「ベルウッド・レコード50周年記念コンサート」、二度とない歴史的コンサートがいよいよ開催!

コラム | 2022.11.07 18:00

ベルウッド・レコードが日本のポピュラーミュージックの歴史に、特に自己表現としてのロックバンドやシンガーソングライターのシーンに与えた多大なる影響について、いくら強調してもしすぎることはない。1972年の設立から数年間にリリースされた、小室等率いる六文銭、高田渡、西岡恭三、加川良、あがた森魚らフォークやトラッドミュージック勢、はっぴいえんど、はちみつぱいなどロック勢、そこから派生した大瀧詠一や細野晴臣のソロなど、時代を切り拓いた清新な作品群は今なお鮮烈だ。はっぴいえんど『HAPPY END』や細野晴臣『HOSONO HOUSE』など、海外のリスナーを含めて、のちの世代のバイブル化した作品もいくつもある。それは過去形ではなく、まぎれもなく現在進行形の生きているムーヴメントだ。

そのベルウッド・レコードが、設立50周年を記念して11月11日に東京・中野サンプラザホールでコンサートを開催する。出演者が、とんでもなく凄い。50音順に、あがた森魚、伊藤銀次、いとうたかお、大塚まさじ、小室等、鈴木慶一×武川雅寛、鈴木茂、中川五郎、そして六文銭。説明不要のビッグネームばかりだが、あえて書くと、あがた森魚、いとうたかお、中川五郎は、フォークソングやトラッド、ルーツミュージックに根差した独立系シンガーソングライターの第一世代と言うべき重要人物。伊藤銀次はごまのはえ、大塚まさじはザ・ディランⅡ、鈴木慶一と武川雅寛は、はちみつぱいからムーンライダーズ、鈴木茂ははっぴいえんどのメンバーとして知られ、小室等は六文銭のリーダーとしてもソロとしても、日本のフォークシーンを代表する重鎮だ。まさに歴史を作って来たリビング・レジェンドが一堂に会する、夢の一夜と言っていい。

5年前に開催された「45周年コンサート」は、あがた森魚、鈴木茂、はちみつぱい、細野晴臣の4組に、高田渡の子息である高田漣、さらに曽我部恵一やGLIM SPANKYらをフィーチャーした特別バンドの共演というメニューだったが、今回はさらにレジェンド度を増し、ベルウッドらしさを見せる/聴かせるという意味ではより強力なラインナップになった。ベルウッド初の大ヒット「赤色エレジー」を歌ったあがた森魚、多くのアーティストにカバーされた「プカプカ」を歌った大塚まさじは、耳になじんだ名曲をきっと歌ってくれるだろう。大瀧詠一・山下達郎と結成したユニット「ナイアガラ・トライアングル」のメンバーとして、佐野元春やウルフルズのプロデューサーとしても知られる伊藤銀次や、はっぴいえんどの鈴木茂は、懐かしいメロディと共に衰えを知らないギタリストとしての凄腕を見せてくれるだろう。鈴木慶一と武川雅寛は、甘美なノスタルジー溢れるはちみつぱいの楽曲を聴かせてくれるだろう。いとうたかお、中川五郎、小室等と六文銭は、真の意味でのインディペンデントの素晴らしさ、本物のシンガーソングライターの凄みを示してくれるだろう。

さらにスペシャルゲストとして、熱烈なベルウッドのファンである俳優の佐野史郎、同時代を生きてきたミュージシャンのなぎら健壱、そして母・森山良子のDNAを受け継ぐフォーク次世代の森山直太朗が花を添える。ハウスバンドとして豪華アーティストを支えるのは、高田漣をはじめとした素晴らしいミュージシャンの精鋭たちだ。「45周年コンサート」では、はちみつぱいのステージにあがた森魚が登場し、フィナーレではベルウッドの創設者・三浦光紀による全アーティスト紹介と、はっぴいえんど「さよならアメリカ さよならニッポン」を大合唱する素晴らしいシーンが見られた。今回も、随所で共演や合奏が聴けるかもしれない。楽しみで仕方がない。

くしくも会場となる中野サンプラザホールは、ベルウッド創設直後の1973年に開業し、来年7月に再開発のために閉館することが決まっている。同時代を生きてきたホールと、音楽と、ミュージシャンと、我々リスナーとがこの場所で会うのは最後の機会になる。当時を知る大人も、あの頃に憧れる青年たちも、すべての人の思いを乗せて開催される、ベルウッド・レコード50周年記念コンサート。二度と揃わないだろう豪華メンバーによる、日本のフォーク/ロック/ポップスの黎明期の脈動を再現する、一夜限りの特別な音楽の祭典。どうか足を運んでほしい。

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