『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018』初日の福岡公演を兵庫慎司が観た!ライブごとに高まり続ける4バンドの熱量をじかに体感してほしい!

ライブレポート | 2018.03.06 15:00

Ivy to Fraudulent Game、SIX LOUNGE、Saucy Dog、リーガルリリーの4バンドで全国9ヵ所を回る『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018』。その初日、福岡BEAT STATIONを観た。毎回出演順が変わるのでおなじみのこのイベント、本日はSaucy Dog、リーガルリリー、Ivy to Fraudulent Game、SIX LOUNGEという出順。

トップはSaucy Dog。5/23に新しいミニ・アルバムをリリースすることがすでにアナウンスされているが、そのリード曲として3/7から先行配信が始まる「真昼の月」と、これもそのミニ・アルバムに入ると思しき新曲もう1曲を含む6曲をプレイ。
そのあたりのおそらくまだライブでやり慣れていないであろう曲も、「煙」や「いつか」といったライブの場で鍛え上げて来た鉄板曲も、同じように一音一音、一声一声、そこにこめた思いがそのまま届くようにていねいに鳴らされていく。特に石原慎也のボーカル、いかつさゼロなのに声がすぱーんと飛んでくるし、ひとことひとことがクリアに耳に入って来る。

このツアーが決まった時からみなさん楽しみにしたでしょう、でも私たちの方がもっと楽しみにしてました、というようなことを、最初のMCでドラムのせとゆいかが言っていた。本心なんだろうけど、「楽しみだった、わーい!」みたいな感じではなくて、常にいい緊張感に満ちたステージだった。

「初めまして。初めて福岡に来ました。そして、私は初めて高速道路でクルマを運転しました。こんなに初めてを与えてくれてありがとうございます」
と、初々しいことこの上ないMCをたかはしほのか(Vo,Gt)が放ったリーガルリリーが二番手。でも「高速道路」はやりませんでしたが。「トランジスタラジオ」や「リッケンバッカー」などの全5曲。新曲(と言っていた)「うつくしいひと」も披露。

童謡のような素朴なメロディが響く瞬間と、グランジチックにギター&ベース&ドラムが大爆発する瞬間、そのギャップにとられている間に終わってしまった、そんなふうにあっという間に終わってしまった。と感じたということは、よかったってことですね。
メンバーそれぞれ演奏うまくないのにプレイがとてもいい、曲に対してしっくりハマっている、わかっている鳴りをする。というのは、男のバンドよりも女の子のバンドの方がよく起きる現象だと僕は思っているのだが、その最良の例のようなライブだった。

次はIvy To Fraudulent Game。寺口宣明(Gt&Vo)、いきなり……あ、そうか、まだツアー1本目なんだから曲の並びとかあんまり書かない方がいいか。えーと、「そう始まるか!」「そしてそう展開するか!」みたいな、いい刺激に満ちた構成のライブだった。

歌も音も激しさとメロウさの緩急がすごい、そして終始テンションがすごい、なのでヒリヒリしっぱなし、聴いていると。というテンパった気持ちで観ていたのだが、後半のMCで寺口、昨日福岡でおカネ下ろそうとしたらATMが博多弁で話しかけて来てめっちゃうろたえてしまった、そんでおカネ下ろせなかった、という話をして、一気に場が和んだりもする。そうか、こういうバンドなのか。で、最後の1曲でまたがつーんとテンションを上げて終了。

トリは大分から来たSIX LOUNGE。頭3曲一気にやってから、ヤマグチユウモリ(Guitar,Vo)、トリだからお客さんが半分くらい帰ってるんじゃないかと思った、こんなに残っていてくれてうれしい、とMC。確かにフロア、途中からだんだんお客が増える感じでも、1バンド終わると帰って行く感じでもない。ずっと満員のまま。って『スペシャ列伝』はいつもそうだけど、それだけ新しい音に貪欲な、真剣なお客さんたちが来ているということだ。要は、いいイベントだということですね。
で。このバンドの曲、アレンジや楽器の鳴り、いずれもキレッキレで、まぎれもなく今現在の音なんだけど、コードの展開や、そのコードへのメロディののっかり方、ヤマグチユウモリの声の響き方に、どこか、何か、「80年代ニッポンロック感」を感じる。90年代、00年代はまだわかるけど、80年代はちょっと不思議。なんだろう。偶然かな。それともそのへんのロックが好きなのかな。
とか思いながら観ていたら、後半のMCでヤマグチユウモリ、「めんたいロック! めんたいロック! めんたいロック福岡!」とコール、そして「この土地だからききたいことがあるわけよ! ロックンロール、好きですか!」と絶叫。爆笑しました。そして「やはりそうか! そういう感じか!」と納得しました。俺が高校生の頃のロック用語だぞ、今の子誰も知らないぞ、めんたいロックなんて。一気に親近感が増した瞬間でした。

このツアーのファイナルは東京、3/11マイナビBLITZ赤坂。そこまでの8ヵ所でそれぞれがどれくらい変化しているか、成長しているか、楽しみに待ちたい。

SHARE

関連記事

イベントページへ

最新記事

もっと見る