兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第76回[2021年3月後半]編

コラム | 2021.04.06 12:00

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、生で観たすべてのライブについて、何か書いて、月2回ペースでアップしていく連載の、2021年3月後半編です。新型コロナウイルス禍以降は、「配信ライブを観て書くのもあり」というルールにしていますが、今回は3本とも生で観たものでした。
 で、前回=3月前半も、5本中5本とも生だったので、そうか、2021年3月は8本すべて生だったのか。コロナ禍が収束に向かっている、とは、残念ながら言えないので、そんな状況下でも感染予防対策を徹底しながらライブを行うアーティストが増えている、ということの表れなんだと思います。

3月25日(木)19:00 フラワーカンパニーズ×奇妙礼太郎@新代田FEVER

 2020年、フラワーカンパニーズは新代田FEVERで、毎月対バンイベント『月刊フラカンFEVER』を行うはずだったが、1月2月と行ったところで世の中が新型コロナウイルス禍になり、以降は配信オンリーとか、有観客&配信もありとか、いろいろと手を尽くして開催してきたが、さすがに毎月行うのは不可能だったので、2021年もやりましょう、ということになったのだと思います。
 で、2021年1月は、29日(金)に『フォークの爆発』、2月は26日(金)に『感傷の夕べ』を、いずれも配信オンリーで行ったが、3月は久々に対バン形式で、有観客&配信もありで開催された。配信はStreaming+で税込2,500円、1週間後の3月31日(水)23:59までアーカイブ配信あり。ゲストは初共演の奇妙礼太郎。
 というわけで、先攻は奇妙礼太郎、アコギ1本弾き語り。「エロい関係」「君はセクシー」と既発の代表曲の連打で始まり、6月9日にリリースを控えている新しいミニアルバム『ハミングバード』の収録曲「思い出の店」「お茶を飲もう」「アスファルト」「humming bird」など、全8曲を聴かせる。聴いているとつい「忌野清志郎以来だな、この人」とか言いたくなる、圧倒的なボーカル力だった、この日も。
 最初のMCで、「フラカンと最初に会ったのは……」というトーク。グレートとは2003年、大阪のオールナイトのイベントに、アニメーションズで出演した時。DJでグレートが出ていて、それを観て、「びっくりした」そうです。圭介との最初の接点は、「リリー・フランキーさんのイベント、あの、名前が難しいやつ」。
 で、後攻のフラカンは、「この胸の中だけ」で始まり、「寄鶯橋サンセット」等のレアな曲も織り交ぜながら、「履歴書」「揺れる火」「産声ひとつ」「DO DO」と、最新アルバム『36.2℃』の曲多めの全11曲だった。奇妙さんのMCを受けてグレート、「よく憶えてる。一緒にいた曽我部恵一と『めちゃくちゃかっこええね!』って話しとって、ちょっとしたら彼がやっとるROSE RECORDSからアニメーションズがデビューしたからさ」。圭介は「リリーさんのイベント」が『ザンジバルナイト』であることを補足。同じバックバンドで、シンガーは持ち曲1曲カバー1曲歌うイベントで、奇妙礼太郎の「赤いスイートピー」、強烈だったとのこと。
 なお、21時には終わらないといけないので11曲で時間ぎりぎり、ラストの「YES,FUTURE」が終わったところで、グレート「ありがとう! 時間切れだ!」と宣言、アンコールはなし、でした。

3月27日(土)13:30 忘れらんねえよpresents『ロックンロール桜まつり』@下北線路街空き地

 タイトルどおり、忘れらんねえよ仕切りの弾き語りイベントで、会場は野外、下北沢駅すぐそばの、小田急線の線路跡の、カフェとかが出ているあのスペースで、客席は、前半分が人工芝が、後ろ半分はシートが敷かれていて、お客さんはそこに座ってライブを観る形。THEラブ人間金田康平、ネクライトーキーもっさ、LEGO BIG MORLカナタタケヒロ、せん&もも(突然少年大武茜一郎&Hump Back林萌々子)、忘れらんねえよ柴田隆浩、の5アクトが出演した。
 もっさのステージにベース金田が飛び入りしたり(というか、本人によると「させられた」ようだった)、カナタタケヒロが「あなたがいればいいのに」で柴田隆浩を呼び込んでデュエットした上にラストで森山直太朗「さくら」をカバーして大拍手を浴びたり、せん&ももは忘れらんねえよ「CからはじまるABC」スピッツ「楓」矢野顕子「ひとつだけ」のカバーを聴かせた末に、ラストの「小さな恋のメロディ」(このユニットの唯一のオリジナル曲だそうです)で柴田がタンバリンで参加したり、と盛りだくさん。
 そして、トリの主催者柴田は、しゃべりでがんがん笑わせて、歌でじんわり感動させる、コントラストがはっきりしたライブ。こうしてライブができていること、お客さんの前に立ってコミュニケーションできることが、とにかくうれしそうなのが印象的だった。ラストではLEGOキンタと茜一郎がステージに乱入、歌う柴田をバックにお互いをスマホで撮り合っておられました。

3月28日(日)19:00 ビッケブランカ@中野サンプラザ

 コロナ禍で丸1年延期になった、ニュー・アルバム『DEVIL』のリリース・ツアー、福岡・名古屋・大阪・札幌・東京と、各地で1日2公演ずつやる、その最終日の2公演目、つまり本当にファイナル。この公演のみ生配信も行われた。GYAO! とLINE LIVE-VIEWINGで配信、チケットは税込3,300円で、4月4日(日)23:00まで見逃し配信あり。
 彼のライブを生で観たのは、おそらく2019年12月30日の『COUNTDOWN JAPAN』出演時以来だったのだが、ステージセットといい、バンドの規模といい、本人のパフォーマー度といい、すべてが著しくスケールアップしていてびっくりした。以前は「変わり者でおもしろくて曲がいいミュージシャンがやるライブ」という趣だったが、今はそれらに「はい、スターが出てきました!」という華やかなオーラが加わった感じ。一挙手一投足から目が離せない。
 「Ca Va?」「Avalanche」「ウララ」でがつーんと盛り上げて本編を締めたあとに、アンコールは最新シングルの「ポニーテイル」と「まっしろ」のバラード二連発、という、後半の構成が特にグッときました。

  • 兵庫慎司

    TEXT

    兵庫慎司

    • ツイッター

SHARE

最新記事

もっと見る