ロックンロールの正体。ザ・マックショウ【横山シンスケのライブオアダイ】連載:第6回

2017.12.0719:00

大好きなポール・マッカートニーの来日公演は毎回必ず観に行っている。
とにかくビートルズが大好きで、ポールも大好きだから、どの曲のライブ演奏も最高なのだが、実はいつもある1曲が演奏されるのを毎回一番に願い待ちわびてる。“I Saw Her Standing There”だ。
ビートルズのファーストアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』の1曲目に収録されている曲で、とにかくシンプルでカッコいいロックンロールナンバーだ。

初来日の時、ポールがこの曲を披露した時の感動は忘れられない。
初めて生で見るポールが、ソロ曲はもちろん、惜しみなくビートルズやウイングスのロックナンバーやバラードを次々と披露していき、集まったみんなはひたすら興奮したり泣いたりしていたが、この“I Saw Her Standing There”の演奏が始まった途端、その場の空気が変わった。
東京ドームは明るく軽やかな楽しいダンスホールのような空間になり、その陽気でゴキゲンなロックンロールのリズムに合わせて、みんなが自然と腰を振って踊り始めたのだ。
若者はもちろん、そこにいた年配の人達も、親に連れて来れられた小さな子供達も、そこに集まったみんなが笑顔を浮かべ、頭や腰を振り、セクシーに踊りだした。

「そうか、これがロックンロールなんだ」。

その時、僕は初めてロックンロールの正体を見たような気がした。
ロックンロールはやっぱり「発明」だったんだ、と思った。
ロックンロールが目の前にその姿を現したような光景に、僕は感動して涙があふれた。

エレキのギターとベースがブルースの3コードをかき鳴らし、そこにドラムのハネた8ビートがのっかった時、それを聞いた世界中のすべての老若男女は、訳もなくワクワク、ドキドキしてしまい、なぜだか不思議と楽しい気分になり、セクシーな気持ちになり、自然と腰が揺れはじめて、踊りだしてしまう。
そんな魔法みたいな事ができるロックンロールって、本当に人類で最高の発明だと思った。

もう何十年も前のイギリスで生まれたシンプルなロックンロールの曲が、現代の遠く離れた極東の日本で演奏されても、そこに集まった何万人もの人種の違う人達全員が、陽気に腰を振って踊り出してしまう。
“I Saw Her Standing There”はそんな人類最高の発明、ロックンロールが、その正体を目の前に現したような、そんな神秘的で夢のようなひと時が体験できる。
だから、僕はポールのライブに行く度に、いつもその瞬間を待ちわびるようになったのだった。

 

ザ・マックショウは“ザ・ロックンロールバンド”だ。
それ以上でもそれ以下でもない。

その人類最大の発明、ロックンロールに魅せられ、ロックンロールのみを今も追求し続ける、ロックンロールの伝道師だ。今、世界で一番「ロックンロールバンド」というフレーズが似合うのはきっとザ・マックショウだろう。

14年前に初めてザ・マックショウを見た時に、「この手があったか!」と思ったのを憶えている。
そのルックスを見て、そのサウンドを聞いたら、ロックファンなら誰もが真っ先にデビュー前後の初期ビートルズと、永ちゃんのいた伝説のバンド、キャロルを彷彿しただろう。
僕も全く同じで、そう思ったんだが、それを本当にそのまま現世に正面突破で持ってきたバンドは今までいなかった。 それをザ・マックショウは正々堂々とやってのけていた。

そしてそうなると、次はビートルズとキャロルという、ベテランで耳も目も肥えた、ある意味「最も怖いロックファン」が集まる領域に足を踏み入れた事になるので、そんな怖いロックファン達から袋叩きにあうのでは?と思った。

でもザ・マックショウの凄いとこは、最初からその楽曲とセンス、そして演奏力や歌唱力も、非の打ちどころがない素晴らしいクオリティであった事と、その自らのバックボーンを、見事に完全なオリジナルへと化けさせていたとこだった。

自分達のルーツであるビートルズやキャロルなど、洋邦の初期のオリジナルロックンロールから受けたインスパイアと真剣に向き合い、本気で突き詰めた結果、その純粋なインスパイアは化学反応を起こし、ザ・マックショウの圧倒的なオリジナルティに変身し、逆に今までになかった「オーソドックスだけど一番新しいロックンロール」を現世に蘇らせたのだった。
だから、何か文句のひとつでも言おうとしてた耳の肥えたロックファン達も、ザ・マックショウのそのロックンロールに対する愛と情熱、そしてロックンロールに自分達のすべてを捧げた魂のパフォーマンスに心を動かされ、みんなザ・マックショウのファンになっていったのだった。

オールドスクールなロックンロールスタイルに対するザ・マックショウのこだわりは本当に凄い。
日本にもロックンロールがやってきて、熱い時代だった昭和という年号を、自分達の中でまだ終わらせていなく、ザ・マックショウのインフォメーションに平成は現れず、すべて、昭和が1年1年付け足され続けている。だからザ・マックショウとファンの中では、今年は昭和92年だ。

歌詞は全てがオールディーズに出てくるような、飾りけのない恋や失恋、パーティーやバイクや車の事、そしてロックンロールへの憧れという、いつまでも年を取らない普遍的な若者の青春グラフティのみが歌われ続ける。
格好は「革ジャン、グラサン、リーゼント」というロックンローラーの三種の神器。
そしてサウンドは、どストレートな、どロックンロールだ。

この21世紀の始めに、そんな時代錯誤なありえないスタイルで衝撃的に登場したザ・マックショウだが、僕は正直、ザ・マックショウはきっとすぐにそのスタイルに飽きて、服装とかも普通に変わっていき、サウンドも、ビートルズみたいにサイケになったり実験的になっていったりどんどん変化していくんだろうなと、思っていた。

そしたら驚いた事に、ザ・マックショウは結成から15年経った今も、革ジャン、グラサン、リーゼントを貫き続け、あの娘とのドライブを歌い続け、サウンドは変化どころか、更にオリジナルのロックンロールのみを追求し、そこを深堀りし続け、その同じ場所にとどまったまま楽曲のクオリティをガンガン上げ続けているのだ。これは想定外だった。

こいつら本気で、本物だったんだと僕は思った。
ザ・マックショウは本物のロックンロールの囚われ人だったのだ。

 

『DRIVE ME CRAZY 4』

すでに4枚出ている、僕の大好きなザ・マックショウのノンストップミックスCDシリーズ『DRIVE ME CRAZY』も、そんなマックショウのロックンロールに対するこだわりを象徴している。
約60分全曲がなんと1トラックのみに収録されており、シャッフルや楽曲の頭出しが一切できない。しかも全曲がロックンロールダンスチューンだ。現在の音楽の聴き方に対して、明らかにわざと逆走している。
でもそこには、一度聞き出したら1時間ノンストップで聴き続けて踊り続けてほしいというザ・マックショウの思いと、でもジャンルを「ドライブミュージック」としているとこに、「ただのロックンロールだから、ドライブでもしながら気楽に楽しんでほしい」という、ザ・マックショウのロックンロールに対する二つの大切な思いを感じ取る事ができるのだ。
 
そして、ザ・マックショウの最大の魅力はというと、やはりライブという事になる。

■今夜だけが:ザ・マックショウ

結局、ロックンロールバンドというものはライブが命で、ライブでお客さんを盛り上げてナンボだ。
ロックンロールのライブは、サウンドがシンプルな分、ごまかしもきかないし、同時にダンスパーティーを盛り上げる為のエンタメ力と、色気とカッコよさも求められる。
ビートルズもキャロルもそもそも最強のライブバンドだった訳で、その演奏力と、客を惹きつけるパフォーマンス力や魅力がズバ抜けていたのだ。
ザ・マックショウのライブは、その伝説のロックンロールバンド達の一番大切な部分を見事にきちんと継承している。 だからいつでも圧倒的で、ゴキゲンに楽しめる。

その強力な楽曲と演奏力と、色気とカッコよさで、彼らがテーマとする「楽しく踊れるダンスミュージックとしてのロックンロール」な空間を、集まった歳をとらないテディボーイ&ハニーエンジェルのお客さん達と一緒に創り上げ、21世紀の現世に、みんながまだ見た事もないような本物のロックンロールライブパーティーを見せつけてくれるのだ。

この年末にザ・マックショウのツアーファイナルライブが渋谷で行われる。
その夜、“ロックンロール”はきっとそこに、その正体を現すだろう。

■恋のスピードウェイ:ザ・マックショウ

ザ・マックショウ ツアーファイナル・ワンマンコンサート

12月17日(日) TSUTAYA O-EAST

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横山シンスケ

渋谷のイベントライブハウス「東京カルチャーカルチャー」店長・チーフプロデューサー。その前10年くらい新宿ロフトプラスワンのプロデューサーや店長。外部イベント企画、司会、ライターもやってます。元ネタを探すのが昔から趣味で、そういう聴き方でもザ・マックショウは最高に楽しめるバンドなのでおススメです。
横山シンスケ ツイッター:https://twitter.com/shinsuke4586
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