9mm Parabellum Bullet 「TOUR OF BABEL」初日に見えた“新たな光”

ライブレポート | 2017.06.16 15:00

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:橋本 塁[SOUND SHOOTER]

9mm Parabellum Bullet “TOUR OF BABEL”
2017年6月11日(日) 神奈川県民ホール 大ホール
TEXT:田中 サユカ
PHOTO:橋本 塁[SOUND SHOOTER]、西槇太一

2017年6月11日、9mm Parabellum Bullet(以下:9mm)が、通算7枚目のオリジナルアルバム『BABEL』のリリースを記念したツアー第一弾『TOUR OF BABEL』の初日を神奈川県民ホール 大ホールで行った。

会場の所在地である横浜といえば、9mmが結成された地である。会場を埋め尽くすファンの中には懐かしさを見せる様子も伺えた。
開演するやアルバム1曲目「ロング・グッドバイ」で伝説の夜への口火が切られた。冒頭から豪快なタッピングで、とにかく度肝を抜かれる大迫力だが、よく見ると、その理由はどうやら轟音だけではなさそうだ。まず『BABEL』を表現するためにギターはサポート含め3本!オリジナルメンバーの3人がステージ前列に並んでおり、ダイナミックなパフォーマンスがより3D的に迫って来るようなのだ。

特に定位置の後方から前方上手に移動した、かみじょうちひろ(Dr.)のプレイにはギャラリーも興奮を隠せない様子。尋常ではないほどの鮮やかなスティックさばきや華麗なフィルインにはその後も終始圧倒されっぱなしであった。

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:西槇太一

PHOTO:西槇太一

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:西槇太一

「ぼくのいる意味が 世界の中に 見つからないとしたら」

歌詞のフレーズを聞いてふと、開演直前にさりげなくかかったボブ・ディランの「Long Wasted Years」を思い出したのは僕だけだろうか。もしや9mmは今日までに、自分自身の存在意義にまで掘り下げ苦しんだのだろうか…彼らがどれだけの葛藤があったのかを想像せざるを得なかった。そして今、彼らはここで間違いなくロックの神に歓迎されている!

続けて『BABEL』の音源通り、ノイズの残響を挟んでアルバムの2曲目「Story of Glory」へ。この“つなぎ”は、作品を聴きながら誰もが興奮のあまり叫んだ部分だろう。ホール公演を選んだのも、ギターを3本で挑んだのも、全てはアルバム『BABEL』の再現性にこだわったため。9mmはまずは目の前の音ありき。能書きはその後だぜ!
更にアルバム3曲目「I.C.R.A」。ここまで全で新曲にも関わらず既に常連曲のごとく受け入れられているという、ギャラリーとの自然な“阿吽の呼吸”は、コール&レスポンスという域にまで達していた。どんなにベテランでもとかくホール公演は演者との距離が離れがちだというリスクもあろうに、9mmにはもろともしないのだ。

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:西槇太一

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:西槇太一

「アルバムを作れる状況じゃなかったのに、作ることができたこと、俺は誇りに思っています。みんな、どうもありがとう!」

菅原卓郎(Vo.Gt.)が心底感謝を述べ、多くのファンが涙を流した。
真紅に染められたステージ、アルバムジャケットを再現したバックスクリーン。アルバム収録曲順の忠実な演奏。これは真の実力者にしか成し得ない超高度な“大試聴会”だ。音源と違いがあるとすれば、割れんばかりの手拍子と音になり得ない熱気—— それが初日にしてここに“アルバム以上”を実現させているではないか。現在、ライブ活動を休止している滝 善充(Gt.)と新たな手法で形にした最高傑作『BABEL』は、同名の塔のごとく、見事に浮かび上がったのだった。

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:西槇太一

『BABEL』を全曲終えたところで、ロックライブでは有りえないアナウンスが入り、周囲を驚かせた。その声主はアニメ「ベルセルク」でガッツ役を担当する岩永氏によるもの。彼の“男前”なアナウンスでバトンを渡されたバンドは早速後半戦を「ベルセルク」オープニングテーマ「サクリファイス」でスタートさせた。ここから第二部「OUTSIDE OF BABEL」の始まりだ!
「お疲れさーん!!」と卓郎が開放感たっぷりに投げかけると、待ちきれんばかりの大歓声!「The Revolutionary」が豪快に放たれた。卓郎の軽い合図一つでクラップが!快感レベルの掛け合いは疲れを知らず、会場全体が勢いを増すばかりだ。
そして、間髪入れずに「ダークホース」「Keyword」と、ライブアンセムのオンパレードが続く。

「『BABEL』はとっても完成度の高いアルバムだけど、にもかかわらず、なんだか前の曲と関わりがある感じがするんだよね。」

卓郎が語るその意図に深く頷いたファンは、次に投入された「新しい光」でさらに熱を上げ「新しい光の中に君を連れて行くのさ」を大合唱する。それも、何度も何度も、確かめ合うように大合唱した。「あーまじかっこいいー!」ファンも思わず声を上げる。

いよいよクライマックスへ!9mmのスカチューン「ハートに火をつけて」が放たれると、会場中が踊り狂う!そしてメンバー紹介だ。
卓郎がサポートの武田将幸[HERE](Gt.)を「誰よりも9mmを愛する男」と称し、為川裕也[folca](Gt.)を「顔は俺に似ているけど、ギターは俺より100倍上手い」と紹介。それぞれ折り紙つきのプレイを披露、会場を沸かせた。さらにここでは中村和彦(Ba.)のマイクを通したレアな一声が響き、ここでもファンの歓声が湧いた。
「Cold Edge」「Punishment」へと畳み掛け、エモいセットリストのラストに会場中が湧いた。いよいよサポートの2人も前方へ乱入、後方で暴れていたエネルギーが前方でがっちりと合わさった瞬間が美しく映った。

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:西槇太一

9mmの“汗”に、9mmの“技”に、9mmの“様”が、このツアーではもう一段階違うようだ。滝というとてつもなく大きなギターヒーローの穴を埋めることを辞めるかわりに、1mmの妥協もない新たな選択肢を見つけ、華麗に前進して見せた“証”と呼ぶべき初日になったのではないかと思う。

「露骨に“ガンバレ”とか言わないけど、心の底からみんなを応援しています」

最後にこう言い放ったのはもちろん卓郎。アルバム『BABEL』は9mmを歌った作品だ。9mmがこの作品で道を切り開いたように、ここにいたそれぞれの支えにもなるように祈った思いは、法悦を得るように受け入れられた。怒涛のツアーの初日を大成功させたメンバーはファンとの別れを名残惜しそうに去って行った。
こうして“新しい光”の中にファンと共にあったこの日のライブを糧に、次のライブも心待ちにしたい!

9mm Parabellum Bullet

PHOTO:橋本 塁[SOUND SHOOTER]

セットリスト

LIVE OF BABEL(第一部)
01. ロング・グッドバイ
02. Story of Glory
03. I.C.R.A
04. ガラスの街のアリス
05. 眠り姫
06. 火の鳥
07. Everyone is fighting on this stage of lonely
08. バベルのこどもたち
09. ホワイトアウト
10. それから

OUTSIDE OF BABEL(第二部)
01. サクリファイス
02. The Revolutionary
03. ダークホース
04. Keyword
05. 黒い森の旅人
06. キャンドルの灯を
07. インフェルノ
08. 新しい光
09. ハートに火をつけて
10. Cold Edge
11. Punishment

 

■9mm Parabellum Bullet「サクリファイス」

9mm Parabellum Bullet "TOUR OF BABEL"

6月18日(日) 神戸国際会館こくさいホール[兵庫]
6月25日(日) 日本特殊陶業市民会館(ビレッジホール) [愛知]
≫ ツアー詳細はオフィシャルサイトにて

9mm Parabellum Bullet "TOUR OF BABEL Ⅱ"

7月2日(日) 昭和女子大学人見記念講堂[東京]
※9mm MOBILE会員限定公演 [SOLD OUT]

EVENT

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017

8月26日(土) 山梨県 山中湖交流プラザ きらら
出演:KANA-BOON / キュウソネコカミ / 9mm Parabellum Bullet / 銀杏BOYZ / CORNELIUS / サカナクション / DYGL / 10-FEET / NICO Touches the Walls / Fear, and Loathing in Las Vegas / フレデリック / ポルノグラフィティ / ヤバイTシャツ屋さん / yonige / and more!!

9mm Parabellum Bullet・THE BACK HORN・Nothing’s Carved In Stone スプリットツアー「Pyramid ACT」

Pyramid ACT 〜カオスの百年〜
9月9日(土) Zepp Osaka Bayside
Pyramid ACT 〜KYO-MEI〜
9月13日(水) 名古屋DIAMOND HALL
Pyramid ACT 〜Hand In Hand〜
9月14日(木) Zepp Tokyo

関連リンク

RELEASE

9th Single「サクリファイス」
(NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
NOW ON SALE
7th Album「BABEL」
(日本コロムビア)
NOW ON SALE
※通常盤[CD]、初回限定盤Special Edition[CD+DVD+スコアブック]、初回限定盤[CD+DVD]、アナログ盤[LP+ダウンロードカード]