兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第93回[2021年12月前半・ELLEGARDEN&10-FEET&マキシマム ザ ホルモン、真心ブラザーズ、浪漫革命、四星球と忘れらんねえよ、THE BACK HORNの5本を観ました]編

コラム | 2021.12.21 12:00

イラスト:河井克夫

 主に音楽、時々それ以外のフリーライターである兵庫慎司が、主に生、時々配信で観たライブすべての短いレポを書いて、半月に一回アップしていく連載の93回目=2021年12月前半編です。今回は全部で5本ですが、すべて12月1日から5日の間に観ていて、6日から15日までの間はゼロ、という、めずらしい回になりました。だからなんだと言われると困るが。

12月1日(水)17:45 『Reunion Tour 2021 Eat music in the same LIVE HOUSE』ELLEGARDEN、10-FEET、マキシマム ザ ホルモン@USEN STUDIO COAST

 ELLEGARDENと10-FEETとマキシマム ザ ホルモンの3バンドが、『Reunion Tour 2021 Eat music in the same LIVE HOUSE』と銘打って、東京・福岡・仙台・名古屋・大阪・東京を回る、という夢のようなツアー。ファイナルの12月21日(火)Zepp Hanedaがまだなので、詳しくは次回に書きます。
 あ、でも、ひとつだけ。この日はELLEGARDEN、10-FEET、マキシマム ザ ホルモンという出演順だったのだが、トップのELLEGARDENのMCで、細美武士は「来年アルバムを出す」と言った。終演後に公式サイトを見たら、もうその情報がアップされていた。楽しみです。

12月3日(金)18:30 真心ブラザーズ@仙台Rensa

 真心ブラザーズがバンドと弾き語りを混ぜながら回っているツアー『ORDINARY』、11月2日(火)の東京公演(バンドセット)は、別のライブレポ仕事が入って観れなかったので、仙台まで行きました。
 まず、始まった瞬間、びっくりした。音が小さくて。仙台Rensa、初めて来たけど、ビルの7階だし(=地下じゃないし)、出音の制限が厳しいのかな。いや、他の音がでかいバンドも、いっぱい普通にツアーで来ている人気のハコだし、そんなことはないか。じゃあなんで……。
 と、考えながら、3曲ぐらい観たところで「これ、わざとだ」という結論に達した。音が小さい分、各楽器の音や、それぞれの楽器が絡むアンサンブルが、細部までクリアに聴き取れるし、YO-KINGのギターなんて、エフェクターかませずに直でアンプに差してるんじゃないか、ってくらい、クリーンで自然な鳴りをしている。それを狙っているんじゃないか。そう言えば、この秋に本格的に再始動した新生ピーズも、爆音をやめて音を絞って、バンド・アンサンブルをしっかりと聴かせる方向にシフトしている。期せずして同じ方向を目指してるんだなあ、などと思いながら、その演奏と歌を堪能した。
 新旧の曲が入り混じる中に、「うわさ」や「のり弁女」といった、ファースト・アルバム『ねじれの位置』(1990年リリース)の曲も入ってくるセットリストも、とてもうれしいものがありました。

12月4日(土)17:30 浪漫革命@渋谷WWW X

 浪漫革命、初めてのワンマンツアー『躍進』の追加公演。ぴあにレポを書きました。こちらです
ぴあ:【ライブレポート】浪漫革命、6都市全公演ソールドアウトの『躍進』ツアーファイナル・渋谷WWW X

12月5日(日)17:00 四星球 ゲスト:忘れらんねえよ@渋谷Spotify O-EAST

 2月に出たニューアルバム『ガッツ・エンターテイメント』のリリース・ツアーのファイナル。ゲストは忘れらんねえよ。途中、「踊れ引きこもり」をやっている途中で、柴田隆浩が四星球のまさやん(ギター)を呼び込む。まさやんが柴田のギターを手に取ると、曲が四星球の「クラーク博士と僕」に変わり、まさやんそのまま弾きまくり、柴田はカンペを手に持って読み上げるように熱唱する。
 四星球はお返しに、忘れらんねえよの「俺よ届け」を1コーラスほどカバー。さらに「ライブハウス音頭」では、さっきMCで「康雄さんが服をくれた」と言っていた柴田が、その服に着替えて登場。三揃えのスーツのジャケットだけない状態=パンツとベストだけ、しかも裸の上にベストを着用する、という珍妙な着こなしで、出て来た瞬間にひと笑い取り、柴田の「これ……グレートマエカワさん?」というひとことでもうひと笑い取る。
 で、康雄が、普通に観に来ていた赤飯(オメでたい頭でなにより)など数名をステージに召喚、その人たちも参加してパーッと盛り上がる。
 ただ、全体としては、今回、シンプルでストイックなステージだった。いつも、ネタ振りと回収や、ギャグや、小芝居や、ダンボール小道具などが大量にあり、ゆえにどんどん長尺になるのが四星球のライブだが、今回はそういうのは少なめで、次々と曲をやっていく構成。
 ツアーが始まった頃は緊急事態宣言のまっただなかで、20時までに終わらなきゃいけない等の制約が多々あったので、そういうシンプルなライブにした、という理由を、最後に康雄が明かしていた。ツアーの途中で緊急事態宣言が明けたからと言って、そこからネタ多数の長尺ライブに変えると、ツアーの前半を観た人に対して公平じゃなくなるもんなあ、なるほど。と、納得しました。

12月5日(日)17:00 THE BACK HORN@新木場USEN STUDIO COAST/StreamingPass & FanStream

 毎年恒例『マニアックヘブン』ツアー、今年は緊急事態宣言が明けたのとほぼ同時にツアーが始まる、という幸運な日程で、札幌・金沢・高松・名古屋・心斎橋・福岡・広島・仙台・東京の9本を回った。そのファイナル=東京・新木場USEN STUDIO COASTを、後でアーカイブ配信で観た。
 「ええと、この曲、どのアルバムだっけ……あ、あれだ!」みたいなレアな曲が次から次へとプレイされる。というのは、これまでの『マニアックヘブン』と同様だが、いつも以上に「コアな曲」「カオスな曲」「狂った曲」「やばい曲」が多いように感じられた。バンドがそういう選曲をしたのかもしれないし、コロナ禍という環境下なので、こちらが勝手にそう感じたのかもしれない。
にしても。THE BACK HORN、1999年だったか2000年だったか、岡峰光舟の前のベーシストだった頃に、初めてライブを観たんだけど、20年くらい経ったら、こんなにカリスマティックなメンバーが揃っているバンドになっていようとは、正直、思っていなかった。
 ボーカルの山田将司は、当時から「目つきがピュアすぎて歩いてるだけで職質されそうな人」だったし、初期はほぼひとりで詞曲を手がけていたギターの菅波栄純は、それを上回る「歩いてるだけではがいじめにされて即隔離」みたいな人だったが、ベースの光舟も、ドラムのマツ(松田晋二)も、今は見事にそうなっている。マツ、MCではちゃんとしたことしか言わないのに、曲に入ると音も表情もヒリヒリしっぱなし。光舟も、表情にしろ動きにしろ、とても目を奪われる。いい4人だなあ、と、改めて感じた。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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