兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第6回[4月の巻~後編~]

コラム | 2018.05.07 15:00

イラスト:河井克夫

音楽などのフリーライター兵庫慎司が、自分が観たライブ等について何か書く連載、6回目。4月前半は5本でしたが、後半はフェス2日を含め11本、30日はダブルヘッダーでした。

4月17日(火) FSBM たかしの今夜も最高!! @LIQUIDROOM

サンボマスタープレゼンツ……いや、タイトルからすると山口隆企画ということか。この日の本人の発言によると、2017年12月3日の日本武道館という大舞台、がんばったから、その反動的に、わりと趣味に寄った好きなことをやれるイベントを打ちたい、というような思いから開催を決めたようです。
リキッド2Fのロビーには下北沢のアナログレコードショップ、フラッシュ・ディスク・ランチ・曽我部恵一経営のCITY COUNTRY CITY・DISC SHOP ZEROの3軒が出店。バンドのライブはサンボマスターとサニーデイ・サービス、加えてDJでGOING UNDER GROUNDの松本 素生、トークゲストでTOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美が出演。
最初にサンボ近藤&木内のDJ、次に渡辺俊美・山口隆・進行の渡辺祐の3人によるトーク・コーナー。で、この日は3人編成だったサニーデイ・サービスのライブがあって、松本 素生のDJがあって、最後にサンボのライブ、という構成でした。
どのアクトも楽しかったが、特にサンボのライブ。ちょっとびっくりした。爆音じゃないしギターが歪みまくってもいない、曲間の山口の語りやアオリも少なめ。ていねいに演奏して曲を聴かせていくという、サンボ的には相当めずらしい、というかこんなふうにやるの初めてじゃないか、というステージだったのだ。で、それがめちゃめちゃよかったのだ。音や言葉が細部まで聴こえて、その分このバンドの楽曲の美しさやせつなさが浮き彫りになっていて。
今後もこういうライブの方がよくない? こういうやりかたを普段からデフォルトにした方がよくない? と、素直に思いました。

4月21日(土) フラワーカンパニーズ ゲスト:田島貴男 @新宿 LOFT

フラワーカンパニーズが長年行っている対バン企画『シリーズ・人間の爆発』、今回はORIGINAL LOVE田島貴男が、精力的に全国を回っている「ひとりソウルショウ」(ひとりで弾き語りをやるんだけど弾き語りと言うにはダンサブルでエネルギッシュだからそういう呼び名を考えたのだと思います)で出演。
自分のブログにこの日の模様を書きました。こちらです。
田島貴男が歌った「深夜高速」のすばらしさに、聴けてよかった、来てよかったとしみじみ思いました。
なお、写真は終演直後です。

4月22日(日) 岡崎体育@Zepp Tokyo

『JINRO presents 岡崎体育ワンマンツアー 密着!「謎のメンタリストRYOMAを追え!」』という長いタイトルの全国ツアーのファイナル。
昨年10月~11月のワンマン・ツアーも観たが、その時にはなかった新曲あり。しかも、これまでの、岡崎体育が曲で笑わせる時のパターンの中になかったやつ、つまり新しいフォーマットのやつだった。きっとこれから春夏のフェスとかでどんどんやっていくだろうから、詳しくは書かないでおきますが、観ながらその姿勢に感心してしまった。「この人ほんとクリエイティブだなあ」と。

4月23日(月) 小沢健二 @東京国際フォーラム ホールA

36人編成でライブをやることが前もって明かされていたライブ『春の空気に虹をかけ』、東京3公演・大阪1公演の初日。満島ひかりがゲストでなくメンバーのひとりとして……いや、メンバーのひとりじゃないな、ほぼフロントに小沢健二と並んで立つフォーメーションだったし、全体の1/4ぐらいリードボーカルをとっていたので。とにかくそのような重要な役割を担っていたことと、ギターが80年代から活躍するプロデューサーで、かつての小沢の作品でもギターを弾いていた土方隆行だったことに、まずびっくりしました。
あと、服部隆之がタクトを振る大所帯のストリングス&ホーンズの音が加わっていることによって、曲がいっそうポップかつ華やかでドラマチックになっていた、要はわかりやすくなっていたのがとてもよかった。もしかしたら高尚な感じになる可能性もあるかも、などと勝手に思っていたので。
2010年、2012年、2016年のツアーと2017年のフジロックも観ているが、今回がもっとも外に向けて開かれているライブだったと感じた。

4月24日(火) 海北大輔 @下北沢ラ・カーニャ

38歳の誕生日に38曲歌います、という趣旨の弾き語りライブ。いや、それ、さすがにお客さんしんどくないですか? いくらあなたの生歌がすばらしい、というかすさまじいとは言え。100人足らずの小さなハコでお客さん全員座って観るとは言え。
が、本人もそう思ったようで、フルコーラス歌わないでどんどん次の曲に行く、しゃべりもあんまり入れないで次から次へと歌って行く、というスタイルで押し切るライブだった。で、2時間半で終わった。弾き語りなのに、歌の洪水を浴びているような音楽体験でした。
最後にLOST IN TIMEの大岡源一郎が、バースデーケーキを持って登場。急遽ふたりで1曲追加、というサプライズもありました。
なお、写真は「今だけ撮ってもいいしアップしてもいいですよ」というコーナーが、最後にあったので、撮ったもの。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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