兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第47回[1月の巻~後編~]

コラム | 2020.02.03 12:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター兵庫慎司が、自分が観たすべてライブなどの短いレポを書いて半月に一回アップする連載、2020年1月後半編です。先月は師走だけあって、前半11本・後半12本という多さでしたが、1月は前半が7本・この後半は5本、という、わりと落ち着いた時期になりました。

1月18日(土) 桜井秀俊presents『WELCOME BACK, KANAGAWAN! 2020』@ 関内ホール 大ホール

横浜出身・横浜在住、以前から地元のTVK(テレビ神奈川)と組んでイベントを行ったり、その関係で「カモン! カナガワン」という曲を作ったりしてきた、真心ブラザーズ桜井秀俊が、久々に開催したのがこれ。
関取花・9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎・SPECIAL OTHERS ACOUSTICがゲスト出演、この日のために結成した桜井のバンドThe Kanagawansも、ベースとキーボードはキンモクセイの白井雄介と伊藤俊吾でドラムは山口美代子、という、「全員神奈川出身」のイベントでした。
桜井バンドはこの日のために作った新曲を披露したほか、桜井は「サマーヌード」、伊藤俊吾は「二人のアカボシ」を歌う。関取花はMC(爆笑)と歌(うっとり)の激しいコントラストを今日も描いて拍手喝采を浴びる。菅原卓郎はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTと同じスタジオを使っていたという話から「世界の終わり」をカヴァー。スペアザは演奏でオーディエンスをさんざん引き込んだ末に、長尺MCで地元ネタを延々とくり広げる──という、とてもカオスでとても楽しいイベントでした。

1月22日(水) フレンズ、MONO NO AWARE、Mellow Youth @ 渋谷TSUTAYA O-EAST

日本工学院ミュージックカレッジの卒業ライブ、フレンズとMONO NO AWAREの対バンで、Mellow Youthがオープニングアクトで出演。この卒業ライブ、この日と1月25日マイナビBLITZ赤坂(東京カランコロンとThe Floorが出演)の2本開催で、いずれも、ブッキングやライブ制作からPAや照明などまで、すべて学生の手で行うもの。ほかの学校で言うところの卒業制作ですね。
というあたりまではわかった上で観に行ったんだけど、フレンズのMCで知って驚いたのは、このライブ、セットリストまで学生が考えるんだそうです。はあー。確かに、普段なかなかやらない曲をやったり、「え? その曲をそのタイミングで?」みたいな曲順になっていたりした。という意味で、とてもレアなものを観られた、と言えます。

1月24日(金) 忘れらんねえよ @ Zepp DiverCity(TOKYO)

忘れらんねえよが結成満10周年を記念して、1年にわたってくり広げられてきた「がんばれ柴田」プロジェクトの締めくくりのワンマン。確かに締めくくりにふさわしい、懐かしい曲から出たばかりのニュー・アルバム『週刊青春』の曲まで網羅した、オールタイム・ベストのような選曲だったし、終始まさに「渾身の」という言葉がぴったりくる熱い熱いパフォーマンスだった。何度も涙腺にきた。
にしても、ギター:ロマンチック☆安田(爆弾ジョニー)・ベース:イガラシ(ヒトリエ)・ドラム:タイチサンダー(爆弾ジョニー)というこのメンツ、本当に強力、というか、柴田のやりたい音はこれ! というのが本当によくわかる。
「今日は特別な日じゃないっすか!」(柴田)ということで、中盤の「踊れ引きこもり」でサプライズあり。この曲、途中で打ち込みになって女性ボーカルが歌うバラードになる。音源ではその部分では「完璧な女声で歌える男」オメでたい頭でなによりの赤飯が歌っているんだけど、そのパートを担うゲストとして、のんが登場したのだ。
満員のフロア、めちゃめちゃびっくり……となるはずだったが、意外すぎて事態を飲み込めなかったのか、それとも彼女が金髪のウィッグをかぶって出てきたので「のん」なのか「のんのフリをした誰か」なのかわからなくて混乱したせいか、しばらくの間「……えーと……本物!?」みたいな、ちょっと微妙な空気になった。本物だとわかってからの盛り上がりはすごかったけど。
あと、特筆したいのが、彼女が歌っている時、横でタイチサンダーが、Dragon Ash・ATSUSHIの完コピで舞い踊ったこと。長髪で上半身裸で下はヨガパンツみたいなの、という出で立ちもそっくりだが、それ以上に舞い踊る形そのものが完コピ。「ちょっと真似てみた」というんじゃなくて、相当ちゃんと練習したんだと思う。めちゃめちゃ笑った。すばらしい。

1月25日(土) OBLIVION DUST @ 渋谷TSUTAYA O-EAST

ギタリストでありバンドの音楽的中枢を担うK.A.Zが、手の骨折のためライブでの演奏が不可能になり、代わりにサポートを入れて乗り切ってきた──という1年が終わり、ようやくK.A.Zが復帰、というわけで、(ボーカルのKEN曰く)K.A.Zがすべて考えたセットリストで行われた、記念すべきライブ。
なので、フロアの熱はとんでもなく熱かったし、頭から最後まで死ぬほど盛り上がったけど、ただし、ステージ上のOBLIVION DUSTは、「あれ? えーと、K.A.Zさん、休んでましたっけ?」とか言いたくなるくらい、拍子抜けするくらい自然だった。ということにびっくりしたし、不思議だった。ただ、それがとてもいいなあ、とも思った。
あ、唯一違ったのが、KENに「なんか言う?」と振られて、K.A.ZがMCしたこと。普段はMCしないどころかコーラスもしない(だからマイクも立っていない)人なので、新鮮でした。

1月31日(金)『エレ片 Love Love コントの人』@ 博品館劇場

エレキコミックと片桐仁のエレ片のライブ、今回は東京7本・名古屋2本・大阪1本・福岡2本のツアー、その東京の3本目。なのでネタバレは自粛しますが、1本目のコントから死ぬほど笑った、くだらなさの究極みたいなことをやっていて。あと、コントの途中でやついいちろうがアドリブで暴走、今立進がそれに対応してお客さん大笑い、そしてそれに入れずうろたえている片桐仁を観てさらに大笑い、その片桐仁にやついがツッコミ入れてもっと大笑い──という、なんかすごいグルーヴになっている瞬間もあった。あと、今回のオープニング曲とエンディング曲、どっちも片想いの曲なんだけど、どっちもとてもとてもいい曲。

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