西恵利香が約2年振りとなるフルアルバム『flower(s)』をリリース!「早く次に動き出したい」と活力に漲る彼女にインタビュー!

インタビュー | 2021.11.02 12:00

コロナ禍以降もコンスタントに楽曲をデジタルリリース、配信・有観客ともに自主企画ライブを開催し、YONA YONA WEEKENDERSのサポートコーラスにも参加するなど精力的に活動する西恵利香。彼女が『Love Me』から約2年振りとなるフルアルバム『flower(s)』を完成させた。様々なトラックメイカー/プロデューサーとタッグを組んで制作された全10曲は、彼女が1本1本丹精込めて育てた花のように可憐で凛々しく、どこか切なげで美しい。ちょうど1年前のインタビューでは「なかなか制作に取り掛かる気持ちになれない」と語っていた彼女であったが、今回のインタビューでは「早く次に動き出したい」と活力に漲っていた。この1年間で彼女にどんな変化があったのか? 『flower(s)』の制作秘話から、その理由を探っていった。
──今作『flower(s)』は、フルアルバムとしては『Love Me』から約2年ぶりのリリースです。どうやら早い段階から構想は立てていたそうですね。

アルバムを作るために動こうかなと思い始めた段階から“flower(s)”というタイトルがあったんです。それに合った曲を一つひとつ選んで、作っていきました。

──紙資料にあるとおり「それぞれの曲がそれぞれの花を咲かし、美しい花束になる」という思いを込めたということですね。なぜ“花”に着目なさったのでしょう?

コロナ禍で家にいることが増えたことがいちばんの理由です。替わり映えのない風景に飽きてしまって、ちょっと変化をつけたいな……と考えたとき、おうちにお花を飾ると華やかになることに気付いて。もともとお花を頂いたら全部持ち帰って家に飾っていたんですけど、コロナ禍きっかけでお花屋さんに通うことが増えたんです。花瓶を買ったりするようにもなりました。

──花とより距離を縮めて付き合うようになって、生活が豊かになったと。

本当にそうですね。わたしは移動中に新譜チェックをしたり、音楽を聴いたりしていたので、コロナ禍に入っても家で音楽を聴く気分になかなかなれなくて。だから家では花を眺めたり、愛犬と過ごすことで心が落ち着いたんですよね。色とりどりのものがあって綺麗だけど、生活の邪魔をしないなって。風景のひとつになってくれるところにも救われたんです。タイトルは“花(flower)”にするか“花束(flowers)”にするか悩んだんですけど、聴いてくれる皆さんにとって1輪・1曲でも、ひとつの花束という意味でアルバム1枚でも、わたしの曲もみんなにとって花のような存在になってくれるといいなあ……と思って“flower(s)”とつけました。ジャケットも含めていろいろ考えましたね。

3rdフルアルバム『flower(s)』

──西さんがリスナーのみなさんに、花束を渡すようなイメージかもしれませんね。1曲1曲違う主人公が存在しているところが様々なお花が同居した花束みたいでもあり、街みたいでもあるなと感じました。

ああ、うれしい。2020年から人と会える機会が減ったことで世界が狭くなってしまって、苦しい思いをした人、思うように動けなかった人も多いと思うんです。わたしも活動が停滞したり、先が見えない状況に落ち込んだ時期もあったんですけど、命があれば何度でもやり直せるし、楽しく笑える日も来る――そういう願いを込めて作った曲も多いですね。「生きているだけでもいい」「命があるだけでいい」と言いたかったんです。

──ちょうど1年前にお話を伺った時、西さんは配信ライブやリリースなど精力的に活動している反面、コロナ禍で精神的なダメージが大きくなかなか制作に取り掛かれないとおっしゃっていましたが。

前回インタビューしていただいたあたりが、いちばん滅入ってた時でしたね(苦笑)。コロナ禍での生活の仕方もちょっとずつわかってきたこともあって、今年に入ってから塞ぎこんでいるムードからちょっと抜けて。本格的にアルバム制作に入ってからはスムーズに進んでいきました。

──お客さんを入れてのライブを行えたことも大きいですか?

ああ、たしかに。「MAKE MY DAY vol.7」(※2020年11月27日、表参道WALL&WALLにて振替公演を開催。ゲストはTHREE1989)も、今年の1月のバースデーワンマンもお客さんを入れてライブができたし。YONA YONA WEEKENDERSのコーラスでステージに立つ機会も多かったので、去年の年末あたりからお客さんの顔を見る機会が増えきましたね。あとは、「コロナ禍で曲が作れないなんて言ってる場合じゃないな」と(笑)。

──ははは。ふとスイッチが入ったんですね。

お尻に火が付きました(笑)。コロナウイルスに対する考え方を「うまく付き合っていこう」と切り替えられたタイミングと、お客さんの前でライブするタイミングが重なったのと、あとは前2作と同じようにアルバムを2年おきでリリースしておきたかったのも大きいですね。

──そのなかで「STAY」を完成させられたことも、追い風になったのでしょうか?

「STAY」はイントロが鳴った瞬間に「ラスボスが来た!」と思うくらい(笑)、自分としてもすごく満足度の高い曲で。Spotifyとかでたまたま流れてきた時に、この曲の主人公と同じような気持ちを抱えている女の子が共感してくれたらうれしいなという気持ちもありました。だいぶ韓国のR&Bから影響を受けている曲なので、AメロとBメロは言葉を詰めて、サビはJ-POPを意識してますね。かっこよくて聴きやすいものを作りたかったんです。

【MUSIC VIDEO】西恵利香 / STAY

──「STAY」は『Love Me』や2020年にリリースしたシングルの流れを汲んで、極めた楽曲に仕上がっていると感じました。西さんの楽曲は“K-POP”でも“R&B”でもなく“韓国R&B”のテイストを取り込んでいるところもアクセントになっています。

それこそSpotifyのプレイリストのお陰ですね。今のレーベルに移ってから楽曲制作に参加させてもらえるようになって、「もっといろんなジャンルの曲を聴かないと曲作りはできないな」といろんなジャンルや国のプレイリストを聴くようになったんです。そのなかで“K-R&B”に出会ったんですよね。もともとR&Bは好きで馴染みがあったんですけど、K-R&Bは日本のR&Bより尖って聴こえたんです。韓国語独特の発音がすごくかっこよくて。

──トラックセンスだけではなく、韓国語ならではの語感も響いたと。

韓国語が歌に乗ると、日本語にも英語にもないグルーヴ感が生まれますよね。それがすごく気持ち良くて、あれをどうやって日本語で出せるのかな? と考えながら作ったのが「STAY」なんです。「STAY」をリミックスしてくれた(※2021年3月に配信リリース)韓国のトラックメイカー・bemyfrndが、「down」の作曲に参加してくれて。日本語が達者な子なので、曲作りでも助けてもらいました。

公演情報

DISK GARAGE公演

西恵利香 3rd Full ALBUM"flower(s)" Release Tour

2021年11月14日(日) Live House 秘密-Himitsu-・福岡
2021年11月20日(土) アメリカ村 BEYOND・大阪
2021年11月28日(日) Shibuya WWW X・東京

チケット一般発売日:2021年10月27日(水)

RELEASE

『flower(s)』

3rd FULL ALBUM

『flower(s)』

2021年11月3日(水)SALE
  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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  • 東 美樹

    撮影

    東 美樹

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