フジジュンのライブ終わったら、ど~する? #1「良いライブを見た後は、2駅歩いて余韻に浸れ!」

コラム | 2020.06.12 18:00

Photo:にしゆきみ

仕事とプライベートを合わせて、年間約120本のライブを見ているフジジュン(おもしろライター)。基本、ぼっち参戦の筆者がライブ終わり、余韻を残したままにどんな過ごし方をしているか? を報告する連載。「このライブハウス行くなら、帰りはここがオススメ!」など、みなさんのおすすめの過ごし方も募集します! 今日ライブ終わったら、ど~する?

あ~、ライブハウス行きたい。こんなに長い期間、生でライブを見てないのは何年ぶりだろう? 新型コロナの感染者が増え始めて、ライブやイベントの自粛が相次いだのが2月の後半。僕が最後にライブを見たのが2月29日(土)O-WESTで行われた、我儘ラキアのワンマンだから、それ以来ライブに行ってないことになる。

我儘ラキアは大阪を拠点に活動する、4人組アイドルグループ。アイドルながら、ロックの魂を感じる歌や楽曲、活動スタイルに興味はあれど、ライブを観るのはその日が初めて。開演前は楽しめるか不安があったけど、ライブが始まった瞬間にその不安は一気に吹っ飛んだ。ヤベェ、めちゃくちゃカッコいい!! バンドセットを従えての本格バンドサウンド、それに負けないたくましい歌声とパフォーマンス、切れ味鋭いラップ。怒号のような歓声に包まれたフロアはモッシュやリフトが次々起こり、ファンのノリもアイドルライブというよりはラウド系のロックバンドのライブに近い。気が付くと僕はレポートを書かなきゃいけないことも忘れ、2階席の柵から乗り出して彼女らのステージに夢中になっていた。

2019年7月にMIRI(ex.RHYMEBERRY)が加入し、現メンバーとなった我儘ラキア。現メンバーで初めて挑んだ、東京でのワンマンライブ。メンバーも気合い十分で、本来だったら東京のファンに祝福され、祝福ムードにも包まれた賑やかなワンマンとなる予定だったろうが。新型コロナの発生でライブイベントの自粛が続く中での開催は、やっぱり葛藤があったし、メンバー内でも意見が分かれたそうで、あのタイミングでのライブの決行には複雑な思いもあった。ライブを決行することで、大切なファンを危険に晒してしまうかも知れない。他のライブイベントが自粛する中での開催を叩かれるかも知れない――。しかし、彼女らはこんな状況下でも自分たちを待ち望んでくれているファンのためにも、ライブを行うことを決断した。それが正しかったかは誰も分からない。分からないけど、誰に言われるでもなく、ライブを行うことを決断した彼女らの意志を僕は全肯定したい。

振り返ってみるとだけど、彼女らの堂々としたステージングには、強い意志と覚悟があった気がする。初めて観る僕の心を震わせた彼女らのカッコ良さや説得力も、そこに理由があったかも知れない。MCで、「こうやって集まってくれるお前らがいて、今、ここに立ててる。これが最高! 本望なんだよ!!」と叫んだMIRI。彼女らの熱い気持ちにファンが大歓声で応え、会場が異常な盛り上がりを見せる。4人が全身全霊で届ける歌とパフォーマンス、それを受け止めてモッシュやダイブでぐっちゃぐっちゃになるオーディエンス。しかし、そこにちゃんとモラルや秩序もあって、互いのリスペクトや信頼関係が伝わってくる数々の熱いシーンに僕は何度も泣きそうになった。熱量と熱量、愛情と愛情をぶつけ合って生まれる、ライブハウスでしか味わえない異様なエネルギーと絆が確かにそこにあった。

ライブが終わり、「あ~、いいもん観たな!」と大満足すると同時に、我儘ラキアにすっかり夢中になってしまい、ここからの彼女らを見届けようと決意した僕。ライブハウスの熱気と興奮がまだ心や身体に残っているこんな時にやるべきことは、楽曲のおさらいとウォーキング! 耳にイヤホンを付けて、ライブに備えてiPhoneに入れた、我儘ラキアのプレイリストを再生して、道玄坂を上がって三軒茶屋方面へ向かった。ヘッドホンから流れてくる「Days」や「Reflection」、「Melody」を聴いてライブを思い返しながら、ゴーゴーと車が走る国道246号線沿いを一人歩く。僕の大好きな時間だ。レポートを依頼されている時、書きたいフレーズがふと頭に浮かぶのもこの時間が多い。実際、「アイドル現場と思えないほど、ぐっちゃぐっちゃなフロアだったけど、そこにちゃんとモラルと秩序があるんだよな。そこに信頼関係があるんだろうなぁ」と思い返したのもライブを観てる時じゃなくて、この時間だった。と、ここで僕からのライブを見た後のオススメの過ごし方。

「記憶を記録として頭に残すため、良いライブを見た後は2駅歩いて余韻に浸れ!」

その瞬間に感じた感覚を「楽しかった」という記憶に変えるだけでなく、余韻に浸りながら「何が楽しかったか?」を言葉に変えることで、記憶は記録として頭に残る。友達とライブに行った時はご飯を食べながら感想を語り合うでも言葉に変えることが出来るけど、一人の時は歩きながらライブを思い返すのがオススメ。その時、距離は2駅くらいがちょうど良い(笑)。30分ほど歩いて三宿の交差点を過ぎると、三軒茶屋まであと少し。腹が減ってきたのに気付き、「これからど~すっか?」と今度はメシのことを考え始める。う~ん、ラーメンや牛丼って気分じゃないし、もう少しライブの余韻に浸りながら一杯やりたい。よし、いつものもつ焼き屋さんに行って、もつ焼き食ってビール呑んで帰ろう! そう思った瞬間、頭の中に甘辛いタレの味が浮かんで、一刻も早くビールが呑みたくなってきた。

三茶で立ち寄ったもつ焼き屋は人気店ということもあり、いつもと変わらぬ賑わいだった。まだ自粛や休業の要請が出ていなかったあの時期。テレビでやってる新型コロナ情報は、まだどこか他人事のようだった気がする。一人カウンタに座り、ビールを呑んでいた僕は取材予定だったライブが延期になり、インタビューの予定もリスケになって、スカスカになってしまった来週のスケジュールを思い出していた。まさかその後、緊急事態宣言が発令されるまでになるなんて想像もしてなかったけど、「あ~、これからどうなるんだろ?」と不安に駆られていた。と、その時。頭に浮かんだのは、我儘ラキアがこの日のライブのために作ったという、新曲「Don't fear a new day」のワンフレーズだった。

<僕たちは明日を恐れない>

そうだ。彼女らも明日を恐れずワンマンを決断&決行して、また勇気を持って明日へと足を進めるのだ。俺もどうなるか分からない明日に恐れずに、勇気を持って新しい日に進もう。僕はグラスのビールをグビッと飲み干し、新しい日と闘う覚悟を決めた。大げさかも知れないけど、僕はあの夜があったお陰で少し強くなれた気がする。その後、想像以上にコロナ自粛が長引き、先が見えずに不安になっていた時に諦めずにいられたのも、あの夜があったからかも知れない。ライブは不急だけど、不要じゃないのだ。

公演情報

DISK GARAGE公演

我儘ラキア Killboredom TOUR 2020

PROFILE

フジジュン

1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野で、笑いやバカの要素を含むバンドは大好物。

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