FINLANDS・塩入冬湖インタビュー!新体制となったFINLANDSの現在、ソロ活動を通して気付いたバンドへの思いとは?

インタビュー | 2019.07.09 18:00

4月10日の渋谷CLUB QUATTRO公演をもってベースのコシミズカヨが脱退し、現在は塩入冬湖(Vo/Gt)とサポートメンバー3人という4人編成で活動中のFINLANDS。彼女たちが9月4日に初のライブDVD『“BI TOUR”~16th October, 2018 at Shibuya CLUB QUATTRO~』をリリースし、9月16日から全国10ヶ所を回る初のワンマンツアー「REMOTE CULTURE TOUR」を開催する。3作目となるソロ作品『惚けて』を7月10日にリリースするなど、ソロとバンドで精力的に活動を続けている塩入は、いったい今どんなモードなのだろうか。FINLANDSというバンド、ソロ活動、ライブDVDリリースの背景などを語ってもらった。
──新体制のFINLANDSが始動して3ヶ月ほど経ちましたが、調子はいかがでしょうか?

今はサポートベースにこみゅにけいしょんのイラミナさんと、THE LITTLE BLACKの彩さんに入っていただいてます。初めてカヨ以外のベーシストと一緒に活動しているので、いまはまだ実験段階で発見だらけという状態ですね。イラミナさんも彩さんも「FINLANDSはこういうふうにやっていきたい」というのを理解してくださっているし、出す音やクセが違うぶん、毎回違う良さを持ったFINLANDSを見せられていると思います。

──塩入さんは7月10日にソロ3作目の『惚けて』をリリースします。ソロ活動を始めたそもそものきっかけとは?

FINLANDSを始める前後くらいにお古の宅録セットをもらって、遊び感覚で使っていて。それでだいぶ昔に当時のサポートドラムから「もっとあなたの頭のなかに鳴っている音を具体的に表現したものを出してくれたら再現できると思う」と言われて、そこからちゃんと打ち込みを始めるようになったんです。わたしは頭で考えていくことが好きなので、打ち込みをやっていくうちに楽しくなってきて――ソロはその成れの果てですね。FINLANDSに持っていかなかった曲をひとりで完結させてみたいという気持ちが出てきました。

──ソロとFINLANDSのソングライティングの違いは、自分で完結させたいか否か、ということですか?

バンドの音楽はメンバーの音と声だけで作られて、それ以外の音を出さないことに良さがあると思っているんです。でもソロで作る打ち込みは無限なんですよね。ピアノを入れたい、ドラムじゃないビートを入れたい……みたいに、自分の好きなようにできる。そういう欲望が湧く曲をソロに回しますね。自分の主観のみで制作を進めています。今回はピアノから曲を作ったり、ベースを弾いてみたり、今までやってこなかったことに手を出し始めてみて、より大変にはなったんですけど。できないことをやっていくうちにできてくるのは楽しいですよね。まだまだできないことだらけだなと思います。

──前作に比べると、だいぶサウンドアプローチも広がっていて。バンドよりも素直な塩入さんが見える印象もありました。

ソロは自分が感じたものを脚色なく曲にしているところが多い気がしてますね。この7曲はずっと自分の内にこもっていたものだったので、自分以外の人に聴いてもらったり、聴いた人からどう感じたと言ってもらえて、ようやく曲に血液が巡りだしたなと思うんです。でもそれは共感してもらいたいということではなくて。

──うんうん。そうですよね。FINLANDSも塩入さんのソロも、ただただ誠実に表現をしている。それを受け取った人間のなかに、様々な感情や思考が生まれることが、音楽をはじめ、芸術や表現物の良さだとも思います。

聴いてもらわなくても物理的には曲は存在しているけれど、曲というものは人の意識下で成長していると思うんです。人に聴いてもらうことや観てもらうことは、本当に大切だなと思いますね。

──コシミズさんの脱退が発表されたときに、FINLANDSとソロを融合させてもいいのでは?と思ったのですが、『惚けて』でどちらも塩入さんには必要な表現方法なのだと腑に落ちました。

そう言っていただけるとうれしいですね。「どっちもソロじゃん」と言われることも多いし、わたしもそういう人を見たら、そう思うだろうなと思うんです。でも自分にとってはソロもFINLANDSも違うものだし、それを音源で証明できて良かったなと思います。でも聴いた人が「ソロもFINLANDSも同じだ」と思うならば、それはそれで構わないですね。FINLANDSは自分がスタジオに持っていったアイディアより悪くなることは絶対にないし、いいものがたくさん出てくるなかで何を選ぶかはバンドの面白いところだと思います。メンバーはみんな優しくてわたしを守ってくれるから、自分はやれることをやろうという気持ちになれるし、同時にメンバーと張り合ってる面もありますね。ソロをやらなければ、バンドの良さはここまでわからなかっただろうなと思います。

──FINLANDSは兼ねてから写真とライブで作るイベント「記録博」を開催していたり、作品も細部までポリシーが通っていたりと、残すことを大事にしている印象があります。塩入さんにとって『BI』ツアーのファイナル公演である昨年10月の渋谷CLUB QUATTROのライブ映像をDVDに残すことは、どういう意味があるのでしょうか。

CD特典ではないライブDVDは、今回が初めてなんですよね。初めて自分たちで企てたツアーを回って、シンプルにすごく楽しくて。「こういうライブを作りたい」というチーム全体の気持ちが揃っていることがすごく肌で感じられて、そのうえでメンバー個々の色がしっかり出ていたと思うんです。それはとても文化的なことだなと思って。その空間のその時間だけは、ひとつの文化を作り上げられている――それは実際にライブを観ていただいて感じられることでもあると思うんですよね。いろんな理由でなかなかライヴに来れない人たちにもどうにか「こういう文化を我々は作り上げているんです」と見てもらいたかった。

──そういう気持ちからライブDVDを全国発売して、それを引っ提げて「REMOTE CULTURE TOUR」というタイトルのツアーを回るんですね。

最初はライブ会場で販売するという話だったんですけど、「それだとライブに来たくても来れない人が買えないから元も子もなくない?」って(笑)。さきほど「残すことを大事にしている」とおっしゃってくださいましたけど、我々が作ったものを取り入れてくれる人がいないと、「残す」ということにはならないんじゃないかなと思うんです。映像で観るライブは生の感覚とは違うかもしれないけど、DVDをリリースすることで我々はその空間に生まれた文化を残すことができるし、観た人はそれを取り入れてくれることができる。そういうものにしたかったので、めっちゃ安く売ります(笑)。

──たしかに(笑)。10台以上のカメラで撮影したライブDVDが税抜2600円なんて、なかなかないですから。

レーベルの社長が最初からこの値段設定にしていて。男前ですよね。でも「売れろ!」というよりは、観るきっかけを多く作りたいなって。友達同士との貸し借りでもいいから、「FINLANDSの作る空間はこういうものなんだな」というのを知ってほしいという気持ちが大きいですね。わたし自身も好きなバンドがスプリットでライブDVDを出していたりして、そういうものに憧れていて。渋谷CLUB QUATTROは自分たちにとっていちばん大きな舞台だったので、残しておきたかったんです。

──このDVDに収録されている渋谷CLUB QUATTROのワンマンは、塩入さんにとってどんな日になりましたか?

シンプルにかっこいい日になったと思います。あと、あのライブのあとに燃え尽きなかったんですよね。それはあのライブをしたことで「次はこんなことをしたい」「次はどうしたらいいだろう」という気持ちが湧いたからなんです。言い方によってはやりきったと言い切れないライブかもしれないけれど、自分的にはいい日だったんだなと思います。自分たちが求める空間を作るためには、ワンマンくらいの尺が必要だと気付いたのは、『BI』ツアーでワンマンを多めに組めたからですね。そのライブをDVDとして残せるのは、FINLANDSにとってもひとつの印になるのかなと思います。

──新作CDのリリースツアーではないから、歴史を総ざらいできるツアーが作れそうですね。

そう、そういうツアーをしたいとずっと思っていたんです。これまでずっと駆け抜けるようにCDを作り続けてきて、それに満足もしていたんですけど、それを続けていくとライブでやらなくなる曲、みなさんに聴いていただく機会が少なくなる曲も出てくるんですよね。9月からのワンマンツアーではそういう曲もきっちりできると思っています。我々演者としても、新しいものを放出するだけではなく、残してきたものを辿って今の自分に落とし込む時間は必要だし、大切なことだと思うので。

──初のワンマンツアーでそれができるバンドも稀有だなと。

別に後悔はしてないですけど、これまでのらりくらりしてましたからね(笑)。自分たちでツアーを企画したり、ワンマンをしたり、ライブDVDを作ったり、歴史を網羅できるツアーが控えていたり……最近は「これこれ、こういうことがやりたかったんだよね!」と思うことの連続です。FINLANDSはこのタイミングでこういうふうに動いていけて良かったのかなと思っていますね。

──DVDには新曲「use」のダウンロードシリアルコード付きのカードが封入されているとのことですが、これは今年の3月に開催された“記録博”のエンディングソングとして制作した楽曲だそうですね。

初めてベースまで自分で演奏して作った曲なんです。『BI』ツアーを回って、カヨが脱退することになって、この曲で「FINLANDSの第1章が終わりました」というのをきちんと形にできました。『BI』ツアーから始まったFINLANDSをDVDで、第1章が終わったFINLANDSを「use」で示せた。始まっていくことにも終わることにも、きちんと敬意を持って作れた作品になりましたね。

──今回のDVDは新曲も含めてひとつの作品であると。1年前のワンマンのDVDを観たお客さんが今回のツアーに来ると、バンドの進化や変わらないポリシーを多面的に楽しめるでしょうし、まさに「REMOTE CULTURE」だと思います。リリースツアーのファイナルとなる11月12日の恵比寿LIQUIDROOM公演は、FINLANDSにとって最大キャパのワンマンです。

大きな会場でワンマンを打つことは、バンドの成長がいちばんわかりやすく伝わることだと思っていて。FINLANDSを結成してからのこの6年間、キャパが大きくなることをすごく喜んでくれているお客さんたちがついていてくれて。真摯に音楽を好きでいてくれるお客さんがいるのは、我々バンドマンにとって本当にありがたいことですね。ただ、最近近視が出てきたので、LIQUIDROOMでお客さんの顔が見えるかなあ……と。

──たしかに、塩入さんはステージ上からお客さんの顔をしっかり見ていますよね。

小さい頃に親から「相手の目を見て話しなさい」と教えられてきたので、人の目を見るのは大事なことだと無意識のうちに思っているんでしょうね。お客さんがこちらを見てくれているなら、こっちも出来る限りきちんと見て歌いたいんです。人と話すときにどういう表情をしているのかを見るように、お客さんがどういう顔をして聴いてくれているのかを確かめています。ステージが大きくなればなるほどそれが難しいので、自分の視力との勝負ですね……!

PRESENT

FINLANDSロゴ刺繍Tシャツ(Mサイズ)を1名様に!

受付は終了しました

公演情報

ディスクガレージ公演

REMOTE CULTURE TOUR

2019年9月16日(月・祝) 宮城・仙台MACANA
2019年9月17日(火) 新潟・CLUB RIVERST
2019年9月23日(月・祝) 北海道・札幌KRAPS HALL
2019年9月29日(日) 愛知・APOLLO BASE
2019年10月4日(金) 福岡・Queblick
2019年10月6日(日) 広島・CAVE-BE
2019年10月10日(木) 香川・DIME
2019年10月11日(金) 京都・GROWLY
2019年10月23日(水) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
2019年11月12日(火) 東京・LIQUIDROOM

チケット一般発売日:2019年7月20日(土)

RELEASE

『“BI TOUR”~16th October, 2018 at Shibuya CLUB QUATTRO~

LIVE DVD

『“BI TOUR”~16th October, 2018 at Shibuya CLUB QUATTRO~

※新曲「use」音源ファイル ダウンロードシリアルコード入りカード封入
(sambafree.inc)
2019年9月4日(水)SALE
『惚けて』

塩入冬湖 MINI ALBUM

『惚けて』

(sambafree.inc)
2019年7月10日(水)SALE
  • 沖 さやこ

    インタビュー

    沖 さやこ

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