椎名慶治がSURFACEがいる世界線の中での初めてのアルバムをリリース!「本当の意味でのソロのファーストはこれなんじゃないか?と思います」

インタビュー | 2021.09.03 18:00

──「GOOD GIRL」は、コロナ時代を意識して書いた曲なんですよね。

そうです。「今度会える時までに自分磨きをしていてね」ということですね。「GOOD GIRL」はちょうど、去年やるはずだったオリンピックの時期に書いていたんですよ。だから“金メダルを超えよう”という歌詞が出てくる。コロナとかオリンピックとか、時事ネタを入れて書いて、グッズを買ってくれた人のためにデモテープの形で配ったのが、9月ぐらいでしたかね。その頃作った曲で、アルバムから漏れた曲もあるんですけど、「GOOD GIRL」は、コロナを忘れないためにも、1曲ぐらいはコロナのことをはっきり歌った歌詞があってもいいんじゃないか?ということで、入れました。

──「I and I」も、時事ネタっぽい曲じゃないですか。政治的なことも、さりげなく入れていたりする。

これも俺一人では書けなかった歌詞で、野口圭と、ラップにTEEDA(BACK-ON)くんが参加してくれてます。レフティが紹介してくれたんですけど、TEEDAくんとは変な縁があって、俺が18歳で家を飛び出して一人暮らしをしたのが、足立区の佐野というところで、TEEDAくんがミュージシャンの仲間と一緒に暮らしていたのも、足立区佐野なんですよ。年齢は9個下で、「SURFACEっていうかっこいい地元の先輩がいる」って、いつか仕事をしたいと思ってくれていたらしいんですけど、レフティのオンラインサロンで初めてコラボして、「このラップ誰? かっこいいね」ということになった。「I and I」が2回目のコラボですね。まだ生では会ったことがないんですよ、データのやりとりだけで。

──それも時代ですね。

「I and I」は、アルバムの最後に作った曲です。ジャケットのデザインの、四角でくくられた「and」をパッと見た時に、「I and I」というふうに見えて、野口に「『I and I』という歌詞を書きたいんだけど」って振った曲。調べてもらったら、「I and I」はレゲエのスラングで、「私たちはみんな同じ」というような意味があると聞いて、「これはいいわ」ということになって、書いていったんですけど。野口が「パッと見てわかりやすい歌詞にはしたくない」と言って、“マッシュルームorバンブー?”というのは、〇〇〇〇〇と××××××のことなんですけど。

──全然わからない(笑)。今気づきました。

どっちが好きか?とか、よく論争になるじゃないですか。それが面白くて、僕が2番で“レッドorグリーン”と書いたのは、□□□□□と△△△△△なんです。しょーもないですよね(笑)。

──それ、伏字にしておきます(笑)。ファンのみなさんが想像できるように。

そういうものも入れつつ、“9条”“ 原発”“ カジノ”とか、シリアスな問題も入れて、なかなか攻めてる歌詞になったと思うし、それがアルバムのど真ん中の6曲目にある。「I and I」が真ん中にあるのが、自分でも面白いなと思います。このアルバムの中心がこれですね。

──曲順の流れもパーフェクト。そしてラストは「KI?DO?AI?RAKU?」のアルバムバージョンで、思い切りロックにぶっ飛ばして終わる。

去年、SURFACEの『PASS THE BEAT』というアルバムを作っている時に、マネージャーから言われた一言があるんです。「コロナ禍でみんな疲れてるから、応援歌が欲しい」「応援歌といえば椎名慶治だ」と。「1曲チャレンジしてもらっていいですか?」と言われて、作って聴かせたら、「いい曲だから、椎名ソロとしてデジタルリリースしましょう」と。それが「KI?DO?AI?RAKU?」で、思っていたよりもいい形で話題になってくれて、オリコンミュージックストアというところだけで配信したら、デイリー、ウィークリー、マンスリーチャートで1位、年間チャートで10位になった。「みんなが求めてくれていたんだな」と思って、アルバムにも収録することになった時に、アルバムバージョンとしてももう少しロックで元気なサウンドにしたんですけど、最初に思っていた「SURFACEとの線引き」という意味で言うと、SURFACEに近い曲だから、最後に入れたんです。ほかの曲とは混ざらない、異質な曲なので。それがエンドロールのような役割になって、いい流れが作れたと思います。

「KI?DO?AI?RAKU?」

──まさに。

SURFACEがいる世界線の中での初めてのアルバムなので、本当の意味でのソロのファーストはこれなんじゃないか?と思います。今までは、ソロをやりながらも、ファンの人たちに「SURFACEを見せてあげなきゃ」という思いがどこかにあって、SURFACEっぽい曲を必ず入れていたんですよ。それを入れないでいいという意味で、本当に椎名慶治の個人名義のアルバムができたなと思います。短いアルバムなので、俺のことを知らない人も「人生の40分間だけ俺にくれないか」と思いますね。嫌だったら二度と聴かないでいいから、とにかく聴いてほしい。

──みなさん、ぜひ。

あと一つ、コロナのせいで気づかされたことがあって。自分が思っているよりも、自分は音楽が好きだったんだということを、コロナのせいで気づかされました。ある時期から、音楽が好き嫌いではなくて、「やるしかないからやる」という感じになっていた気がするんですよ。だからといって手抜きはしないし、本気でやってきましたけど、コロナになってから「人前でギャーギャー歌いたい。ギャーギャー返してほしい」と思うようになった。「そう思うってことは、お前、音楽が好きじゃん? ライブが好きじゃん?」と思いましたね。ライブが嫌いとか言ってたくせに。それをコロナのせいで気づかされるのは、ちょっとムカつくんですけど、そういうものもこの1年半で味わいました。だから、(コロナが)これで終わってほしいですね。「もう気づいたんで、いいですか?」って。

──コロナの先を見据えたツアーは、9月23日の静岡から、10月24日の東京・日本橋三井ホールまで、全6本です。

お客さんはソーシャルディスタンスを取って、マスクをしたまま見てもらうので、今までのライブとは違うんでしょうけど、「来てよかった」と言われるような、魔法をかけられるライブにしたいと思います。レフティも参加してくれて、今回のアルバムをどこまで再現できるか?にチャレンジするので、楽しいライブになればいいと思っています。

──あと、最後にもう一つ。『and』と同じ日に、ソロ活動10周年記念として、ファースト・ソロアルバム『RABBIT MAN』のリマスター盤が出るので、お勧めの言葉をぜひ一言。

オリジナルの『RABBIT MAN』はすべて売り切れて、今は手に入りにくいので、「だったらリマスターにしましょう」「『ON』と『PASS THE BEAT』で世話になったジョン・デイビス(ロンドン、メトロポリススタジオの世界的エンジニア)に、バッキバキの音にしてもらいましょう」と言ったら、本当にバッキバキになった(笑)。リマスターという言葉は聴いたことあるけど、具体的に何ですか?と言われても、わからない人たちがいっぱいいると思うんですよ。そういう人たちに「リマスターとはこういうものです」とわかってもらえる作品になっていると思います。僕が説明するよりも、聴き比べた時に「こういうことが起きるんだ」って、音から発見してもらえればうれしいですね。『and』とは全然違うサウンドなので、楽しんでもらえればと思います。

PRESENT

直筆サイン色紙を1名様に!

※転載禁止

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

Yoshiharu Shiina Live 2021「KNOCK and OPENED」

2021年9月23日(木・祝) 浜松窓枠・静岡
2021年9月25日(土) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3・埼玉
2021年10月2日(土) BEAT STATION・福岡
2021年10月9日(土) UMEDA CLUB QUATTRO・大阪
2021年10月16日(土) NAGOYA CLUB QUATTRO・愛知
2021年10月24日(日) 日本橋三井ホール・東京
※生配信は10月24日(日)日本橋三井ホール公演のみ予定しております。

チケット一般発売日:2021年9月11日(土)

「Vocal Summit 2021」出演!

2021年9月5日(日)品川インターシティホール
〈出演〉大黒摩季 / 田澤孝介 / 中島卓偉 / 椎名慶治 / TAKUMA / RYO

〈SPECIAL BACKBAND〉Gt.三代堅 / Gt.Kenji / Ba.Ju-ken / Dr.小柳”cherry”昌法 / Key.炭竃 智弘
〈司会〉DAISHI

ローソンチケットにて当日引換券販売中!
先着受付期間:2021年9月4日(土)23:59まで

>>お申し込み・詳細

RELEASE

『and』

オリジナル5thフルアルバム

『and』

2021年9月15日(水)SALE
『RABBIT-MAN』リマスター盤

1stフルアルバム

『RABBIT-MAN』リマスター盤

2021年9月15日(水)SALE

INFO

歌詞検索サイト「歌ネット」にて、椎名慶治の歌詞エッセイが公開!

  • 宮本英夫

    取材・文

    宮本英夫

    • ツイッター

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