。

高校時代、友達の恋の悩みを聞いてあげた時、その悩む友達に向かって最後にカッコつけて「恋は網膜だからね」と言った事がある。「恋は盲目」を僕はずっと「恋はもうまく」と読むと思い込んでいたのだった。次の日それは一瞬にして学年中に広まり、僕は卒業まで「恋の網膜男」と呼ばれた。
いい大人になってからも、ある仕事でイベントの司会をやってて、刀の殺陣のパフォーマンスショーのグループを紹介する時に「さあみなさん!これからここで刀の“さつじん”ショーが始まりますよ!」と、「殺陣」を「さつじん」と読むのだとこれまた見事に思い込んでて、おもいきり大声でアナウンスし、出てきた殺陣パフォーマンスの方々に「刀で殺人ショーが始まるって、あんた頭オカシいのか?」と呆れられ、ひたすら謝り続けた事がある。
それで反省して漢字を勉強すればいいのだが、結局勉強する事も覚える事もなく、今も一定の周期で人前で勝手な思い込みで間違えた熟語の読み方で堂々と喋り、物凄いレベルの恥をかいている。そしてそれはアーティスト名やバンド名でも、何度もやらかしている。僕のアーティスト名の勝手な解釈での読み間違いで、歴史に残るレベルで大爆笑されたものを二つ挙げてみる。

凛として時雨=“りんとしてつゆ”
ヘンなバンド名だなあ、と思ってたがヘンなのは僕だった。しゃべった人達に爆笑されながら間違いを指摘され、じゃあこれは何と読む?とその一人が紙に「梅雨」と書いたのを見て僕が「うめざめ」と読んで、みんなの笑いすら止まりドン引きさせた事がある。

欅坂46=“レモン坂46”
そもそもレモンは「檸檬」で、似てるが文字すらも文字の数も何ひとつもあっていない。さすがの僕も漢字一文字でレモンとは読まないが、きっとフレッシュなフルーツみたいなイメージのグループという秋元康による当て字だと、デビューした時に本気で思い込んでいた。その当時、知人のアイドルおたくの前で思い切り「レモン坂すごいね」と言ってた事があるが、なぜか指摘されなかった。最近になってその知人にこの間違えていた話をしたら、僕があまりに自信持ってしゃべるので、レモン坂というアイドルグループが本当にいて、それをアイドルおたくとして自分が知らないと恥ずかしいと思って、知ったかぶりで相づちを打っていたんだそうだ。よく会話が成り立ったな。

書いてたら他人の読み間違いも色々思い出してきた。

横山シンスケ

色々思い出してきた。

昔、ダイヤモンド☆ユカイがボーカルをつとめるバンド、RED WARRIORS(レッド・ウォーリアーズ)が初めて音楽番組の「夜のヒットスタジオ」に出た時に、司会の芳村真理は僕みたいに自信たっぷりに「初登場です!レッド・ウォーリーズ!!」と呼び込んだ。不良バンドでカッコつけて出てきたのに「ウォーリーをさがせ」みたいな紹介をされ、メンバーがブチ切れ、スタジオは凍りついていた。

ある知り合いの音楽評論家の方(名誉のため名前は伏せます)がBRAHMANが出てきた時、僕に「これ、ブレーメンって読むの?」と聞いてきて、パンクバンドなのに童話の音楽隊になってますよ、と言うと、「じゃあバハメン?」と聞いてきて、それもう海外の違うバンドになってますよ、音楽評論家生命を絶たれますよ、と何度も訂正した事もあった。

こうやって自分や他人のアーティスト名読み間違い問題を書いてたら、だんだん面白くなってきたので、まわりの人達にもアーティスト名の読み間違えていた事がないか聞いてみたら面白い読み間違いがいくつか挙がってきたので紹介する。

モーニング娘。=“モーニングむすめまる” 22歳 男性 アルバイト
アイドルグループの名前がなぜ漁船の名前みたいになってたのか。聞くと本人はAKBファンで、中学時代に同じAKBファンの友達たちとライバルでもあるモー娘の存在を雑誌で知り、その仲間達みんなでこう読むんだと思い込んでみんなでこう呼んでいたそうだが、ある日テレビで初めてモー娘を見た時に「まる」を付けずに紹介されてたので、みんなで衝撃を受け「じゃあこの“。”は何なんだ!」と憤ったそうだ。分かる気もする。

D’ERLANGER=“ダレンジャー” 26歳 女性 会社員
デランジェは僕らバンド名読み間違い業界でもかなり上の方に入るバンドで、「デリンジャー」や「ディンジャー」とかが多いが、「ダレンジャー」という戦隊ヒーローな斜め上な読み間違いは初めて聞いた。でもV系のアーティストの方々はみんな横文字表記で確かにわざと難しい読み方とかにするアーティストも多いので、この女性も合ってる自信がなくて口には出さなかったようで、いつか気付き、大恥は免れたそうだ。

TUBE=“つべ” 16歳 男性 高校生
今回一番爆笑した。身もふたもない。理由を聞き納得したんだが、YouTubeをネットスラングで「ようつべ」とよく言うが、そのTUBEを“つべ”と読ませるようなフザけたユーチューバーとかだと思ったそうで、TUBEをTVで初めて見た時に真逆だったので驚いたそうだ。そりゃ驚くよ。そうか、これくらい若いともうTUBEを知らないのだな。

今回ほぼ音楽コラムではなくなってしまったが、読み間違いや言い間違いがよく笑いのネタになったり、おかんメールみたいなのがヒットする理由も何となく分かった。人が何かを間違えただけでも、それは時にエンタメとしても成り立つもんなんだな。
そう言えば、僕が店長をやる店「東京カルチャーカルチャー」に届く荷物もいまだに「東京カルチャーセンター」と書かれた荷物が沢山来るなあ。

横山シンスケ

渋谷のイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」店長・プロデューサー。その前10年くらい新宿ロフトプラスワンのプロデューサーや店長。司会やライターもやる。むかしスターバックスで「Tall(トール)」が読めず「テール!」と大声で注文し、一緒にいた友達に「スープかよっ!」とツッこまれ大恥をかいた。
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