ずっと音楽のことばかり考えている人は、だからこそ自分の気持ちの核心みたいなものを自分が作る音楽によって気づかされるということがある。黒沢健一の場合、「Rock'n Roll Band」という曲がそういう曲のひとつになった。

「2009年に『FOCUS』を出したすぐ後にできたんですけど、ある意味ではこの曲が今回のアルバムのポイントになった気はしているんです。作ったときには、なんでこんな曲ができたのかよくわからなかったんですよ。夜中にギターを弾き語ってたら、パーッとできちゃったんですけど、それをライブでやったら、スタッフにもお客さんにもとても評判が良くて、“ああ、そうなのか”と思ったんですよね。こういうタイプの曲が出てきたことは自分のなかではあまりないんだけど、今出てきたということは何かあるのかなって。この曲は普段しゃべってる感じのような曲で、そういう感覚を音楽にするのはけっこう難しいし、また音楽には音楽の作り方というものがあると思うんだけど、そういうことはすっ飛ばしてポンと出てきたような感じというか、音楽ではあるんだけれど自分がしゃべっているような感覚がそのまま曲の形になったっていう。そういう楽曲がお客さんに響いてくれたというのは、自分のなかでも以前とはちょっと違った感じがしたし、この曲ができたときに体で感じた雰囲気というものが今の自分に起こっている変化なんだろうなと思ったんです。で、その感覚のままにその後も曲を作っていったという感じがありますね」

おそらく彼は、友人に電話をかけてとっておきの話を聞かせるような感覚で、聴き手に自分の音楽を届けたいのだろうと思う。そして、そういう音楽を詰め込んだニュー・アルバム『Banding Together in Dreams』を、彼はこの4年間の生活記録のようなものかもしれないと語る。

「曲作りやレコーディング、ライブが生活にすごく密着していたので、この4年間に自分が生活していたことがひとつの形になったというような感じでしょうか。生活のなかで感じていたことや気がついたことが音になって、こぼれて出来上がった10曲が集まった感じがしますね」

彼の長年のファンにとってはL⇔Rのメンバー全員が参加していることも大きなトピックだろうが、黒沢自身はその新しいアルバムを携え、遠山裕(key)、岡井大二(ds)、菊池真義(g)、山口寛雄(b)という気心の知れたメンバーで久々の全国ツアーに出かけられることがなんともうれしい。

「今回はクルマでの移動になるんですよね。まさに“Banding Together”なんですけど。各地ともライブは平日なので、例えば会社の帰りにちょっとロックを聴きに行こうぜっていうような気軽な感じというか、そういうツアーになればいいなと思ってるんです。で、僕自身、このツアーを僕もお客さんと同じように楽しみたいなと思うんです。このメンバーで一緒にライブをやれるということもすごくうれしいことだし、その楽しい時間をみんなと共有できるといいなと思っています」

LIVE TOUR 2013 "Banding Together"

2013年7月17日(水)	赤坂BLITZ	18:00 開場 ／ 19:00 開演	全席指定：6,500円（税込）	【バンドメンバー】 Drums 岡井大二 / Keyboards 遠山裕 / Guitars 菊池真義 / Bass 山口寛雄

受付期間：受付中〜6/14(金)13:00

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一般発売日：NOW ON SALE

アーティスト情報

V.A. 「黒沢健一 presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013」
（Ki/oon Records）
●NOW ON SALE

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