杉作J太郎の音楽電気風呂 第2回 杉作J太郎、アイドルを語る「モーニング娘。がなかったら男の墓場プロダクションも絶対ない。それだけは間違いない」

コラム | 2016.04.30 18:00

J太郎MV

杉作J太郎が辿ったアイドル系譜とは?

アイドルは岡田奈々さんと石野真子さんがすごく好きでした!特に石野真子さんは、僕の好きな物が多分合体したんですよ。楽曲が僕の好きな吉田拓郎さんと筒美京平さんでしたから。曲が素晴らしいのもあって夢中になりました。

石野真子

・・・その頃の僕の生活は、黒人でしたね。石野真子の曲をカセットで録音して、それをデカいラジカセで流しながら学校で歩いていましたから。ラジカセをいつも持ち歩いていましたよ。今思えば黒人です。ただ、石野さん、長渕剛さんとすぐ結婚しちゃいましたからねぇ~。ショックでしたねぇ。長渕さん、その後に志穂美悦子さんですから、僕の好きな人、全部持って行っちゃいましたよ。趣味が一緒なんだろうな。たぶん、長渕さんと話せばすごく気は合うと思います。

あと水前寺清子さんも好きでした。僕の場合は若い頃ちょっと、今でいうアングラみたいなものに惹かれたんだと思いますが、水前寺清子さんが一度、寺山修司の曲を歌ったんです。それがすごく良くてね。それから好きになっちゃったんですよ。「チータみたいなあんな庶民的な人が、寺山修司の歌を歌うんだ!」と思って。寺山修司さんも好きだったので、彼が作詞したレコードは随分買いました。

グループではおニャン子クラブとモーニング娘。ですね。僕の好きなアイドルというのは、今思えば男子同士のコミュニケーションツールっていうか、グループを通して男たちと仲良くできるのが楽しかったんです。おニャン子クラブの時に、血相変えて応援している若者たちを、僕は当時雑誌の編集者として目撃したんですよ。それがアイドルに対する最初の体験だったと思いますね。応援している男たちの団結力というか、そこしか行き場のない男たちの最後の場所。だから、そこに対する「守ってやりたい」という気持ちがあって見ていたんですけど、それと同時にちょっと羨ましかったと思いますね。「あーこれはすごいエネルギーだ」と思ってね。

モーニング娘

モーニング娘。のときにはソッチ側にいたわけです。そこで知り合った人たちと映画作ることになるワケですから。結局今ある「男の墓場プロダクション」はほとんどそこで知り合った男たちです。逆に言うと、モーニング娘。がなかったら男の墓場プロダクションも絶対ない。それだけは間違いない。

モーニング娘。なかったら、宇多丸さんとは知り合ってないですから。掟ポルシェさんやコンバットRECさんも、コンサート会場で出会いましたから。最初に出会った時は、何をやっている人か知らないですからね、ただのハゲの人とか、髪の長い人とかしか。だからさっきの長渕剛さんの石野真子さんじゃないけど、同じ女性を好きになる男同士というのは仲良くなれるはずなんですよ。だから僕はね、三角関係の殺人ほどナンセンスなことないと思います。浮気した・してないとかで、男女が目くじら立てて暴れたりしていますけど、本当了見が狭いですよ!同じ男や同じ女を愛したなら仲良くなれるはずなんですから。

モーニング娘。を好きになったきっかけは、コンサートです。当時特に興味がないまま券をもらって行ったんですね。ものすごく遠いところで、ぬかるんだ草原のはるか彼方にコンサート会場があったんです。駐車場からそこまで歩いていかないといけないんですが、遊牧民みたいな、民族大移動みたいな列ができていて、日がサーッと差しているのを見てね。「この世の景色じゃないみたいだなあ」と思ってたどり着いたんです。もちろん帰る時も同じ道で同じ人数が移動するんですが、そしたら、ある言葉が聞こえましてね。それが、ある特定のメンバーの名前を言いながら「●●って処女だよな?」って言って、「処女に決まってるだろー!」って男たちが話しているのを聞いたんですよ。「まだこんな奴がいるんだ!」と思ってね。まだ、この世の中にこんな純な奴らがいたのか、と。当時ちょっと仕事とかで疲れかけていたんですけど、「もう一回人間を信じていけるかもしれない」(笑)と。あまりにも純粋な発言を聞いて…ちょっと感動したんですね。

あと、帰り道に、サービスエリアで、ラーメン食べていたら、ファンに話しかけられましてね。当時テレビにはチョコチョコ出演していたころなので、僕のズボンの泥を見て、モーニング娘。のコンサートに行ったと知られたようで。そいつに「君は誰が好きなの?」と質問したら、「僕はよっしーが大好きなんです!」って言うんですね。そして「よっしーとどうしたいの?」と尋ねたら、「よっしーと僕は結婚したいです!」て言うから、「できるんじゃないの?僕は綾波レイが好きなんだけど、結婚できないけど、よっしーは生身の人間なんだから、頑張ったら結婚できるよ!」って言ったら、ハッと見たらそいつの目から涙がね、ウハーッと流れてたんですよ!「なんて純粋な奴らなんだろう」って。その瞬間からですね。僕がモーニングに惹かれて行ったのは。そこに集まっている男たちが好きなんです。

そういうきっかけで繋がった軍団が、後の「墓場プロ」に繋がったのです。だから一番最初に、『任侠秘録 人間狩り』って映画を撮った時に、ほとんどモーニングの現場で知り合った連中なんです。で、スタッフもそうなんですけど、出演者も8割は後藤真希のファンだったわけですよ。他のファンもいっぱいいるのに、僕が後藤のファンだから、僕と仲良い人を集めるとどうしても後藤のファンばっかりになっちゃうわけですよ。

後藤真希

やっぱり他のファンの人もいますから、そんなの公開したら角が立つと思ってね、これは「ヤっちゃった」と思ったんですね。それで、コンバットRECに相談しようとしたら、ちなみにそいつも後藤のファンなんですが。「実は8割が後藤のファンなんだけど、ちょっとコレどうしたらいいもんかな?」て聞いたら、RECが「後藤真希が一番男らしいから、男の映画を作ろうと思ったときに後藤のファンが集まるのは、当たり前の話です」って言ったんですよ(笑)。間違えたと思ってね(笑)。筋は通っているんですけど、僕の質問というか僕の不安はひとつも解消されませんでしたね。

参照リンク
後藤真希 公式サイト

杉作J太郎

男の墓場プロダクション局長、現代芸術マガジン編集長、東映チャンネル放送委員、映画「チョコレートデリンジャー」製作中!著書「ボンクラ映画魂完全版」発売中(徳間書店)