相対性理論、最新作『天声ジングル』を提げての自主企画、対バンはシリアの英雄、オマール・スレイマン

ニュース | 2016.11.28 12:00

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やくしまるえつこを中心に自主レーベルを拠点としボーダーレスな活動を続ける相対性理論が11月29日に新木場Studio Coastで自主企画イベント「相対性理論 presents『証明I』」を開催する。

相対性理論は2016年4月に最新アルバム『天声ジングル』を発表、黒沢清、坂本龍一、ジェフ・ミルズら国内外のアーティストからも賛辞を贈られるなどロングランヒットを続け、その後7月には前代未聞といえる完全インディペンデントでの日本武道館公演『八角形』を成功させた。さらに12月には山口市のアートセンター、山口情報芸術センター[YCAM]で、ポップミュージシャンとして初となる特別企画「相対性理論 × やくしまるえつこ × YCAM 『天声ジングル - ∞面体』(読み:テンセイジングル ポリヘドロン)」が開催される。

『天声ジングル - ∞面体』は、『天声ジングル』の世界観をライブ・インスタレーション・爆音上映と多層的、多角的、多元的な形でを体験できる試みだ。12月3日からスタートする展示企画は、立体音響や巨大スクリーンを用いたインスタレーション版『天声ジングル』や、作家・円城塔が書き下ろした特殊な構造のテキストをやくしまるが解読・再構築して音源化したYakushimaru Experiment『タンパク質みたいに』のインスタレーション。さらにはバイオラボで、やくしまるがバイオテクノロジーを用いて制作、音源と遺伝子組換え微生物で発表した新曲『わたしは人類』の遺伝子組換え微生物も登場。12月17日にはYCAM・スタジオAで相対性理論・山口初上陸となるライヴも行われ、翌18日にはライブ機材を用いた相対性理論・やくしまるえつこ映像作品の爆音上映も実施される。

雑誌『STUDIO VOICE』編集長をつとめ、2009年に同誌で相対性理論を特集するなど長年にわたり相対性理論・やくしまるえつこの活動を追い続けている批評家・編集者の松村正人が「作品が顕れることでそれが照らすものがあり、『天声ジングル』はそのようなものだった。二〇一六年のポップスとしての画期である。」と評するこのアルバム『天声ジングル』を提げ、武道館公演とYCAM特別企画の間、11月29日に東京・新木場Studio Coastで開催されるのが新たな自主企画シリーズの幕開けとなる「相対性理論 presents『証明I』」だ

今回のイベントでは、相対性理論とシリア出身のシリアン・テクノ・アーティスト、オマール・スレイマンとのツーマンライブが実現する。やくしまるえつこが自身のラジオ番組で紹介するなど、熱心なファンの間では知られるオーマル・スレイマンだが果たしてどんなアーティストなのか?

オマール・スレイマンは、シリア、ラース・アル=アイン出身のエレクトリック・ミュージック・アーティストで1994年から活動を続け20年以上のキャリアを持つスーパースター。
ベリーダンスの踊りなどにも取り込まれ、中東の結婚式などでは馴染み深いシリアの民族音楽ダブケとダンスミュージックの融合を試み続けてきたサウンドが、2000年代半ばからコンピレーション盤やカセットアルバムと言ったかたちで広まり、徐々に国際的にも知られるようになった。

その後トム・ヨークやビョークといったアーティストがその才能に注目。特にビョークは「シリアン・テクノ」とオマーのサウンドを絶賛し、自身の作品『バイオフィリア』のリミックスシリーズで起用した。

そんな世間でのオマーのサウンドの認知度の高まりや、80年台以降、何度目かの波となる民族音楽とエレクトリック・ミュージックの融合のブームも後押しとなり、2013年、47歳にして初のデビュー・アルバム『ウェヌ・ウェヌ』を発表。昨年2作目となる『バハデニ・ナミ』をリリースする。

ライブパフォーマンスも強烈だ。ダブケをベースにたエレクトリックサウンドをバックに民族衣装で身を包んだオマールが、手を叩きリズムをとりエコーをガンガンにかけたマイクでヴォーカルを取る。

相対性理論とオマール・スレイマン、二つの強い個性が互いにぶつかり合う今回の新木場Studio Coastでのツーマン、大変なことになりそうだ。

相対性理論 presents『証明I』

2016年11月29日(火)
新木場Studio Coast
18:30 開場 / 19:30 開演
出演:相対性理論 / Omar Souleyman

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