——今作のジャケットとブックレットの写真は藤巻さん自身が撮影されているんですよね。写真とソングライティングの表現性が互いにフィードバックすることってありますか?
「意識的にはないんですけど、似てるなって思うことはありますね。それは、一期一会という意味で。音楽も今そのときの自分の感性でしか創造できないし、やっぱり10代のときの曲作りとは変わっていくわけじゃないですか。だから、そのときどきの自分のリアリティを切り取っていくのが音楽も写真も同じだと思うんですよね、それって、結局何かの移り変わりを捉えているということで。一瞬とはいえ、自分の感情がこれからどこに向かおうとしているのか、そのベクトルを確かめたいんだと思うんです」
——今、藤巻さんが言ってくれたことは、この「旅立ちの日」という楽曲とミニアルバム全体の核なるテーマでもあると思います。
「うん、そうですね。人が旅立つときって、いろんな心の動きがあるんだけど、それはここからいろんな人や物事と出会っていくだけではなく、自分の内側にあるルーツを再確認することでもあるなと思ったんです。いわば“魂のふるさと”というか。今の自分がこうして生きていて、これから旅立とうと決意するまでには、過去に経験したいろんな瞬間があって。だから、新しい何かに触れようとするたびに自分のなかの“魂のふるさと”の存在に気づくと思うんですよ。それは、突き詰めると、自分の人生を肯定していくことに繋がってくると思うんです」
——それは、自分自身の原風景を肯定することでもある。
「そう。僕の人生を振り返っても、いいことも悪いこともたくさんあったんだけど、それを丸ごと肯定しようとする意志ですよね。最近すごく影響された言葉があって。“方便”という言葉があるじゃないですか。“嘘も方便”みたいな使い方をよくされる言葉だけど、そもそも“方便”という言葉には“悟りに近づく方法”という意味もあるらしいんですね。これまでの人生でそれこそ無限の選択肢があって、それを一つひとつ選択してきたからこそ今の自分がいる。そのうえで今まで選択してきた道がベストだったし、今から自分が選択することもベストなんだと意識することが“方便”なんだと思ったときに自分の“魂のふるさと”を肯定するような曲を書きたいと思ったんです」
——そして、間もなくツアーが始まりますね。どういう内容になりそうですか?
「まず、久しぶりにバンド編成のライブをやるので。もともとレミオロメンでスリーピースバンドをやってきたなかで、やっぱりバンドサウンドで鳴らす8ビートや4つ打ちが好きなんだなってすごく思うんですよね。僕が体感しているその気持ちよさをお客さんにも体感してもらいたいですね。昨年末に『ing』というシングルと今回『旅立ちの日』をリリースするという流れのなかで、これまで自分が引いていた境界線を意識するのはやめようと思ったんです。多くは言わないですけど、そういう思いが反映されたセットリストになると思います」
2015年5月15日(金) | 中野サンプラザホール | 18:00 開場 / 18:30 開演 | 全席指定 ¥5,500(税込) |
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MINI ALBUM「旅立ちの日」
(SPEEDSTAR RECORDS)
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藤巻亮太 (2015.5月号掲載 DI:GA interview)