パノラマパナマタウン岩渕想太へインタビュー!バンドを通じて今、彼らが伝えたいこととは?

インタビュー | 2019.02.27 18:00

──語っていただいたことは、音楽スタイルにも表れていますよね。大きくロックとくくられる音楽性のなかでも様々なジャンルを取り入れて、そこにヒップホップを加えている。

本当に心の底からいいものを作ろうと思うと、ジャンルにとらわれないものになっていきますね。4人のメンバーの「好きなもの」があるし、それをひとつに特化したジャンルに押し込めると、重要な部分を捨てることになってしまう。あと、自分たちだけのオリジナルの音楽を作りたい気持ちが、すごく強いですね。ヒップホップは昔の音楽を掘っていってサンプリングして新しいものを作っていくことで発展してきた音楽だから、自分たちも誰もしなかったであろう組み合わせで音楽を作りたい。

──そうですね。パノラマパナマタウンは音楽性の組み合わせ方が、これまでのミクスチャーのバンドのそれとも異なります。だからこそ形容が一筋縄ではいかない。

ミクスチャーロックという型にもはまりたくないんですよね。でも、もっとわかりやすい存在でいたいなー……なんて思ったりもするんです。なにかにくくられたい気持ちは、ちょっとある(笑)。だからもがいてます(笑)。でも自分のプライベートを抉りだすこと、社会に対して物申すのはロックバンドがやるべきことだと思う。それをこの4人でやりたいし、心からロックバンドでいたいんです。

──ヒップホップアーティストではなく、ロックバンドとして音楽を作っていくことが重要だと。

自分だけではなくメンバー全員の色が合わさって音楽ができるのがバンドのいいところですね。『情熱とユーモア』もギターの浪越(康平)がたくさん曲を作ってるし、ベースの田野(明彦)が書いた曲もあって。浪越の持ってきたリフを4人でちょっとずつ変えたり、そこに自分の歌詞を乗せて……といろいろかたちを変えながら曲が完成していく。浪越が作った曲に歌詞をつけると新鮮な気持ちになるし、田野の作った曲に歌詞をつけたら自分の開いてなかった扉が開いた。本当に4人いないとできなかったアルバムだなと心から思うんです。

──だからこそ裏側も表現できたということですよね。

4曲目の「めちゃめちゃ生きてる」は浪越がいい曲を持ってきたのに、歌詞がなかなか書けなくて。でもすっごく悩んだ末にこのタイトルを思いついて、「これまで自分がぼんやり持っていた熱い想いや人と違う気持ちをこの言葉で表現できる、これはすごい発見だ!」と興奮して。そのまま浪越に電話したら「そのタイトルはちょっとさすがにダサいと思う」と言われて(笑)。

──あははは。

ダサいって言われるだろうなと思ってたから案の定でした(笑)。それで歌詞を1コーラスしっかり書いて、自分はこういうことが言いたいからこのタイトルなんだという経緯を伝えて、納得してもらいました(笑)。メンバー全員すごく好きな曲になりましたね。

パノラマパナマタウン「めちゃめちゃ生きてる」Music Video

──思い切ったタイトルだなとは感じていました。そういう意味でもリアリティがある楽曲だなと。

全力になったらめちゃくちゃかっこ悪いか、めちゃくちゃかっこいいかのどちらかだと思うんですよね。もちろんスタイリッシュにユーモラスに伝えていくことも大事なんですけど、「なんとなくかっこいいものを作るより人に届けたい、突き刺したい」という気持ちもあったので「めちゃめちゃ生きてる」やリード曲の「Top of the Head」みたいな突き抜ける曲も作りたくて。「Top of the Head」は4人が即興でいちばん気持ちいものをスパスパ出していって「それ!」という感じだったし、歌詞も1時間くらいで書きました。

──ほぼフリースタイルですね。

その感じをロックバンドの曲でできたらいいなと思ったんです。4人で直感的にバコーン!と鳴らした音や、思い付きで言った言葉がかっこよかったり、強かったりすることもありますよね。

──去年の夏に「ここ半年でライブが変わった」と岩渕さんがおっしゃっているのをインタビューで読みましたが、ご自身ではどう変わったとお思いですか?

自分の熱い気持ちを表に出すのはなかなか苦手で、気持ちをライブで言うことはあまりなかったんですけど、それを表に出すようにしました。動きもダサくても自分っぽいものというか、想いのままにできるようになっていったんです。それからライブがすげえ楽しくなってきましたね。……4人とも行儀がいいし真面目なんですよ。頭がはたらくぶん考えすぎちゃうし、人の気持ちもわかりすぎちゃうからこそ、抑え込んでいるものがあって。だからこそそれを爆発させたい気持ちがすごく強い。僕はそれをインテリパンクと呼んでるんですけど(笑)。

──あははは。まさしく。

でもそれをどんどんライブで爆発できるようになってきた。昔からそうだったけど、それがじょじょにより一層バカやれるようになってきました。

──個性はばらばらでも、そのマインドがメンバー全員一致しているんでしょうね。

うん、そうですね。4人で初めて大学時代に音を鳴らした時から一緒だなと思ってます。大学の2限3限でクソ真面目に授業受けて、3限と4限の間に大学のスタジオに入って4人で思いっきりバーン!と音を鳴らしたらアホみたいに楽しくて――4人しかいないのにマイクスタンド振り回したりしてた(笑)。そういう時に「ロールプレイング」や「世界最後になる歌は」も作って……だからそういう気持ちはずっと持ってるかな。毎日真面目に、人に合わせて生きているけれど、だからこそ音楽で爆発させたい。

──パノラマパナマタウンにとって、ライブはそういう場だと。

自分がライブに行く側でもそうですね。自分の気持ちを出せるし、叫んでも怒られないし、好きな音楽に合わせて好きに身体を動かしてたらいい場所だから、自分たちでもそういう場所を作りたい。最近、音楽が「みんなのもの」になりすぎていると思うんです。共感されることに狙いを定めたり、みんながみんな同じ動きをするために生まれた音楽に、なんだろう、と思っちゃう。だからこそもっと自分の裏側にあるものを出して、自分の音楽を鳴らしたい気持ちがありますね。

──そのメンタリティこそ、まさに「情熱とユーモア」ですよね。その疑問や怒りをそのまま出さずに、ギミックを効かせて自分たちの表現へと昇華する。

熱い気持ちを熱いまま出すのではなく、自分なりの表現、音楽に落とし込んだり、自分なりの面白い言葉にすることで、気持ちは伝わると思うんです。ヒップホップアーティストはそのあたりに長けてる人が多いので、そのマインドを継承しているところももあると思いますね。強い自分もいるけど弱い自分もいて、その葛藤も出して――でも俺は進んでいくというストーリーを作りたかったんです。

──お話を伺っていて、ワンマンツアー「1st full album "情熱とユーモア" release tour『HUMAN PARTY』」の期待値が高まりました。

来てくれる人がそれぞれのままに熱狂してくれて、それが大きなかたまりになるライブをやりたくて「HUMAN PARTY」という名前をつけました。異なる一人ひとりを肯定する場所にしたいし、異なる一つひとつの炎が重なり合う日にしたいですね。フルアルバムのワンマンツアーなので自分たちが持っているいろんな面が出せるライブになると思うし、今パノラマパナマタウンを知った人でも絶対に楽しめる自信がありますね。今回のアルバムはラップも力を入れたので、ライブでも刺さる言葉を生かせるといいなと思ってますね。

──今回のツアーはバンドにとって過去最大規模なんですよね。

3月21日の千葉LOOKからツアーが9ヶ所回るんですけど、ライブごとにマンネリを崩したいし、自分たちが作ってきたものすら壊したいという気持ちがあるので、今まででいちばんいいライブにしたい気持ちも強いです。ファイナルのLIQUIDROOMは事務所のイベントで初めて立ったときからずっとワンマンをやりたいと言っていた会場なので、すごく楽しみですね。来てくれる人が我を忘れるようなライブとか、つらいことや明日の予定も全部忘れられるようなライブがしたい。2時間だけでも「あるのは自分の熱い気持ちや心だけ」という場所をつくりたいですね。

パノラマパナマタウン「情熱とユーモア」全曲Trailer

PRESENT

メンバー全員の直筆サイン入り1st FULL ALBUM「情熱とユーモア」ステッカーを3名様にプレゼント!

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

1st full album "情熱とユーモア" release tour「HUMAN PARTY」

2019年3月21日(木・祝) 千葉LOOK
2019年5月18日(土) LIQUIDROOM[TOUR FINAL]
チケット一般発売日:2019年2月3日(日)

VIVA LA ROCK 2019

2019年5月3日(金・祝)~5月6日(月・振休) さいたまスーパーアリーナ
※パノラマパナマタウンの出演は5月5日(日・祝)

チケット一般発売日:2019年2月23日(土)

RELEASE

「情熱とユーモア」

1st full album

「情熱とユーモア」

(A-Sketch)
NOW ON SALE
  • 沖 さやこ

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