兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第70回[2020年12月後半]編

コラム | 2021.01.18 15:30

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、自分が観たすべてのライブの短いレポを書き、月2回ペースでアップしていく連載、新型コロナウィルス禍以降は「配信で観たものもOK」というルールで続けています。2020年12月後半は全部で7本、そのうち2本が配信で5本が生でした。

12月17日(木)19:00 the telephones@渋谷duo MUSIC EXCHANGE

 『SUPER DISCO Hits 11!!!~3Days Show~』と銘打って行われた3デイズ・ライブの1日目。この初日は『YOUNG(2005-2011)』というサブタイトルで、その時期=初期の楽曲から演奏するセットリストだった。翌日に続く。

12月18日(金)19:00 the telephones@渋谷duo MUSIC EXCHANGE

 で、2日目は、『SEXY(2012-2019)』というサブタイトルで、中期~現在までの楽曲からのセットリスト。ディスコ・パンク的なアッパーな曲を並べるのではなく、もっと幅広い意味でダンス・ミュージックな楽曲をセレクトしました、という意味合いで『SEXY』と付けたのだと思います。また翌日に続く。

12月19日(土)18:00 the telephones@渋谷duo MUSIC EXCHANGE

 で、3日目のサブタイトルは『NO DISCO!!! vs ALL DISCO!!!』で、曲名に「DISCO」が付く曲と、それ以外の曲を戦わせる、という内容だった。
 というわけで。以上の3日間のレポを、SPICEにみっちり書きました。なんせ3日分なので、だいぶボリュームありますが、未読の方はぜひ。こちらです。
the telephonesのキャリアを網羅した3Daysワンマン 完全レポートが到着

12月26日(土)19:00 銀杏BOYZ@川崎クラブチッタ/LIVE WIRE・PIA LIVE STREAM

 銀杏BOYZ、2回目の無観客生配信ライブ。2回とも『スマホライブ』と銘打って、撮影も音声もスマホで中継、オーディエンスにもスマホで観ることを推奨、PCでアクセスしても画面はスマホと同じく縦長になっている、というもの。
 前回=8月12日(水)は、会場は渋谷La.mamaだったが、今回は川崎クラブチッタであることが、冒頭の映像でわかった。スペースシャワーの配信チャンネルLIVE WIRE&PIA LIVE STREAMで配信。チケット代は前売り3,000円当日3,500円、1月11日(月)23:59までアーカイブ視聴可能だった。
 銀杏BOYZのオフィシャルサイトに、ライブレポを書きました。こちらです。ぜひ。
『銀杏BOYZ 年末のスマホライブ 2020』ライブレポート

12月26日(土)23:30 石野卓球@リキッドルーム

 毎年恒例、リキッドルームにて石野卓球が誕生日に行っている、自分ひとりで頭から最後までDJをやるイベント『地獄温泉』、今年は状況が状況なので、できるかどうか危ぶまれたが、収容人数を減らす等の対策を打った上で開催された。
 「去年までの自分縛りをあえてやめてツイッター等でどこかのバカが言った“オレはツイートしたい事をただツイートするだけ”の2020年最も笑った寝言の如く“オレっちはオールナイトで好きにやるだけだって今日はオレのバースデーら?”をモットーにやります」と、開催発表の時に本人が出したコメントにあったように、去年までは「自分が作った曲」「自分がリミックスした曲」等、自身が制作に携わった曲をかけていたが、今年はその枠をとっぱらってプレイ。
 オープン&スタートの時間に行くと、しばらく並ぶことになるのは、去年までで学習ずみだし、特に今年は密を避けた方がいいので、ちょっと遅れて25時くらいに行って、朝まで堪能した。
 当然フロアは隙間が空いているし、踊りながら声を発することはできないんだけど、何かすごく高い熱を感じた、場の。僕は普段、クラブでオーディエンスの一体感とか要らない、むしろひとりひとりがバラバラなのが好き、と思っている方だけど、この日は何か、今ここにいる人たちと同じ気持ちであるような感覚になった。勘違いかもしれないが、でも何か、幸福で、得難い体験でした。
 あと、石野卓球、終始アナログ盤を使ってプレイしていたの、久々だった気がする。

12月31日(木)16:00 突然少年 ゲスト:NITRODAY@下北沢シェルター

 入場者を絞った上で「全員防護服着用」を義務付ける、という、特殊なライブ。なので、お客もスタッフも突然少年も、ゲストのNITRODAYも、全員防護服姿だった。もちろん私も着ました。
 なお、チケット代は2,020円という安価(YouTubeでの生配信もあり)、その上、防護服は突然少年側が用意する、ということで、突然少年のボーカル&ギターの大武茜一郎は、「マネージャーが赤字で大変です、寄付の箱を用意してますのでお願いします」と、MCで訴えていた。
 先にやったNITRODAY、タイトに引き締まった演奏も、その枠をはみ出すように迫ってくる小室ぺい(Vo,Gt)のボーカルもとてもよかった。で、後攻の突然少年も、歌も演奏も絶好調レベルでよかった上に、歌いながらだんだん防護服が脱げていく、でもその下にTシャツとか着ていない茜一郎、本編ラストの曲では、身につけているのはメガネと縦縞トランクスとリッケンバッカーと靴下のみになる、靴下は履いたままなのが変質者テイストをよりいっそう際立たせる──という、とても突然少年らしい、素敵なことになっていた。
 なお、16時開演で18時30分くらいには終わる、というこのタイムテーブル、このあとにシェルターで別のイベントがあるからなんだろうな、と思い込んでいたんだけど、そうじゃなくて、このあとNITRODAYが横浜B.B.STREETでイベントに出ることが先に決まっていたからだ、ということが、突然少年のMCの時にわかりました。

12月31日(木)22:45 フラワーカンパニーズ@渋谷duo MUSIC EXCHANGE/Streaming+

 当初は、収容人数を絞る等のコロナ感染対策を行った上で、有観客で、生配信もありで開催する予定だった年越しライブだが、12月16日に東京都知事が「大晦日の交通機関の週や運転中止の要請」を出し、鉄道各社がそれに応じたことを受けて、急遽、有観客公演としては中止、無観客配信のみでの開催に変更になった。チケット販売を始めた後だったので、払い戻し等、大変だったと思うし、無念だったとも思う、ファン以上に、バンド側も。配信チケットは2,500円と後日郵送のお土産付き3,000円の2種類、1月7日(木)23:59までアーカイブ視聴可能、配信プラットフォームはStreaming+。
 というような、なかなかにシリアスな状況下での配信ライブだったので、場合によっては、悲壮感も漂いつつも「それでもやるんだ!」みたいな空気になっても不思議はなかったと思うが、アッパーで、楽しくて、時間によっては能天気な感すらあるライブをやってのけたのが、さすがフラカンだった。
 特にカウントダウン前後、メンバー4人前に出て来て延々としゃべっている、言ってしまえばちょっとグダッとした感じの時間なんかに、特に強くそれを感じた。そうだよなあ、深刻になるのは簡単だもんな、それよりも……などと、いろいろと考えさせられた。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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