FIVE NEW OLD“WASIRADIO”連動企画。HIROSHI、WATARU、永里道人志、兵庫慎司の4人がコロナ禍のコンサート事情を語る(後編)

インタビュー | 2022.05.05 18:00

無観客配信じゃないとできないライブとは

HIROSHIライブ配信の話に戻るんですけど、ライブ配信だからできることがあるんじゃないか、と。生の現場を映していることだけが、ライブ配信でできることじゃないな、という気持ちもあって。いろいろ配信ライブを観てこられた兵庫さんは、どう思われますか?
兵庫無観客のライブ配信に限っての話なんですけど、たとえばさっき話に出た、FIVE NEW OLDのビルの屋上での配信ライブ。あれ、無観客じゃなきゃ、できないライブですよね。
(詳しくは前編へ)

FIVE NEW OLD - Liberty 【Current Location Concert -Tokyo Bayside Rooftop Session-】

HIROSHIそうですね、はい。
兵庫僕は無観客配信ライブの現場に何度か行ったんですけど、お客さんがいる時と同じように、ステージ両端のスピーカーから音を出していることが多いんですね。でもあのFIVE NEW OLDの屋上ライブは──。
WATARU出せませんね。あそこ、街中なんで。
兵庫だから、普通のライブだったらできない場所である。だけど、ミュージック・ビデオみたいに当て振りじゃなくて、本当に演奏していて、それがほぼリアルアイムでオーディエンスに届いている。というのは、無観客配信ライブでなければ、できないことなんですね。
HIROSHIそうか。その視点、なかったな。
WATARUうん、ハッとしたな。
兵庫ただ、お客さんが入っているところでの配信で言うと、本当に悩むところで。無尽蔵に配信しても、無尽蔵には観てくれないわけで。
HIROSHIそうなんですよね。アーティスト側の本音として、「出し過ぎたら飽きられちゃうんちゃうか?」みたいな恐怖もありますし。悩んだりもしたよな、配信ライブをやって。
WATARUそうやなあ。
HIROSHI僕たち、4月29日から、ツアーで全国5本回るんですけど。今日の話をしていて、すごい思ったのは、ライブ会場にお客さんが来てくれた上で、来れない人がライブ配信を観てくれる、っていう状況を、こっちがどうやってちゃんと作っていくかっていうことが、すごい大事だなと思いましたね。
永里そうですよね。
WATARUそやなあ。
HIROSHI……締まっちゃった、話が(笑)。

ツアーの中に1本「ONLINE」がある、というアイデア

永里でも確かに、ライブのあの空気が震える感じを、バンドとオーディエンスが共有するというのは、去年、やっと有観客ライブができた時に、すごい感動したというか。
WATARUああ、わかりますわ。やっぱりね、奮い立たせてくれる感じっていうか。
兵庫ライブって、音を聴く場じゃなくて、音を浴びる場じゃないですか。
HIROSHIああ、そうですね!
WATARUすばらしい!
兵庫全身で音を浴びることは、ライブやクラブじゃないとできない。たとえ声が出せなくても、自由に身体を動かせなくても、その体験には、すごい価値があると思うので。
HIROSHIいや、これが結論ですね。
永里生演奏で、しかも優秀なPAがミックスしてくれた、でかいスピーカーから出る音を、浴びに来い! と。
HIROSHIそう、浴びに来い!(笑)。
WATARU浴びさせるツアーです、今度のも。
永里あと、照明もいいんです。
兵庫動画で切り取られた照明の光と、現場で体験する照明の光では、全然違いますもんね。
HIROSHIこちら側でエディットしたカメラワークで観る照明とは……もちろんそれはそれの魅力はあるんですけど。違いますよね。だから、僕たちミュージシャンとしては、まずライブというものは、現場で音を浴びるものであると。その体験を、来てくれる人たちに提供しつつ、ライブ配信は、配信だから提供できるものを、もっともっと突き詰めていけば……だから、新しい作品作りとして捉えたら、もっとおもしろいものになっていくのかな、と思います。
永里だから、将来的には、全国ツアーを回りながら、その中に1本「ONLINE」という会場があって。それが、来れない人たちが配信で観れる場所、っていう。
WATARUおお!
永里世界中の人がそこに集まれる。というのが、ポスト・コロナという意味では、いいんじゃないかと思います。
HIROSHIエクストラ・ショーとしてのオンライン・ライブ。それなら、足を運んでくれた人も、そこに見合う価値がもちろんあるし、来れない人をないがしろにするのでもない。
WATARUすばらしいアイデアが飛んで来た。

FIVE NEW OLD、『Departure Tour』の抱負を訊く

──今度のツアーは、もうリハには入っているんですよね?
HIROSHI入ってます。今までどおり、流れをさらうんじゃなくて、もう一回、1曲ずつ、この曲の存在意義とか、そういうところから練り直して、セットリストに臨んでます、今。
WATARUだから、また違う曲の顔を、ライブで感じてもらえるんじゃないかな。というのと、今回、新曲もありますんで。僕ら、ライブで曲がアレンジされていくことが多いので、そういうのも楽しみにしてもらえたら。
HIROSHIあと、まだレコーディングもしていない、配信もしていない、まったくの新曲も、お届けしたいな、と。昔のRADIOHEADとか、そういうことをやって曲を育てていた、みたいなのを読んだことがあって、ずっとやりたかったんですけど、なかなか機会がなくて。でも今回、ちょうどアルバムを作る前段階でのツアーなので、お客さんと一緒に曲を育てていけたらいいなと。そういうセットリストでもあります。
──今度のツアーでいちばん楽しみにしていることと、いちばん怖いことを教えてください。
HIROSHI楽しみは、やっぱり、この状況ですけど、自分たちが音楽でお客さんと一体感を生むことですよね。絆をちゃんと育んで帰る、それがどれくらい大きいものになるのかが、楽しみにしていることで。逆に言うと、それができなかったら、めっちゃ恐怖ですよね。いい歌声、いい音楽を届けたいので。それができなくならないように、声の調子はいちばん気を遣います。めちゃ普通なこと、言ってますけど。
WATARUライブって、たくさんの人が集まって、そのエネルギーと僕らのエネルギーをぶつけ合って、融合させて。楽しみにしてることは、そういうライブをみんなとすることですね。で、その反対のことが、僕も恐怖ですね。それができなくならないように、健康でいないと。気をつけていても、感染する世の中ですけど……。
HIROSHIめちゃまじめ!(笑)。
WATARU正直、それ以外、恐怖はないです。
HIROSHI確かに、ライブ飛ばすのがリアルにいちばん怖い。だから、ライブに来るっていうことが、危険なものではないんだっていうことを……来てくれた人もそうだし、来れなかった人も、そういう気持ちに変えていきたいので。そこがもう一個、このツアーの意義なのかな、っていうのは思いますね。そこは、今までのツアーとは、違うところかもしれない。

公演情報

DISK GARAGE公演

Departure Tour

2022年4月29日(金・祝)北海道・札幌 PENNY LANE 24
2022年5月6日(金)福岡・BEAT STATION
2022年5月19日(金)大阪・なんばHatch
2022年5月20日(金)愛知・DIAMOND HALL
2022年5月27日(金)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)

チケット一般発売日:2022年4月2日(土) 10:00

RELEASE

『Happy Sad』

配信シングル

『Happy Sad』

2022年4月29日リリース

ポッドキャスト

WASIRADIO

毎週水・日 18:00頃配信。FIVE NEW OLDのHIROSHI(Vo.G)とWATARU(G.Key)の幼なじみコンビによる雑談備忘録。WASILAというコンビ名で弾き語りも始めた二人が、気になった音楽、映画、ゲーム、アニメ、本について語りあったりしていく。感想は、#WASARADIO へ。

WASIRADIO(Spotify)

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

    • ツイッター
  • 撮影

    坂本彩美

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