布施明、デビュー55周年ライブ開催間近!「この道は良かったな」と振り返るのは早いかな、もう少し先に行きたい

インタビュー | 2021.04.14 18:00

──その後、75年には「シクラメンのかほり」の大ヒットを出し、日本レコード大賞まで獲得しました。

自分としてはちょうどデビューして10年経ったし、そろそろ少し休ませてほしいなと思っていた時期でした。そのことを渡辺晋社長に相談したら、「わかった、でももう1曲だけやってみないか? それでだめだったら1年ぐらい休んで、勉強するなり外国へ行くなり、自由にしていいから」と言われ、歌ったのが「シクラメンのかほり」だったんです。その後エピック・ソニーの社長になった小坂洋二さんは当時僕のマネジャーで、彼が持ってきた曲でした。それがまさかのレコード大賞まで行ってしまって、結局、翌年もらった休暇は1週間だったけど(笑)。

──その翌年にまたも大ヒットとなった「落葉が雪に」は、布施さんの自作曲でしたね。自作はかなり前からなさっていましたが。

「落葉が雪に」は、旅先で作った曲です。昔は全国を旅で回る時、だいたい10日から15日ぐらいかけていたので、その間に毎日、曲ができちゃうんですよ。「落葉が雪に」はヴァースもあって、すごく長い曲だったんだけど、CMソングになるというので、そこを短縮して歌部分だけ残してシングルで出したんです。

──ちょうど時代はシンガー・ソングライターが次々と世に出てきた時期で、その意味でも布施さんの先見性を感じさせます。先見の明という点では、79年の「君は薔薇より美しい」で、この時代ようやく注目を集め始めたゴダイゴのミッキー吉野さんを作曲に迎えていますね。

「君は薔薇より美しい」もCMソングだったけど、最初はミッキー吉野が、「ジャズを作りたい」という発想で書いた曲なんです。彼としては、レコーディング段階での音は、ものすごいジャズなんです。今聴いてもそんな感じはしないと思うけど、それは仕方ないところで、「霧の摩周湖」だって、平尾昌晃さんがカンツォーネのつもりで作った曲なんだから。時代とともに聴く側の印象はどんどん変わっていくからね。でも、この曲は変則拍子で、途中で3/4になるから、お客さんが手拍子できなくなる(笑)。ファンの人も良く知っていて、そこに来ると手拍子を休む。そんな難しい歌だから、面白いとは思ったけど、その後皆さんに愛され、歌われ続ける曲になるとは思っていなかったです。ですから、その後、Jazzバージョンというのを新たに作りました。スタン・ケントン・オーケストラとか、あの時代のポップなジャズにしたいな、と。そのJazzバージョンは、4月25日に発売されるデビュー55周年記念BOX『陽はまた君を照らすよ AKIRA FUSE 55th Luxury BOX』に収録されていますが、今回のステージでも発表します。

──それは楽しみです! そのBOXには、「恋のバカンス」「花と小父さん」の2曲も収録されましたが、こちらは布施さんの先輩にあたるザ・ピーナッツ、植木等さんとの、時を超えた画期的なデュエットです。

ザ・ピーナッツは僕のお姉さん的な存在で、彼女たちの前歌もやっていたし、憧れの存在でした。彼女たちの仕事に対する姿勢、寝る間も惜しんで音楽に向かう姿は、本当に素晴らしかった。何しろ30分の番組を作るのに4日ぐらいかけてリハーサルをするんです。歌を覚えて、ダンスも覚えて、コントもあって、ほとんど寝ないで臨んでいたんです。「俺もこのくらいやらなきゃダメなんだな」と当時思っていました。植木さんはハナ肇さんと並んで僕の兄貴分。そんな人たちとのデュエットですが、当時から一緒に歌ったりはしていたんですが、レコード化された音源はないんですよ。それで船山基紀さんにお願いして、新たにデュエット物として作っていただきました。船山さんは、乗ってくれると、すぐアレンジが完成しちゃうんです。ピーナッツも植木さんも、本当にすぐ出来てきちゃった。ただ、あの時代のレコーディングはチャンネルを歌と演奏で分けていないから、当然歌に演奏がかぶっているんですが、これを極力無くして、歌だけ抽出してもらったんです。これは凄いことですよ。

──いまだ革新的な試みを続けている布施さんですが、今回、東名阪の3か所で『AKIRA FUSE 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR~陽はまた君を照らすよ~』の追加公演が開催されます。このBOXも会場で販売されるということですが、最後に、コンサートへの意気込みをお話ください。

55周年のツアーが、去年の9月にスタートしたんですが、ショーの台本は渡辺プロ時代から、いつも自分で書くんですよ。それで、ツアーの内容は、モーツァルトのレクイエムで始まり、幕が開くと「上を向いて歩こう」をア・カペラで歌う、そういうスタートだったんです。でも、このコロナ禍のなかで、追加公演はもう少し明るいものにして、テーマとしては「Don’t worry,be happy」、まあ楽しく行こうよ、という気持ちで臨むつもりです。和薔薇、ってあるでしょう?

──花の和薔薇ですか?

そう、和薔薇って普通のバラみたいな派手さはないけれど、でもちっちゃいトゲがあって、刺さるとチクッと痛い。だから見た人の想い出にチクッと刺さるような、そんなステージにできたらな、と思っています。50周年の時は、それこそほとんど全部オリジナル曲だけでステージを組みましたが、でも、今回はもう1歩先を見据えて歩き出したんだから、次に1歩出ようとしている布施明を見ていただきたいと。それこそ、トニー・ベネットなんて90代になってもレディー・ガガと共演しているし、僕だってまだ「この道は良かったな」と振り返るのは早いかな、もう少し先に行きたいな、と。この世界は、はかない芸事ではあるかもしれないけど、同じ時期を寄り添ってくれて、僕の歌にチクッと刺さった人はもちろんですが、若い人たちにも来ていただいて、彼らにチクッと刺さってくれて、この先5年10年と残ってくれるものになったら、嬉しいですね。是非楽しみにしていてください。

公演情報

DISK GARAGE公演

AKIRA FUSE 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR~陽はまた君を照らすよ~ FINAL SPECIAL!!

2021年4月25日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール・愛知 
2021年4月27日(火) フェスティバルホール・大阪【開催延期】
2021年5月5日(水・祝) 東京国際フォーラム ホールA・東京【開催延期】

東京公演 チケット一般発売日:2021年3月13日(土)

今宵☆jazzyに!8

2021年6月4日(金) Bunkamura オーチャードホール・東京

司会:モト冬樹、森口博子
ゲスト歌手:布施明、阿川泰子、新妻聖子
演奏者:クリヤ・マコト(P)、納 浩一(B)、則竹裕之(Dr)、エリック・ミヤシロ(Tp)、本田雅人(SAX)、中川英二郎(Tb)、平木LAGGY宏隆(Gt)、MARU&酒井尚子(Cho)
ゲスト奏者:渡辺香津美(G)、寺井尚子(Vn)
※都合により出演者が変更になる場合がございます。

チケット一般発売日:2021年4月20日(火)

INFO

布施明デビュー55周年記念BOXを555セット限定発売!

布施明のデビュー55周年を記念した超豪華BOXが、4月25日愛知県芸術劇場、4月27日大阪フェスティバルホール、5月5日 東京国際フォーラム ホールAの3会場で計555セットのみ販売される。
BOXにはCDが2枚とDVDが2枚の他、今回のBOXの為だけに制作されたヒストリー本などが封入された超豪華パッケージ仕様で完全生産限定となり、各会場コンサート開催日だけの“限定販売”となる。

また、CD(DISC-1)に収録される「恋のバカンス」「花と小父さん」の2曲は、布施明が尊敬してやまない“ザ・ピーナッツ”“植木等”とのデュエット楽曲となっているが、船山基紀氏による当時の音源からボーカルだけを抜き出し、リアレンジする技術によって夢の共演が実現できた超貴重な音源となっている。

CDにはその他新曲4曲、「君は薔薇より美しい」JAZZヴァージョン、「カルチェラタンの雪」セルフカバー、インディーズ盤にて発売の既存曲JAZZ、CLASSIC等が収録され、DVDには55周年のインタビューやレコーディング風景、そしてBillboard Live YOKOHAMAでのJAZZライブの模様などが収められる予定。ヒストリー本は本人の最新インタビュー含め、約100ページから構成される小説となっており、盛り沢山で永久保存版のBOX内容となっている。
購入者には、会場限定となるレアな特典も予定している。

  • 取材・文

    馬飼野元宏

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