amiinA主催イベント『Arch Delta Tour』ついにファイナル!Maison book girl、アイドルネッサンスと時空を超えた音楽の旅へ。

ライブレポート | 2017.08.05 16:00

amiinA×TOKYO FM presents 「Arch Delta Tour」Trident
2017年7月17日(月・祝)新宿BLAZE
共演:Maison book girl / アイドルネッサンス
Text:永堀アツオ
Photo:菊島明梨

3組のアーティストを招き、3ヶ所のライブハウスにて、3ヶ月連続で行われてきたamiinA主催の音楽イベント『Arch Delta Tour』の最終回となる『トライデント編』が、7月17日(月・祝)に新宿BLAZEで開催された。この『Arch Delta Tour』というツアータイトルについて、第1回目のライブレポートで、「三角の門」と直訳したが、1つ、見落としていることがあった。それは、“Tour”の部分を日本語に訳していなかったことだ。いわゆる、全国ツアーや対バンツアーと同じ意味だと捉え、それよりも“3”という数字にこだわっていることに焦点を当ててしまったが、実はこの“Tour”にも大きな意味があったことに気づかされた。“ツアー”には、アーティストが使う場合は、ご存知のように、地方への“巡業”という意味が込められている。私たちが日常で使う場合は、団体での“観光旅行”という意味になるだろう。『Arch Delta Tour』の“ツアー”は、どちらかというと後者に近い。音楽によって、観客を時間と空間を超え、様々な景色を見せるイメージの旅に連れて行くという意味が込められていたのだ。

イベントのオープニング映像では、毎回、井出ちよの(3776)が登場し、口上を述べていた。この日も、「みなさん、『Arch Delta Tour』にようこそ!この三角形に呼ばれて、今日もやってきました。西暦2017年7月17日。地球、日本、東京、新宿BLAZE、Tirdent、始まるよ〜。3ヶ月連続の大冒険も今日でおしまい。激しい静けさと平和な破壊に期待しています」とあいさつした。時間軸を“いま”に設定し、視点を壮大な宇宙から“ここ”にズーム・インさせ、時空を超えた冒険の旅へと出発する。第1回目から理解していればよかったのだが、当初は年齢やジャンルを横断した3組によって作られる三角形の場の楽しさに意識がいっていたのだ。時間と空間を超える音楽の旅であることに気づけたのは、アイドルネッサンス、Maison book girl、そして、amiinAという、この3組が揃ったおかげでもある。

 

アイドルネッサンス

アイドルネッサンスは、最初のMCで宮本が説明していたように「1950年代から2010年代までの名曲を私たちの歌とダンスでパフォーマンスする、名曲ルネッサンスに挑戦」している、8人組のアイドルグループである。この日も、40オーバーのオーディエンスは大江千里「YOU」や高野寛「ベステンダンク」で一気に青春時代へと引き戻され、30代はスピッツ「スパイダー」やスーパーカー「Lucky」で淡い日々を思い起こし、10代や20代にはKANA-BOON「シルエット」によって、いつかのフェスの風景が浮かんでくる。彼女たちの音楽は、過去に遡り、遠い記憶を呼び起こして切なくなるような、タイムマシーンのような力がある。また、この日は、彼女たちのデビュー曲となった「17才」のオリジナルアーティストであるBase Ball Bearの小出祐介が手がけた初のオリジナル曲「交感ノート」でライブをスタートさせ、同じく、小出によるオリジナル曲「Blue Love Letter」も披露した。前者は現在、瑞々しさの真っ只中にいる彼女たちの青春を詰め込んだフレンチエレクトロ風味のダンスチューン、後者は、出したいけど出せない手紙に対する葛藤を描いた、アコギを基調にしたミドルテンポの切なくも感情的な楽曲。ともに、何色にも染まらない彼女たちが、人生に一度しかない青という色を表現しており、リスナーにとってはこの曲が、2017年の“今、現在”を刻む、新しいタイムマシーンとなるのだろう。

 

Maison book girl


 現代音楽とポップスを融合させた“現音ポップ”を標榜するサクライケンタがプロデュースする4人組ニューエイジ・ポップ・グループ、Maison book girlは、ビートマニアックな楽曲を携えて、時を自由自在に操っていた。インストである「ending」に続きポエトリーリーディングがのった「empty」から始め、中盤に幻想的で夢想的なダンスが繰り広がられるインストを挟み、最後は再びポエトリーリーディングの「opening」で終わるという、終わりから始まりに向けた構成もさることながら、特筆すべきはやはり、新曲「rooms」でのパフォーマンスだろう。メロディはとてもキャッチーで覚えやすいポップナンバーなのだが、楽曲の中に何度も無音の箇所がある。ブレイクではなく、明らかな無音。ミラーボールは回っているのだが、無音のシーンでは、暗闇に近い光の中で、彼女たちの息を吐く音と足音だけが場内に響く。彼女たちの表情は、一瞬、光に照らされることはあっても、ほとんど見えない。その光景がシュールで、エッジーで、とても美しかった。様々な人生を生きながらも、全ては夢で、結局はいつも部屋で一人、目が覚めるような虚無感や絶望を感じたりもした。アイドルというよりは、コンテンポラリーダンスのような表現なので戸惑う人もいるかもしれないが、彼女たちのパフォーマンスは是非、一度、生で体験してみてほしい。そこには、自分の部屋から動かずとも現実から離れ、悪夢にも似た空想の世界へと旅できるような音源だけでは感じることのできない、生身の肉体によって語られる、言葉にはできない物語がある。

 

amiinA


 そして、Maison book girlが逆回転させた時計を勢いよく元に戻したamiinAは、一気に目の前の現実をズーム・アウトさせていった。観客を乗せたこの世界が上へ上へと上っていき、音楽に満たされた宇宙へと勢いよく飛び出したような感覚。amiinAが率いる鳥の形をした宇宙船は、フリもスピンもハモも綺麗に揃っていた「Callin’」で地球に到達し、ピアノと口笛から始まる「soar」で青い空を高く舞い上がり、山や森を通り抜けて、次の目的地へ。

miyu

ami

miyuが「amiがずっとダンスだけの曲をやりたいと言っていた」と解説したインストナンバー「Valkyrie」を初めてフルサイズで踊ったあと、再び「○△□」で銀河の軌道に向かい、点と点を静かに結んだ「Legacy」で銀河を超え、鳥のような羽ばたきを感じさせる「Atlas」で星の光の中へと思い切り飛び込んだ。

 そして、<まだ夢をみせて/今>と声を揃えたバラッド「Breath」から少しずつ現実へと戻っていく。「Avalon」で夢から覚めたふたりは、「signal」で現実から飛び出すために腕を高く掲げ、観客とともに大声をあげる。その手はやがて、三角形を形どり、<♪あの時描いた/ 空想かかえて/本当の歌/選んだからここにいる>と歌いながら、“いま、ここへ”と視点を戻し、真っ白なキャンバスに未来の絵を描く「Canvas」で宇宙の子守唄を聴きながら、最後のアーチをくぐった。


 最終回ということもあり、amiinAとしては初のアンコールが実現。白いワンピースに着替えたmiyuはピアニカを手にし、「私は初めてやる曲なんです、緊張する」とこぼし、amiは「みなさん、お家に帰りましょう」と語りかけ、映像も流れず、照明もシンプルになる中で、「I’m home」をストレートに歌い上げた。amiの言葉で、このツアーが長い旅だったことに気づいた人もいたのではないだろうか。宇宙から地球、日本、東京、渋谷や新宿。そして、アウターワールドからインナーワルドへ。世界から自己、現実から想念へと行き来した、3ヶ月に渡ったイメージの旅は、<列車に揺られてあと少し 家に帰ろう>というフレーズで終わりを迎えた。

 なお、アイドルネッサンス、Maison book girl、amiinAの3組は8月4日(金)〜6日(日)開催の「TOKYO IDOL FESTIVAL」に出演、8月26日(土)〜27日(日)開催の「@JAM EXPO」にも出演が決定している。

 

amiinA×TOKYO FM presents 「Arch Delta Tour」Trident
7月17日(月・祝)新宿BLAZE
~SET LIST~

アイドルネッサンス
01.交感ノート
02.Lucky
03.スパイダー
04.ベステンダンク
05.YOU
06.太陽と心臓
07.Blue Love Letter
08.恋する感覚
09.Music Lovers
10.ガリレオのショーケース
11.シルエット
12.トラベラーズ・ハイ
13.Funny Bunny

Maison book girl
01.ending
02.empty
03.rooms
04.sin morning
05.end of Summer dream
06.cloudy irony
07.faithlessness
08.int
09.townscape
10.karma
11.screen
12.blue light
13.opening

amiinA
01.Drop
02.lilla
03.Callin’
04.soar
05.Valkyrie
06.◯△□
07.Legacy
08.Atlas
09.Breath
10.Avalon
11.signal
12.Canvas
<アンコール>
13.I’m home

 

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『TOKYO IDOL FESTIVAL 2017』

8月4日(金)5日(土)6日(日) お台場・⻘海周辺エリア
※アイドルネッサンス、Maison book girl、amiinA出演
>>TOKYO IDOL FESTIVAL 2017 オフィシャルサイト

『@JAM EXPO 2017』

8月26日(土)27日(日) 横浜アリーナ
※アイドルネッサンス、Maison book girl、amiinA出演
※出演日等詳細はオフィシャルサイトをご確認下さい
>>@JAM EXPO 2017 オフィシャルサイト

※他ライブ情報はWEB SITEをご覧下さい

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