神はサイコロを振らない、約2年振りのツアー。直接会って「おめでとう」「ありがとう」のキャッチボールが初めてできる

僕らの音楽に救われた、と言ってくれるファンに救われた（柳田）

──新しいシングル『エーテルの正体』ですが、どんなふうにして作っていったのか、教えていただけますか。

柳田この『エーテルの正体』というのは、曲のタイトルではないんです。アルバムみたいにタイトルを付けたというか。さっき話してたのは、わりと新しい層に対する自分の気持ちなんですけど、その反面、この4人を支えてくれてた、ずっと応援してくれるファンっていうところで……2020年、音楽を生で届けることができなくて、新曲を出し続けたり、配信ライブをしたり。という中で、メンバーみんな、ファンの方からメッセージをもらっていて。
その中で、僕らの音楽に救われました、って言ってくれる人が、少なからずいて。その反面、僕らは、そういう声にすごい救われていたというか、お互いが支え合って進んでこれた2020年だったので。僕らにとっての光は、音楽であって、ファンのみなさんであって。で、ファンのみなさんからしてみれば、生きるための光は、僕らの音楽であったりとか……生きていくための道標みたいな、そういうところが、音楽であり、人であり、っていうところに、気づけた1年間だった。
エーテルっていうのは、光が伝わっていくための媒質、みたいな意味なんですけど。だから、楽曲云々よりも、2020年をまとめてこのタイトルにした、という感じですね。

──1曲ずつ、一緒にやっているアレンジャーがバラバラですよね。

柳田そうですね。その楽曲が呼ぶアレンジにしたかったというか、僕ら自身もいろいろ勉強したいというか。「プラトニック・ラブ」は、東京事変やThe HIATUSの伊澤（一葉）さん、初めてアーティストの方と一緒に曲を作ったんですけど、それもまた、突拍子もないアイデアが出てきたりとか。こんなにいろいろ発見があったレコーディングは、初めてだったんじゃないかと思います。

吉田アレンジャーさん3人、性格も全然違うし、めっちゃおもしろいなと思いましたね。曲も全部違うし、レコーディングの時、同じバンドの曲だと思えなかったぐらい。改めて聴くと、シングルのボリュームを超えてるんじゃないかな、っていう感じがしますね。

柳田そう、フルアルバムみたいなシングルができた。1曲1曲が違う顔を持っていて、今、自分の中で浮かんだアイデアを、アレンジャーさんたちと一緒に広げていく作業も、今回はすごい深かったので。曲数は少ないですけど、アルバムを聴き終えた時の感覚に近かった。

黒川亮介(Dr.)各曲で、今できる神サイのベストを更新できたんじゃないかな、っていうふうには思いましたね。

桐木いろんなベクトルに曲が飛んでるというか……今までは、プレイヤーとして曲を作ったりとか、ミニアルバムを作ったりしてたんですけど、今回は、自分の中のわがままだったり、要らないプライドの部分だったりを削ぎ落とした、みたいな感じで。より洗練された4曲ができあがったのかな、と思いますね。

──で、待望のツアーが。

柳田ツアーも、このシングルのタイトルと、すごい近しいというか。僕らは、本当に去年は、ファンの方々に支えられて、ライブができない中でも、なんとか前向きに楽曲を作って、この4人で神サイとして動き続けられたんですね。
そんな中で、メジャー・デビュー後も、直接「ありがとう」っていうのを、まだ言えてなくて。ファンのみなさんも……SNSとかで「おめでとうございます」みたいなメッセージは、たくさんいただきましたけど。でも、直接会って、音楽を通して「おめでとう」「ありがとう」のキャッチボールが、初めてできる気がしてるというか。

桐木声を出せなかったりとか、もみくちゃになれなかったりとかするので、何かしらお客さんの中で、不完全燃焼はあると思うんですけど。そこも、自分らのパフォーマンスとか、演奏で、埋めて、いい空間を作っていきたいですね。

柳田まあ神サイはもともとね──。

桐木もみくちゃにはならんけど（笑）。

柳田棒立ち系だったので。だからむしろ、「コロナだからみんな棒立ちだ」って言える（笑）。

PRESENT