永遠で最高な日本のロックルーキー LUNKHEAD【横山シンスケのライブオアダイ】連載:第10回

コラム | 2018.02.03 15:00

LUNKHEAD

LUNKHEADがCDデビューして、15年になると知って驚いた。
そうなのか。ランクが出てきてもうそんなに経つのか。

ランクを初めて聞いた時の驚きと感動は今も覚えている。

そのサウンドには、90年代初頭に出てきた幾つかの優れた日本のロックバンド達からのインスパイアを感じさせた。
そしてランクは、そのインスパイアを完全に自分達のオリジナリティへと昇華させた“ 新しい日本のオリジナルロック ”だった。

僕のような、40代以上のおっさん達が10代の頃に聞き始めた日本のロックバンド達は、圧倒的に洋楽のロックの影響化にあった。
当たり前だ、それまで日本のロックというものは存在はしていたが、まだそれは「型」として定まっていなかったし、そもそもポピュラリティを全然手に入れていなかった。
80年初頭にロックバンドになったRCサクセションが一般にも人気を集め始め、やっとその「型」が出来始め、BOØWYやブルーハーツなどが、その「型」を進化させていったのだ。

ランクを聞いた時、当然そこに洋楽のロックの影響もあるのだが、そこで鳴っていた音と、英語がほぼ全く出てこない日本語詞は、その先人達が作ってきた80年代を経て、90年代に新たに生まれてきた本物のロックバンド達が完成させた「日本のロック」という土台の中で育ち、そこからまた新しく生み出された“ 純正の日本のロック ”だった。
洋楽へのコンプレックスなどまったく無い。日本オリジナルの本物のロックは、すでにここまで進化したんだと、僕はとても感動したのだった。

そんな純日本製ロックバンドのルーキーだったランクヘッドも、デビューからまもなく15年が経つ。

ランクの魅力と言えば幾つかある。
「バンド内戦争」と呼ばれる、まるで4人で戦い合っているかのような、衝動的かつ抜群の演奏力による鉄壁のバンドサウンド。
小高の、聞く人の心を直接突き刺してくるような、あの切なく素晴らしい歌声。
印象深いフレーズとリフで楽曲を彩る、日本屈指のギターバンド。
ほかにもランクには色んな魅力があるが、僕が今のランクで特に魅力を感じているのは、小高のその独特な詞の世界だ。  
小高は昔から「生」を正面から赤裸々に歌い続ける。
「なぜ生きているのか?」と自問自答しながら、悩み苦しむ弱い自分を歌い、「それでも生きていく」という強がる自分を歌う。小高はランクを聞いている僕らと同じ、等身大の自分を、小高にしかできない言葉のセンスで、いつもさらけ出して歌う。
そんな歌詞の世界も、そのソングライターが歳を重ねていくと、自然と同世代や、大人が共感するような歌詞に変化していくのだが、小高の歌詞は不思議な事に、全く歳を取らない。今も青臭い悩みや苦しみと葛藤し、でも生きてる事の素晴らしさを若者と同じように真っ直ぐに歌い続けている。どんどん若返っている気さえする。小高自身も、「いつまでも青臭い中二でいい」という発言をよくしている。

■LUNKHEAD「うちにかえろう」

そうか、だからランクは今も新鮮で、歳を取らないんだと思った。
だから15年経ったと知った時に僕は驚いたのだろう。
今のランクのキラキラしたサウンドも、美しいメロディも、そして歌われる歌詞も、中堅バンドとは思えない瑞々しさに満ち溢れている。 去年から続いた全国12ヶ所に及ぶランクと色んなバンドによる対バンツアーで、ランクを知らなかった若いロックファン達がランクを見てファンになり、若いファンが急増しているという理由もそこにあるのかも知れない。

ランクは今までも、そしてこれからも、永遠で最高な日本のロックルーキーなのだ。 その大絶賛となった「燃えよ!対BURN!!!ツアー」のファイナルとして、ランクが久々のワンマンライブをまもなく行なう。
今までのランクの集大成と呼べるような、ベストな選曲でたっぷりとやるようだ。

「今が最強」といわれる、ランクの最高のベストライブに必ずなる事だろう。

 

■LUNKHEAD VIDEO CLIPS vol.3 ダイジェスト

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横山シンスケ

渋谷のイベントライブハウス「東京カルチャーカルチャー」店長・チーフプロデューサー。その前10年くらい新宿ロフトプラスワンのプロデューサーや店長。外部企画、司会、ライターもやってます。ランクはホントいいバンドですよね。もっともっと沢山のロックファンにカッコいいランクの事知ってもらいたいですね。
横山シンスケ ツイッター:https://twitter.com/shinsuke4586
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