50代の純度100%パンクバンド。ラフィンノーズ “冬のワチュロウパーティ”【横山シンスケのライブオアダイ】連載:第19回

コラム | 2018.11.21 18:00

今も日本のパンクロック史に語り継がれている大きな出来事に、ラフィンノーズの「新宿アルタ前事件」というのがある。
今から33年も前の1985年4月。その新宿アルタ前に、その春、田舎から上京したての18歳の僕はいた。
ラフィンノーズがそこでソノシートレコードを無料配布するという情報を雑誌「宝島」で知ってそこに行ったのだ。
アルタ前に着くと、僕の予想をはるかに超える凄まじい数の人(その後のニュースで1200人以上いたと知った)が集まっていて、アルタ前の道路や広場を完全にふさいでいた。僕も集まったみんなも(ラフィン自身も)、そこで初めてラフィンの人気が大変な事になっているという事に気付いた。
人が多過ぎて何が起きてるか誰も把握できない大群衆の中、アルタ前の街灯につかまって高い所からみんなに何かを伝えようと叫んでいるボーカルのチャーミーの姿だけが見えた。
結局パニックになる為、そこで配られなかったソノシートは、その後ライブをする場所であった新宿ロフトで配られ、人もあまりにも殺到したためライブも急遽2部制で行われる事となった。
そんな目まぐるしく色んなハプニングが起きる状況に興奮しまくっていた僕は、当然完売していたライブをどうしても見たくて、もう入れないと言われて外にあふれたみんながあきらめて帰ったロフトの前で粘り強く立ち続けていた。そしたらなんと2部目の開演直前にラフィンのメンバー達からの指示で、そこに粘り強く残っていた僕とほんの数名だけがラッキーな事に中に入れてもらえたのだ。
奇跡的に入れた嬉しさと、初めて見る生ラフィン。そしてその夜初めて体験した大勢のパンクス達が、客の頭の上やステージの上を飛び交いまくるハードコアライブは、まさに「自分は東京に来たのだ」という実感と、ある意味「そこから自分の人生が狂わされた瞬間」として、今でも僕の中に一番強烈なパンクの原体験として残っているのだ。

ラフィンノーズは昔も今も「パンクバンド」という言葉が一番ピッタリくるバンドだ。
今も昔と全く変わらないその音のやかましさと速さ。古典パンクを継承するオシャレなカッコいいルックス。そして何より今もバリバリの超激しいライブを毎年何十本もずっと続けている事。
さらに、ツアーはスタッフ無しでメンバーだけでまわり、自分たちで機材を運び、自分たちで物販もやるDIY体制。ラフィンがよく言われる「伝説」や「ベテラン」という言葉を拒否し、いつでも現役最前線を貫くその姿勢。チャーミーとベースのポンが昔からよく口にする“それがパンクだからやる”、“それはパンクじゃないからやらない”という価値判断基準。 
ラフィンはそのやる事なす事すべてが、今もどこからどう切っても純度100%のパンクバンドなのだ。

でも37年も長い活動を続ける中で、ラフィンにも当たり前だが紆余曲折の色んな事があった。
一度解散もしている。メンバーもチャーミー以外は何度かメンバーチェンジしている。
僕も正直を言うと、ラフィンがメジャーにいってからしばらくして、メンバーが何度か変わり始め、サウンドは重くなり音もどんどんクリアになっていった時代に、ラフィンから離れてしまった時期があった。実際その頃のチャーミーには、「もしかしてラフィンを続けるのが辛いのかも…」と思わせるように見える瞬間が僕にはあった。
それから少ししてラフィンが解散したというニュースを見て、僕は何となく「ああ、そうなのか…」と寂しく納得したりもした。

ラフィンがいなくなって、それから4年後の1995年。日本のパンクシーンではハイスタが大きな注目を集め始め、日本にまた新たな大きなパンクムーブメントが起き始めていた頃。突然チャーミーとポンがラフィンノーズの活動を再開したというのを人づてに知った。
それを聞き、最初少し不安に思ったのだが、活動再開後すぐに発表されたセルフカバーアルバム「LAUGHIN' CUNTS UP YOUR NOSE」をレコード屋で発見して、そのジャケットを見た瞬間に僕は「おおっ!?ヤバい!」と驚き、すぐに購入してその音を聞いて狂喜乱舞した。

「LAUGHIN' CUNTS UP YOUR NOSE」ジャケット

そこには僕の大好きな、ポップでハードコアでバッキバキのインディーズサウンド全開のオリジナルのラフィンが完全に復活していた。
しかもセルフカバーされた全曲がさらに速い曲になっていて、代表曲の「GET THE GLORY」なんかオリジナルの倍以上の凄いスピードになっていた。僕は当時アパートの部屋でそれを爆音で初めて聞いた時に「やった!やった!」と何度も叫びながら、興奮して部屋の壁を叩きまくり、大家さんに怒られたりした。
あの日の「オレ達のラフィンが帰ってきた!」という嬉しさと感動は今も忘れられない。

そこからのラフィンは、もうずっと最高のままだ。
メンバーが50歳を過ぎた今も、最高のラフィンノーズのままで今まで一度もダレる事なくず~っと続いている。
メンバーチェンジも何度かあったが、その復活してからのラフィンには、なぜか不安を感じた事や心配な雰囲気を感じた事が一度もない。
それから出たアルバムもハズレが一枚も無いのと、それから見てきたライブも全て最高だったというのもあるが、きっと一番大きいのは、チャーミーとポンの「一生ラフィンノーズを続ける」という覚悟と、歳を重ねるごとにますます研ぎ澄まされていくその徹底したパンクな生き様が、ラフィンの活動の全てからにじみ出てるからだと思う。

今のラフィンのライブは本当に楽しい。
本人達も「今のラフィンは超面白い」と言っていたが、ライブを見てるとその自信と楽しさがラフィン自身から溢れ出しているのがわかる。
ラフィン恒例のライブツアー "ワチュロウパーティ"がもう始まっている。今現役の若いパンクスも、昔ラフィンに夢中になってたオールドパンクスも、みんなその楽しさを確かめに来るといい。
50代にして純度100%のパンクバンド、ラフィンノーズはこれから一番面白くなる。

公演情報

ディスクガレージ公演

冬のワチュロウパーティ

2018年12月29日(土) 渋谷CLUB QUATTRO

チケット一般発売日:2018年7月28日(土)

横山シンスケ

渋谷のイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」店長・チーフプロデューサー。その前10年くらい新宿ロフトプラスワンのプロデューサーや店長。ライター、司会、外部企画も受けてます。
昔、チャーミーさんが「パンクとは?」と聞かれた時に「個性的!」と即答したというエピソードがメチャクチャ好きです。

  • 横山シンスケ

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    横山シンスケ

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