NEMOPHILA、新AL『Seize the Fate』を引っ提げ日米ツアーへ!楽器隊4人の思い

インタビュー | 2022.12.07 18:00

2022年は年明け早々にメンバー全員揃って初の有観客ライブをLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行い、初夏に初の全国ツアーを先輩バンドとのツーマンで回り、3ヶ月連続デジタルシングルリリース、事務所の先輩であるSHOW-YAとのツーマン公演やアメリカ・カリフォルニア州サクラメントで行われる世界的人気フェス「Aftershock Festival2022」に出演するなど、バンド史上最も精力的な活動を見せたNEMOPHILA。彼女たちが2ndフルアルバム『Seize the Fate』をリリースする。持ち味であるHR/HMの要素を軸にしながらさらに音楽性を広げるバラエティに富んだ同作は、ライブのキラーチューンになるであろう楽曲が多く揃った。
NEMOPHILAは2023年の年明けから3月にかけて、日米ワンマンツアー「NEMOPHILA TOUR 2023 “Seize the Fate”」を開催予定。mayu(Vo.)の産休明け復帰ライブでもある。様々な変化のなかで、彼女たちは今どんな思いのもと音楽と向き合っているのだろうか。楽器隊4人にアルバムとツアーについて語ってもらった。
──2021年12月に1stアルバム『REVIVE』をリリースなさってからの1年は、かなり動きの多い期間になったのではないでしょうか。
むらたたむ(Dr.)いろんなことがありすぎる1年でした。今年1月のLINE CUBE SHIBUYAワンマンは、体感3年前くらいです(笑)。
ハラグチサン(Ba.)わたしもLINE CUBE SHIBUYAは数年前のような感覚です。それくらいすごくいろんなことを経験した、とても大事な年になりました。
葉月(Gt.)結成してすぐにコロナ禍に入ってしまったので、ようやくお客さんの前に出られる機会を得られた1年でしたね。楽しいことばかりでした。
SAKI(Gt.)あとバンドにとっては、mayuちゃんの妊娠がすごく大きなトピックでしたね。本当は「Aftershock Festival2022」の後に、そのままアメリカツアーを回ろうとしていたんです。でも時期的に難しいということで来年の春に組み直したら、その頃に「SXSW 2023」の出演が決まって。だから結果的にいい方向に転がってる、なんなら計画してたぐらいのスケジュールになりました。
──時の流れが味方についているような歩みだと思います。『REVIVE』から約1年ぶりにリリースされる2ndアルバム『Seize the Fate』ですが、さらにNEMOPHILAの新しい表情をたくさん見られる作品だと感じました。5月から3ヶ月連続でデジタルシングルをリリースしていましたが、その頃にはアルバムの構想なども進んでいたのでしょうか?
SAKILINE CUBE SHIBUYAが終わった段階で、2ndに向けて選曲会をしていたような記憶があります。今年いろいろありすぎて定かではないんですけど(笑)、2、3月ぐらいからアルバムのレコーディングは始めていました。1stを踏襲して、NEMOPHILAらしくハードなものを主軸にしたうえで、NEMOPHILAに合いそうだと思うものを各々で作ってこようという話をしましたね。
むらたたむ2022年は制作とライブを並行しての活動だったんです。
SAKIそれで途中から「この曲をアルバムに採用するから、アルバムのバランスを考えるとこういう曲欲しいよね」や「シャッフルっぽい曲をみんなで書いてきて、そこから選ぼう」と、収録する楽曲の方向性が固まっていきました。すべてNEMOPHILAに合うものであるというのは大前提でしたね。

NEMOPHILA / Seize the Fate [Official Music Video]

──その「NEMOPHILAに合うもの」とは具体的に言葉にするとどのようなものでしょう?
SAKINEMOPHILAのいちばん最初に作った楽曲が「OIRAN」で、これが軸になっているとは思いますね。この曲はそれぞれメンバーが好きな曲を挙げていって、それを踏まえて岡ナオキさんや秋山健介さんに作ってもらったんです。そこから活動していくなかで、だんだんみんなの「NEMOPHILAと言えばこうだよね」という認識が固まってきたとは思っていて。だから2ndがこれだけ自由度高くても「全曲NEMOPHILAだよね」と思えるんだと思います。あとは、キャッチフレーズにもしている「地獄のゆるふわ」ですね。ハードさは失わず、でもハード一辺倒にならず、キャッチーで前向きさを常に持っている音楽にしたいなと思っています。
葉月あとは5人のキャラクターがはっきりしてるので、その個性をどう生かしていこうかとは制作でもライブでもみんな考えていて。
ハラグチサン曲を作るときは、そのバランスを取るのが難しいんですよね(笑)。だからバンドの土台、基本であるドラムを重要視して制作したり。バランスの取り方は永遠の課題なのかなと思っています。
むらたたむバンドだとボーカルだけが目立って、ほかのメンバーの顔は思い浮かばないことがあると思うんですけど、NEMOPHILAは5人 全員がちゃんと存在感のある、いる意味のあるバンドでありたいなと思っていますね。だから曲を作っている時も「ここはこの人にこれやってほしいな」とイメージする時があって。それぞれのメンバーのことを考えながらすべての活動をしていると思います。
──mayuさんもメインシンガーとしてフロントを張りながら、皆さんが前に出て演奏しているところをすごく楽しんでいる印象を受けます。
葉月でもやっぱりNEMOPHILAの花形は彼女だと思っていますね。mayuちゃんがいないとNEMOPHILAは成立しないし、みんなで「太陽みたいな天真爛漫な子」と話しています。
ハラグチサンmayuちゃんとわたしは同い年なんですけど、全然キャラが違って。よく「太陽と月みたい」とか「陰と陽」と言ったりしてます(笑)。でもすごく好きなんですよね。
むらたたむmayuちゃんはすごく素直な人なんだよね。それが歌にも表れている。すごく気持ちが乗っている時は曲中の「イェーイ」も本当に「イェーイ!」って感じで歌うし、ちょっと落ち込んでる時は落ち込んでるのがバレバレ(笑)。その人間味がすごく好きですね。母になって、どんな変化があるのかもすごく楽しみなんです。
※取材日は11月21日
SAKImayuちゃんは責任感が強すぎるんですよね。才能もセンスもあるんだから、もっとステージでも気楽でいいのになと思うことがよくあるかな。だからわたしも、mayuちゃんが母になってどんな変化があるのかなと楽しみで。実際にたむちゃんがすごくドラムが変わったんですよ。だからmayuちゃんの歌もステージングもすごく変わるだろうし、また新しいNEMOPHILAになると思っていますね。
──アルバムはタイトル曲「Seize the Fate」で幕を開けます。こちらはNEMOPHILAのおいしいところが詰まった楽曲ではないでしょうか。
SAKI曲も歌詞も、わかりやすくNEMOPHILAを表していると思いますね。楽曲会議で、誰かを応援するような前向きでポジティブなエネルギーのある歌詞を書こうねという話はしていて。常にテンションがすごく高い曲なので、ただただひたすら前を向いていく、後ろは振り向かない!という歌詞にしましたね。音数がすごい曲です(笑)。
──また、和風メタルな楽曲もNEMOPHILAの持ち味のひとつだと思うのですが、「炎天 -ENTEN-」ほど振り切ったアプローチは驚きました。
SAKIそういう曲もやりたいなとは前々から思っていて。あと、うちの事務所の社長はミーティングの最後に必ずなぜか観阿弥世阿弥の言葉を引用するんです(笑)。だから和を取り入れるなら能がいいかなと思ったんですよね。それで能楽師の友達――この曲に参加してくれている山井綱雄さんから資料を貸してもらって、歌詞の文体も作り込んだんです。
──能楽師さんとお友達とは、かなり顔がお広い。
SAKI山井さんは重要無形文化財保持者というすごい人なんですけど、聖飢魔Ⅱが好きすぎてコピバンをやっていて、そこで知り合ったんです。初対面のときの山井さんは(デーモン)閣下のメイクをしてました(笑)。メタルのこともよくわかっている人なので、レコーディングでも「ここのブレイクで~」と話してすぐ全部わかってくれてたし、「ここには謡(※うたい。能の舞いに添えられる歌謡)を絶対入れたほうがいいよね」みたいに全部考えてきてくれて、めっちゃ助かりました。
葉月山井さんのレコーディングにはわたしも立ち会っていたんですけど、足のつま先から頭のてっぺんまで全部で歌っていて、全身が鳴っている感じがしました。一般人3人分の声量だった。
──津軽三味線で参加している浅野祥さんも、様々なジャンルの音楽で三味線をプレイしている方ですよね。
SAKI祥くんは大学の同級生で、わたしはずっと会ってなかったんですけど、秋山さんが祥くんと知り合いだったんですよね。それで参加してもらったら山井さんと祥くんも知り合い同士で、スムーズに作れました。
──ハラグチサンさんが作詞作曲なさっている「ZEN」は、mayuさんがひたすらスクリームをし続けるというかなり攻めた楽曲で。「STYLE」然り、ハラグチサンさんのお作りになる曲はキュートさとイカツさのハイブリッドという印象があります。
ハラグチサンあ、うれしいです(笑)。ブレイクっぽい箇所にシンセっぽい音を混ぜるのが好きなんですよね。mayuちゃんはスクリームがすごく得意だという話を聞いていたので、ライブで結構暴れられる曲にしたいという気持ちから「ZEN」は全編スクリームにしました。でもどうやらちょっと聞いた話だとmayuちゃんがしんどい曲だと言っていたらしくて、やってしまったかも……と思っています(笑)。聴いてくれた人が自問自答できるような曲にしたくて、歌詞は全部わたしが普段疑問を抱いていることを書き連ねてみました。
──むらたさんが制作に入っている楽曲はインストの「Soaring ~to be continued~」含め、どれもタイプが違ってカラフルではないでしょうか。
むらたたむアルバムの全体像が出来上がったうえで「あとこういう感じの曲が欲しいよね」というものを私が作らせていただいたので、そう思っていただけるのかもしれません。曲は鍵盤で作ることも多いんですけど、自分自身もドラムセットの太鼓が多いので、カラフルに叩きたい気持ちもありますね。それが曲作りにも影響してるのかもしれないなと、今そう言っていただいて思いました。歌詞を担当した「Waiting for you」はすごくポジティブな曲だったので、ポジティブな歌詞を書いたら採用してもらえて(笑)。チアっぽいところはメンバーみんなで歌えたらなと思っていますね。みんなで盛り上がれる曲になればうれしいです。
──SAKIさんが歌詞を担当し、葉月さんが作曲をしている「now I here」は、優しいメロディが引き立つロックバラードで、アルバムの中でも存在感を放ちます。
葉月もともと自分がギターですごいリフを効かせる曲を作るタイプではないので、いわゆるアコースティックみたいなバラードをイメージして、鍵盤で作りました。NEMOPHILAはハードロックとmayuちゃんの力強い歌声があってこそだと思うので、ロックバラードという形に落とし込みました。
SAKI作品全体を通して「前を向く」というのはテーマになっていたので、歌詞はそのテーマを軸にして恋愛っぽくないけど恋愛みたいにも受け取れたりするラインを考えて書いていきました。
──SAKIさんのお書きになる歌詞は、楽曲の主人公が持っている意思をはっきり提示したものが多い印象がありますが、それはご自身の性質ですか?
SAKImayuちゃんが歌うことを意識しているからそういう言葉選びになるのかも。「Seize the Fate」然り、悩み苦しんだままでいる歌詞があんまり似合わない気がするし、それをNEMOPHILAでやるのもmayuちゃんが歌うのも想像できないというか。「Rock’n Roll Is?」とかは秋山さんの作った曲がトラッドなロックンロールだったので、いろんなロックバンドの名前や歌詞とか、遊びを入れた歌詞になりましたね。アメリカでもロックは最近人気のないジャンルになっちゃってるんで、そういうの含めてNEMOPHILAで元気にするぞ、みたいな意志が感じられると楽しく聴いてもらえるかなと思って書きました。

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