Chage 3年ぶりの新作は新曲と昭和の名曲カバーで構成。「先人たちの素晴らしい音楽を、次の世代に繋げて残していけたら」

インタビュー | 2019.07.30 12:00

Chageの3年ぶりのオリジナルアルバム『feedback』は過去の音楽の財産の継承と新たなる創造とが両立した素晴らしい作品となった。彼の原点であるUKサウンドを軸として、独自のアプローチで表現した新曲3曲と少年時代に愛聴していた昭和の名曲の数々のカバーで構成されている。Chageと同世代の人々は「たどりついたらいつも雨降り」「あの時君は若かった」「好きさ 好きさ 好きさ」「悲しき願い」「二人だけ」といった昭和の輝きを持った名曲たちに、令和の輝きが加わっていることに驚きを感じるだろう。若い世代は、おそらくすべての曲が新鮮かつ斬新に響くだろう。自分が影響を受けた音楽をフィードバックして、次世代へと伝えていくことによって、音楽という文化は豊かなものになっていく。この作品について、そしてこの作品を軸としたツアーについて、Chageに聞いていく。
──昭和へのリスペクトを込めた作品を作ろうと思ったきっかけはどんなことですか?

オリジナルアルバムは3年ぶりということになるので、しばらく前から構想は練っていたんですが、一番大きかったのは元号が変わったことですね。昭和は遠くになりにけりというタイミングで、自分の原点中の原点はなんだろうと考えた時に、昭和40年代の音楽にたどり着いた。僕の音楽のルーツであるビートルズよりももっと前まで遡ってみたら、音楽のなんたるかをまったく知らない少年時代に熱中した音楽に行き着いた。当時、白黒のブラウン管テレビで歌っている大人たちの姿を観て、なんて輝いているんだろう、なんてかっこいいんだろうって思っていた気持ちを思い出して、あのサウンド感、真空管の鳴りがするような温かみのある質感を今に蘇らせたいと思って制作に入りました。

──ジャケットからもギターの音が聞こえてきそうです。

デザイナーにもタイトルは『feedback』と伝えて、このジャケットがあがってきました。これはデザイナーが思う『feedback』ということですね。このギターの位置で、アンプのボリュームを上げると、フィードバックが起こる。そういう計算のもとで写真を撮って、イラストっぽく加工してもらった。形もかなりこだわってます。ギターはリッケンバッカー330で赤でなければいけない。アンプはVOX。ジャケットにも60年代のUKテイストが漂ってますね。

発見、先人たちへのリスペクト、やればやるほど楽しくて、音楽の素晴らしさを実感しました

──1曲目「Kitsch Kiss Yeah Yeah」の冒頭もギターのフィードバックで始まっています。

フィードバックって、ビジネス用語としても使われてますが、僕は純粋に音楽用語として使っています。有名なところではビートルズやジミ・ヘンドリックスが用いた手法で、ギターをアンプに近づけた時のハウリングを音楽として取り入れたわけじゃないですか。ノイズなんだから、本来はあってはいけない音なんですが、それすらも音楽として取り入れた振り幅の広さ、自由さがいいですよね。自分が子どものころに影響を受けた音楽を、Chageというフィルターを通して表現していけたらと思って、『feedback』とタイトルを決めて制作に入りました。

──新曲「Kitsch Kiss Yeah Yeah」はそのテーマを象徴する曲ですね。

Chageは今こういう音楽がやりたいんだよという入り口の曲ですね。ライブを想定して、西川進くんと一緒にサウンドを作っていった。僕のルーツであるUKサウンドを取り入れつつ、女性コーラスの華やかさをプラスしました。シュープリームスあたりのテイストですよね。西川くんのおかげで、にぎやかで楽しい雰囲気の曲になった。歌詞をどうしようかと考えていて、松井五郎くんの顔が浮かんできた。五郎くんとはここのところ人生をテーマにしたシリアスな曲を一緒に作ることが多かったんですが、「俺たちが出会った頃みたいに楽しいことをやろうよ」って、渡したら、こうなった。びっくりしたのは仮歌が崩れていないこと。僕は英語でも日本語でもないムチャクチャな言葉で仮歌を歌うんですが、その母音や子音の響きを壊さずに、歌詞を作っているんですよ。五郎くんいわく、「令和お座敷ロック」(笑)。サウンドも歌詞も楽しみながら完成させていきました。

──2曲目はカバーのメドレーで、「たどりついたらいつも雨降り」と「あの時君は若かった」がコーラスをブリッジとして、見事に繋がっています。このアイディアはどこから?

ビートルズが全世界で人気を集めて、日本でも和製ビートルズを作るべく、たくさんのグループが誕生して、GSブームが到来という背景があって。小学校の時、タイガースも好きだったんですが、特に好きだったのがスパイダースで。音楽も素晴らしいんですが、堺正章さん、井上順さん、かまやつひろしさんとエンターテイナーが揃っていて、テレビで観ていても、楽しめるし、笑える。「たどりついたらいつも雨降り」は吉田拓郎さんの曲ですが、伝説のバンド、モップスがかっこいいロックに仕上げていた。初めて聴いたのは中学生の時。なんなんだ、これは!と衝撃を受けたのを覚えてます。どちらの曲もいつか歌いたいとずっと思っていて、今回、モップスとスパイースに今のテイストを加えて、メドレーにしたらどうだろうと思い付きました。西川進くんがそのアイディアに乗ってくれて、この形になりました。なんせ、彼は歩くUKですから(笑)。スタジオは子どものような笑顔が絶えない現場になりました。どちらの曲も歌詞もシンプルで難しいことを言ってないんですよ。当たり前のことを言っているんだけど、それが小学生の僕にも還暦の僕にも響いてくる。小学生の僕にとって、「あの時君は若かった」って、いつだよ、赤ちゃんじゃないかっていう(笑)。こんなコード展開をしていたのか!とか、こんなにストレートに響く歌詞なのか!って、発見もたくさんあり、先人たちへのリスペクトがあふれまくって、やればやるほど楽しくて、音楽の素晴らしさって、こういうところにもあるなと実感しました。

──オリジナルに詰まっていた当時の歌の熱量が、今のChageさんの歌からもしっかり伝わってくるところが見事でした。

これは楽曲とサウンドに歌わせてもらった気がしますね。楽曲が素晴らしいので、歌ってて、気持ち良かったし、楽しかったですね。

──新曲「Mimosa」はディキシーランドジャズのテイストが漂うクラシカルな曲です。Chageさんの歌が気持ち良く入ってきました。

もともとファンクラブのイベントで新曲を発表したいと思って作った曲なんですよ。実際にそこで先に披露していて、その時はアレンジも違って、もっとジャジーだった。今回、アルバムに入れるにあたって、力石理江さんに『feedback』について説明したんですよ。さんざんUKと言ったのもかかわらず、彼女はディキシーランドを持ってきた。これがまた、音楽のおもしろいところで(笑)。レコーディングも楽しかったですね。だって、洗濯板とかバケツみたいなものを叩くんですよ(笑)。ドクター・ジョンが亡くなった時、お葬式の場所で楽しい演奏会が始まったんですが、「その雰囲気を彷彿させるね」って力石さんに言ったら、ニヤッとしてました。僕も彼女もドクター・ジョンが好きなので。しかもサウンドはこうだけど、アルバムの中で、全然浮いてない。

──昭和の空気感に通じるものもありますよね。

僕の中で街頭で鳴り物で宣伝しているあの光景が浮かんできましたね。歌詞に関しては、ちょっと悩んだところもあったんですよ。というのは、“Chappy”という言葉が入っているから。

──“Chappy”って、Chageさんのファンクラブの会員の愛称でもありますもんね。

そうなんですよ。一瞬、身内ネタすぎるかなと思ったんですが、すぐに吹っ切れました。人の名前だと思えば、ヨーコだってあるし、ヒロシだってあるし、みんな歌っているんだし、僕にとっては大切な歌なので、堂々と気持ち良く歌おうと思いました。自分のインスタのハッシュタグで“Chappy”って書くんですよ。そうすると、世界中の“Chappy”の画像があって、だいたい犬が出てきますね。対象は誰でもいいんですよ。恋人の歌にしましたから。外国のある国では愛の表現として、チョコレートみたいに、ミモザを贈る習慣があるみたいですね。歌詞の中に“Night And Day”“Cheek to Cheek”など、往年のジャズの名曲のタイトルも引用させてもらって、最後は日本人の言う“アイ・ラブ・ユー”、“月がきれいですね”っていう言葉で締めさせていただきました。

──「Love Balance」はサイケデリックな雰囲気もありつつ、胸の奥深くを揺さぶるパワーを備えた曲です。

魂を揺さぶる曲を書きたい、自分の内側から湧き上がるメロディを形にしたいと思って作りだしたら、メロディがあふれだして止まらなくなり、半音ずつ下がっていく展開が気持ち良くなり、こうなりました。この半音の美学がUKともマッチして、仮歌もグワーッと出てきた。さあ、歌詞をどうするか。自分で書こうかとも思ったんですが、自分の中で試したい男がいた。それが前野健太でした。

──2015年のChageフェスにもゲストとして登場したシンガーソングライターですよね。

そう、Chageフェスで不思議な空気感を作り出した男。前野健太のあの世界観がほしくて、電話したら、受けてくれました。何も指定せずに、このデモテープから感じるものをそのまま歌詞にしてほしいと頼んだら、こうなった。「Love Balance」というタイトルからして、すごい。「よく出たね」って言ったら、「何言ってるんですか、Chageさん。仮歌で歌ってましたよ」「歌ってないよ」「いや、そう聞こえました」って。彼が見事に自分の個性を発揮してくれた結果ですよね。どん底に落とすだけじゃなく、ちゃんと救いがあるところもいい。<歌でも歌おうか>って、最後のところも素晴らしい。突き落としていて、これですから。プロデューサーとして、彼を起用したことにもガッツ・ポーズでした。

公演情報

DISK GARAGE公演

Chage Live Tour 2019 feedback

2019年8月31日(土) 名古屋・Zepp Nagoya
2019年9月7日(土)8日(日) 東京・豊洲PIT
2019年9月13日(金) 福岡・Zepp Fukuoka
2019年9月15日(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside

チケット一般発売日:2019年7月7日(日)

RELEASE

「feedback」

NEW ALBUM

「feedback」

(ユニバーサル ミュージック)
2019年8月7日(水)SALE
  • 取材・文

    長谷川 誠

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