インタビュー/兼田達矢
──2回目となった、去年秋の赤坂BLITZ公演はいかがでしたか。
2回目も、1回目と同じように、本番までは冷静さを欠いてたんです(笑)。物販のテーブルの配置とかいただいたお花を並べ方とか、そういうことをリハーサルの合間にチェックしたりしてて、本番のことを考える余裕がなかったということもあったんですけど、それでもそのまま本番の時間になってステージに出て行ったらすごく冷静にやれたのは1回目と同じでした。ただ、1回目は冷静にやれたけれどもやっぱり感慨みたいなものもすごくあったんですよ。でも2回目はいい意味でちゃんと慣れて、赤坂BLITZという名前や会場の広さに圧倒されることもなく、すごくやりやすく感じましたね。本番を迎えるまでのほうが舞い上がってる時期あったんですけど、当日の本番の間だけは“やっとここで落ち着けたな”という感じでした。自分でも不思議なんですけどね。
──2回目だからこそ感じたこと、気づいたことというのは何かありましたか。
まず、物販のこととかバックステージのケータリングのこととか、そういうことまで含めた会場作りから考えられたということがありましたね。ステージに関することだと、わたしのライブにいらっしゃるお客さんはあまりライブ慣れしてない方も多いので、ライブハウスでノリ方がわからない、みたいなことがけっこうあるんです。どこで立って、どこで座ればいいのか、とか。それで、開演前の影ナレで「1曲目はバラードで始まって、2曲目からみなさんが自然に立ち上がるような感じの曲が続いていきます」みたいな解説を流したんで、みんなスムーズに立ったり座ったりということができたし、そのおかげで一体感を増すことができたんじゃないかなと思います。
──そうしたアナウンスも、お客さんのことを思っての演出みたいなものですね。
そうですね。それから、1回目はバンドにストリングス・カルテットが入った編成でやったんですけど、2回目はバンドにサックスとトランペットが加わった編成でやったんです。その編成がバラードでもアップなナンバーでもいいスパイスになっていて、お客さんにも楽しんでもらえたみたいだったし、PVもやってくださってる半崎(信朗)さんがステージの軸になる曲の映像を作ってくれて、その映像のおかげで曲の世界観がいっそう強く伝わったと思うし。もしかしたら、全体的にはちょっと詰め込み過ぎだったかもしれないですが、それでもあの時点でわたしがやれることは最大限にやれたんじゃないかなと思います。1回目から2回目までの自分の成長をどうやって見せようとか、1回目とは違う驚きをどうやって見せようとか、そうしたことについては十分成功したなという実感がありますね。
──そういう実感を得て2回目の赤坂BLITZ公演を終えた後、次のステップということについてはどんなことを考えましたか。
すぐに何か考えたかと言えば、それは何も思い浮かばなかったんですが、それでもしばらく経って落ち着いてから思ったのは、どこか別のもっと大きな場所でやろうというのではなくて、もう1回赤坂BLITZでやりたいなということだったんです。それは、単純にBLITZをソールドアウトさせたいというような数字だけの話ではなくて…、もちろんそれもやりたいんですけど、やっぱり同じBLITZで3回やるとファンのみなさんのなかで“半崎美子は毎年、秋にBLITZをやるんだな”ということが定着するだろうなとなんとなく思ったんですよね。わたし自身の性格から言えば、会場をどんどん大きくしていったり、新しいことをやったりしていきたいタイプなんですよ。でも、BLITZに関しては、それ以外のところでやりたいという衝動が自分のなかになくて、だから3回目も同じところでやってみて、それから次のことは考えよう、という感じですね。
──「二度あることは三度ある」とか「仏の顔も三度まで」とか、いろんなことを言いますが、いずれにしても同じことを三度やると、そこで真価が問われるということだと思いますが、いかがですか。
じつは今回のサブタイトルを“仏の顔も三度まで”にしようかなと思ってたんです(笑)。それくらい、3回やった後はどうするんだろう?とわたしも本当に思っていて…。でも、その後のことは何も考えていないんですけど、でも3回目が大事だということは本当にそう思います。
──その3回目のステージは、5月にリリースされたシングル「降り積もる刻」に収められた5曲が軸になるんだろうと思いますが、あの音源を作り始めるときには何か意識していたことはありますか。
5曲というサイズでしたから、わたしらしい曲を選んで統一性を持たせるというようなこともできたとは思うんですが、今回は敢えて1曲1曲違ったタイプの曲を5曲選びました。
──そこで「永遠の絆」という、2009年に発表した曲を録音し直して収めたのはどういう気持ちだったんですか。
いまライブでこの曲を演奏するときには、2009年に発表したバージョンとはアレンジも歌い方もだいぶ変わっていて、だからライブであの曲を気に入ってくださった方があの曲が入ってるCDを買って帰って聴いてみると、ちょっとがっかりされたりした人もいるんじゃないかなと思ってたんです。だから、ずっと録り直したいと思ってたんですけど、それがこのタイミングになったということですね。
昔のバージョンと最近のバージョンとの違いとは?
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