「ライブで盛り上がらない」というのが、ジレンマとしてずーっとあった(桐木岳貢)
柳田そもそも「ポスト・ロックやろうぜ」とか、一回も言ったことなくて。ただ「こういうの、かっこいいからやろうぜ」とか。
桐木岳貢(Ba.)始まりはそうだね。
柳田思い出したんですけど、神サイが始まった当初くらいから、ライブハウスをひたすら回ってて。亮介が当時乗ってた軽のクルマで、大阪まで行ったこともあったし。その時期から、なんか、俺ら、ライブ・シーンであきらかに浮いてて(笑)。
吉田うん。
柳田どのイベントに出ても、俺らだけ浮いてるな、っていうのをずっと感じてたし、ライブハウスの人からも「神サイってどうなりたいの？」とか、よく訊かれてたし。それがあるから今の神サイがある、って今は思えますけど、当時は、そうあることが悪いのかな、っていう疑問もあって。
──それは不安になりますよね。ライブハウスの現場って、メジャーのシーンとか業界以上に、流行り廃りに左右されるから。
柳田うん、うん。
黒川でも、「何がやりたいかわかんない」って言われた時は、「かっこよかったらいいじゃん」と思ってたんですけどね。
吉田(笑)ほんと？ 当時いちばん気にしてなかった？ バンドの行く末みたいなのを、めっちゃ話しよった記憶があるけど。
黒川うん、話しよったよ。
柳田とはいえ、神サイはどのバンドとも仲良かったから、イベントとか誘ってはもらえるんですよ。歌ものの界隈とも、シューゲイザーみたいな界隈とも、ラウド界隈とも仲良かったから。それで、いろんなイベントに出るからこそ、どこに行っても俺らだけ浮いてるのがわかる(笑)。お客さんみんな棒立ち、みたいな。俺らも「どうしたらいいんやろな？」っていう。
黒川「ライブで盛り上がらない」っていうのは、ずーっと話してた気がします。
桐木それがジレンマとしてずーっとあって。
吉田「盛り上がらないから、盛り上がるための曲を書くか」みたいなところまで行って、それで生まれた曲もあるし。俺らの曲、コール＆レスポンスが多いのは、そこきっかけな気がしますけどね。「お客さん盛り上がらない、どうする？」っていう話は、ほんとにいっぱいした。
柳田だから、いまだに、ライブ・バンドに対する劣等感みたいなのはめっちゃありますね。
──あ、言葉を足しますね。今言ったライブ・バンドっていうのは、お客さんがワーッとモッシュしたり、大声でシンガロングしたりするような、ライブでわかりやすく盛り上がるバンドってことですね。
柳田そうです。もう熱量で押し切るパワーを持っているバンドっているじゃないですか。そこに対して劣等感があるんですよ、やっぱり。決してそういうバンドを否定はしてないんですけど、ライブって、盛り上がってる＝感動してる、ってわけじゃないじゃないですか。岳貢とか俺は、ライブに行っても、盛り上がって観たりしなくて、勝手に心の中で感動してるタイプで。きっとそういう人たちが、少なからずいたから、今も神サイを続けられてると思うんですけど……でも、やっぱり、うらやましいな！ というか。
吉田・桐木・黒川(笑)。
柳田そういうバンドとの対バンも多かったんで。「なんで俺らのライブ、あんなにならんのやろな？」みたいな。
桐木むっちゃあったな、それ。
吉田うん。もう一生話した、それについて。
柳田もう、その話しかしてなかったぐらい。
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