VANIRU、単独公演でLEONEILがしゃべった!叫んだ!「踊れーっ!!」

ライブレポート | 2016.12.05 18:50

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NEW ROMANCER -PHASE Ⅰ-
2016年11月11日(金) Shibuya WWW
Report:東條祥恵
Photo:Zuhn Choi 、Teruhisa ohara

VANURUが11月11日、東京・Shibuya WWWにて単独公演<NEW ROMANCER-PHASE Ⅰ->を開催した。

5月にミニアルバム『ISOLATION』でメジャーデビューして以降、”VISUAL JAPAN
SUMMIT 2016 Powered by Rakuten“などの大きなフェスにも出演してきたVANIRUが、前回から約半年ぶりとなるこの単独公演で大変化を遂げた。

この日はワンマンということで、会場のエントランスの頭上にはエレガントなLEONEILの巨大パネルが貼られていて、Shibuya WWWの入口からVANIRUの非日常空間がスタート。
その扉を開け、階段を降りていくと場内に広がったなんとも言えない官能的な香りがたちまち体じゅうを包み込む。物販に売られているグッズコーナーの神秘的な雰囲気、万物を見通す目のようなものをキーアイコンとした魔術を思わせるようなデザイン、そこに書かれたロジカルな思想を綴った言葉。いつも訪れているライブハウスが、まるでヨーロッパのフリーメイソンでも集いそうな秘密の地下室に思えてきた。

フロアの横にある小さなスペースを利用して、この日は開演前2時間限定で”Café de VANIRU“がオープン。照明をおとしたデカダンムード満載のカフェには11月に誕生日を迎えるメンバーを祝福したゴシックなバースデーケーキを展示。観客たちは、カフェで購入したスイーツを味わいながら、この日キャストとして訪れていたバビエ江ノビッチ氏(VANIRUのMVを完コピしていたドラッグクィーン)と楽しそうに談話をしている。こちらのカフェにもまた、日常にはあまり見ることのない不思議な光景が広がっていた。

こうして、現実の時間や空間がゆっくりと麻痺していくなか、静かに流れていたバロック音楽のBGMが途切れて、場内が突如暗転。オープニングSEが始まり、舞台の幕がパッと開くと、舞台センターにLEONEILが一人!? と思ったら、その後ろから目の周りを黒く塗り、二ューウェービー&二ューロマな風貌のギター/マニピュレーターという編成のサポートメンバーが登場。彼らがLEONEILに向かって跪いて挨拶した後、ショーは「ISOLΛTION -The Vortex-」で幕開け。

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シームレスに暗黒エレクトロな「L’Abime」へとつなぎ、ここからサポートドラマーも加わってVANIRUならではの退廃的なダンサブル空間を作り上げる。圧倒的な美貌と妖しいオーラをひとり放ちながら歌うLEONEIL(Vo)は、MCをしたりフロアを煽ったりというパフォーマンスをせずとも、場内をその存在感だけでいとも簡単に支配していく、いまの時代には珍しい中毒性の高いカリスマ性を持ったアーティスト。中性的な雰囲気を醸し出すウェービーなロングヘア、細すぎる肉体、瞬き一つしない鋭い眼光、カクカクと独特な動きを繰り返す指先‥その何もかもがミステリアスすぎて、観客の五感を捉えて離さない。

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ショートSE、映像を挟みながら4つのパートに分けて本編が進行するという構成だったこの日。次のパートは「Διόνυσος」のショートSEで序盤のダンサブルな空気をガラッと変え、ロングコートに着たLEONEILが「柘榴」をパフォーマンスするところからスタート。このパートはLEONEILが歌で、観客を官能的かつ、リアルな世界へと誘う。
「柘榴」で体にまとわりつくような気だるくセクシーな歌声を届けたあと、照明がブルーに染まり、場内が水槽の中のような幻想的な色に染まって始まったのは「深海マリア」。目をそっと閉じて、囁くように、祈るように“僕のマリア 助けて”とステージで歌うLEONEILは、その瞬間だけ神々しい存在としてステージに君臨していた姿をひそめて、一人の生々しい男性としての姿をあらわにする。
この瞬間が、何度観ても感動的でたまらない。“マリア”としてそんなLEONEILをしっかり受け止めた観客からは、歌い終わった瞬間大きな拍手が送られた。このあと「Stardust Waltz」をアコースティックセットで届けて、LEONEILの歌を通してVANIRUと観客とのリアルなつながりをさらに体感させていった。

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熱帯雨林の森、そこに生きる野生動物たちの鳴き声をエディットしたようなネイチャーなSEで再びムードは一転。精神的なつながりを実感したあとは、肉体的な解放へとでもいうように、LEONEILが大胆なシースルーのシャツに着替えて登場。「High FANTASY」からはこんなに現実離れして見えていたVANIRUが、じつはデカダンだけれどもれっきとしたキャッチーな“歌モノ歌謡”的要素を持った表現者であることを曲で次々と証明。VANIRUの夜の世界が、ここからはどんどん鮮やかなメロディーで色づき、輝きを放ち始める。

まず「High FANTASY」が始まると、そのサビで放たれる甘美なメロディーが漆喰に染まっていた夜をどんどん溶かしていく。どこまでもキャッチーなメロの「千の夜-Pallidus-」、変則的なリズムを入れながら、後半エモーショナルに高まっていく「月詠ミ」でフロアの体温を肉感的に急上昇させたあと、キラキラシンセとロマンティックすぎるぐらいシャインなメロディーを持った「Dreaming Crystal」で、夜を明るく照らし、煌めかせていったVANIRU。こうしてフロアには、精神的にも肉体的にも解放された眩しいほどのVANIRUのナイト・パラダイスが誕生していった。

短い映像を挟んで、トレンチコートに着替えたLEONEILが現れて「BLUE MONDAY」から始まった終盤。人気曲「JUST YOUR DREAM」では上から目線でLEONEILが放つ“いただこう”のキラーフレーズで観客全員のハートを鷲掴みにしてゾクゾクさせ、続く「LOVE AGAIN」で鞭を振り回す恒例のパフォーマンスが始まると、観る側もステージもさらにヒートアップ。
お互いのテンションがさらなる高みに向かって上りつめていったところで曲が「コズミック・ナイト」に突入すると、場内に渦巻くエネルギーを一身に受けたLEONEILが突然、曲中に「Let’s Singing!」「Let’sDancing!」とフロアに向けて続けてシャウト! VANIRUのライブで、LEONEILがフロアに向けて叫んだのはたぶんこれが初めて。このワンマンを通してLEONEILが自らを超越し、新しい扉を開けて肉感的なLEONEILを体温感たっぷりに表現したパフォーマンスにフロアは驚愕しながらも熱狂。そのテンションのまま「真実は一つ。魂で感じて。また必ず出会いましょう」とこの日はライブを締めくくる挨拶まで自ら行ない、最後に「ISOLΛTION」を届けて本編は終了。さらに、アンコールではLEONEILが「生きる屍か、それとも踊り狂うのか」といって「DEAD OR DANCE」が始まると、「踊れーっ!!」ととびきりワイルドに叫んで、フロアを思いっきり煽ってみせたのだ。この変わりように観客はさらに絶叫。LEONEILのパッションに応えるべく体を激しく揺らし、踊り狂い咲いてこの日のライブを締めくくった。このあと、年内の活動はイベント出演を数本残すのみとなったVANIRU。この日のワンマンで初めてステージ上でしゃべったり、肉感的かつワイルドなパフォーマンスで会場を煽ったりしてみせたLEONEIL。こうしてデビュー以降も、ライブごとにどんどん進化していくVANIRU。
これからも彼らのライブは一瞬たりとも見逃せない。

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NPO法人JoinLIFE機構PRESENTS HIV/AIDSキャリア支援 HOPE AND LIVE 2016

2016年12月11日(日)

会場:
clubasia (渋谷区円山町1-8)

時間:
14:00 OPEN
14:30- HIV / AIDSキャリア支援を考えるパネルディスカッション
16:00- SHOW START

出演:
河村隆一 / S.Q.F / VANIRU / THE SOUND BEE HD / secondrate / SPEED-iD and more / MC:エスムラルダ

チケット:
Adv.5,000YEN / Door 5,500YEN (+1D /Tax Incl)

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