「約束の地へ。」THE MODSデビュー35周年日比谷野音ライブレポート

2016.10.2121:00

THE MODS

2016年10月15日(土) 日比谷野外大音楽堂
THE MODS TOUR 2016 “HAIL MARY” Final
TEXT:横山シンスケ
PHOTO:斉藤ユーリ

今年の春、ボーカルの森山のヒザのケガにより、THE MODSは全国27ヶ所にもおよぶデビュー35周年ツアーを3公演終えた時点で、野音以外の残り23公演をすべて中止や延期にした。
楽しみにしていた僕らファンも当然残念に思ったが、何よりモッズメンバー自身の無念さと悔しさはコメントやブログからも痛い程伝わった。
と言うのも、森山のケガによるライブの延期は今回が初めてでもない。

以前この連載でも書いたが、解散も休止も一度もないという意味でモッズは日本で一番息の長いロックバンドで、35年以上1年も休む事なくライブ活動を続けている。しかも激しいライブパフォーマンスだ。森山はデビュー当時から現在も重たいギターを肩にぶら下げたままステージを動きまわり、ジャンプしアクションしながら歌う。よく考えたらそんな無謀なスタイルを40年近く続けてるボーカリストはいない。続けられてた事自体が奇跡のようなものだ。体にガタがこない訳がない。

ここ近年は、森山やメンバーたちからも「終わりは必ずくる」「今日のライブを目に焼き付けてほしい」という発言が増えていた。だから毎年当たり前のようにライブに通っていた僕らファンたちにも一度一度のライブに対する重みと、「いつかは終わる」という恐怖と寂しさが積み重なってきていた。
そんなさなかのツアーの中止・延期の発表だった為、ファンたちの間でネガティブな憶測も飛び交い始めていた。でも僕らにはひとつだけ希望があった。ツアー最終日の日比谷野音だけは中止も延期も発表されないままだったのだ。

モッズファンでなくても古い日本のロックファンなら34年前にモッズが壮絶な豪雨の野音で今も伝説として語り継がれるライブをやった事を知っている人は多い。
雨で機材や楽器が次々と壊れ、地獄のような環境になってもずぶ濡れになったお客さんは一人も帰ろうとせず、代表曲でもある「TWO PUNKS」では大合唱が巻き起こった。
その日以来、「モッズの野音」というのはファンにとってもモッズにとっても特別な場所となり、モッズも重要な節目となる時にはよく野音でライブをやるようになり、いつからか「約束の地」と呼ばれるようになっていた。だから野音だけがモッズのライブスケジュールに残ったままなのを見て、僕らはモッズがそこに賭けた事に気付き、僕らもそこに賭けたのだった。

THE MODS

そしてその日はやってきた。

即日完売だった為、チケットを手に入れられなかった沢山のファンたちが野音の外に漏れる音を聴くため、そして無事森山が今夜本当に復活できるのかを確かめるため、野音の外にあふれかえっていた。会場の中の超満員のお客さんのボルテージも始まる前から本当に凄まじかったが、同時に「何かが起きてしまうのではないか?」という張り詰めた緊張感も同じくらいあった。

そんな中照明が消え、地鳴りのような歓声が巻き起こり、始まりを知らせるオープニング映像が流れる中、くしくも次の日、野音でワンマンライブをやる、森山とは旧知の仲でもあるザ・マックショウのコージー・マック(岩川浩二)が前説で登場。「森やんが地獄から帰ってきました!今夜オレはモッズです!」とあおりまくり、そして遂にモッズの4人が登場しライブは始まった。

THE MODS

[左上から]森山達也(Vo./Gt.)、苣木寛之(Gt.)、[左下から]北里晃一(Ba.)、佐々木周(Dr.)

「COUNTER ACTION」「壊れたエンジン」「MAYDAY MAYDAY」といきなりたてつづけに演奏。僕たちファンの心配は一瞬で吹き飛び、そこには今までと同じ最高のロックンロールライブを見せてくれるモッズの4人がいた。

“始まるぜ、やっとお前に会えるんだ”“よみがえれオレの壊れたエンジン”“弾は残り一発”。今まで聴きなれた歌詞がすべて今夜の為に作られた曲だったようにシンクロしていちいち胸に響く。

3曲終わったところで森山が挨拶。右ひざのリハビリ中に左ひざも痛めてしまい、なんと先月、左手首まで骨折していたという事を初めて告白。会場全体が驚きの声をあげた。それでも諦めずにリハビリを続け復活できた事を森山自身も本当に嬉しかったのだろう。優しい笑顔で語り、同じ気持ちだった僕らもそれに精一杯の拍手と声援で応えた。

4曲目からは、ゲストキーボードとしてモッズや色んなバンドでも活躍している伊東ミキオが登場。名曲「TEENAGE BLUE」を挟みながら、今年発売された最新アルバム『HAIL MARY』から2曲披露。そうだ。本来この『HAIL MARY』リリースと35周年を記念した “HAIL MARY”ツアーが行われるはずだったのだ。あまりに特別な意味を持ってしまったこの夜のライブに、往年の名曲をたくさん聴きたくもあるが、最新アルバムの曲をたくさん演奏したことに、今回中止や延期になってしまった “HAIL MARY”ツアーに対する落とし前をキッチリつけようとしているモッズに強いプライドと男気を感じた。

THE MODS

森山の体がまだ完璧ではなかった事も関係あったのかも知れないが、ギターの苣木やベースの北里がメインボーカルをとる時は森山も必ずバックでギターを弾くが、この日は初めてステージから下がったり、そして意外だが、ほとんど見た事もなかったが、ミディアムテンポの曲でギターを弾かずマイクスタンド一本でボーカリストとして唄い、僕は今まではなかったこの二つのパフォーマンスが凄くよかった。

THE MODS

森山のいないモッズもバンドグルーヴは「さすが!」と唸るほど素晴らしかったし、「10代の時に作った曲」という紹介でマイク一本で唄いだしたブルージーな曲「BUNNY GIRL」は逆に今の森山に驚くほど見事にハマッってて、今後こんなミディアム路線も絶対続けてほしいと強烈に思ったほど本当に感動した。

この夜も、途中で森山から「マジで今日が最後になるかもしれない」「今夜の事を忘れないように」というような発言があり、会場全体に緊張と寂しさが張り詰めた瞬間が何度かあった。でも「LONDON NITE」や「LET’S GO GARAGE」などお馴染みのロックナンバーが始まると僕たちはいつものように叫び踊りまくったし、ずっとステージの袖でライブを見守っていたコージー・マックも途中、再びゲストで入ってきた。モッズもそれに応えるように熱いナンバーを何曲も惜しみなく披露した。それは僕たちもコージーもそしてモッズ自身も、この35年以上続いている奇跡のロックンロールパーティーを今夜で終わらせる訳にはいかないという思いがひとつになった光景だった。

THE MODS

3度目のアンコールに応え出てきた森山はおもむろにギターを弾き「TWO PUNKS」を唄い始めた。森山はもう最初だけでほとんど唄わなかった。集まった僕たちが何十年もライブでこの曲を一緒に大声で全部唄う自分たちの歌だから、もう唄う必要がないのだ。大声で歌いながら周りを見ると、同世代のいい歳の男も女もそして若いファン達もみんな泣いていた。本当にモッズは復活し、またみんなで「TWO PUNKS」を唄えた喜びを全員がかみしめていた。

最後の曲「他に何が」の前に森山は元気な声で「またどこかで会おう!」と言った。そして「約束の地」で約束は果たされて終わり、再びロールしはじめた。

THE MODS

2016.10.15 Sat.
THE MODS TOUR 2016 “HAIL MARY” Final 日比谷野外音楽堂 SET LIST

01.COUNTER ACTION
02.壊れたエンジン
03.MAYDAY MAYDAY
04.I SMELL TROUBLE
05.TEENAGE BLUE
06.4 BRONCOS
07.BUNNY GIRL
08.Rock-a-hula-billy(Vo.苣木)
09.POGO DANCING(Vo.北里)
10.WHY WHY WHY
11.ロメオとジュリエット
12.激しい雨が
13.LONDON NITE
14.KILL THE NIGHT

EN1
15.LOOSE GAME
16.GARAGE WONDERLAND
17.TOMORROW NEVER COMES

EN2
18.LET’S GO GARAGE(with 岩川浩二 from ザ・マックショウ)
19.HEY!! TRAVIS(岩川浩二)
20.STAY CRAZY(岩川浩二)

EN3
21.TWO PUNKS
22.他に何が

THE MODS TOUR 2016 "HAIL MARY" Round 1 振替公演

2016年11月28日(月) 東京TSUTAYA O-EAST
18:00 開場 / 19:00 開演
NOW ON SALE

2016年11月3日(木祝) 大阪BIG CAT
2016年11月10日(木) 高知X-pt.
2016年11月12日(土) 岡山CRAZYMAMAKINGDOM
2016年11月16日(水) 仙台darwin
2016年11月18日(金) 郡山#9
2016年11月22日(火) 富山MAIRO
2016年11月25日(金) 札幌PENNY LANE 24
2016年11月28日(月) 東京TSUTAYA O-EAST
2016年12月4日(日) 熊本B.9
2016年12月6日(火) 福岡DRUM LOGOS

関連リンク

RELEASE

ベストアルバム
「CAUTION FILE -THE MODS ROCKAHOLIC BEST2-」

(ROCKAHOLIC Inc.)
Blu-spec CD2仕様CD+DVD
NOW ON SALE

横山シンスケ
49歳。お台場のイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」店長・プロデューサー。その前10年間くらい新宿ロフトプラスワンのプロデューサーや店長。35年前のモッズデビュー当時から今も毎回ザ・モッズのライブに行き、いつもかなり前の方で泣きながら踊ってる。
東京カルチャーカルチャー:http://tcc.nifty.com/
横山シンスケ ツイッター:https://twitter.com/shinsuke4586