リフの惑星、UKにフォーカスした新作「EUREKA」とリリース記念ワンマンについて聞く

インタビュー | 2023.07.14 16:30

4ピースロックバンド、リフの惑星が7月21日(金)東京・渋谷La.mamaでワンマンライブ「SUMMER OF LOVE」を開催する。
UKロックのテイストを前面に押し出した新作EP「EUREKA」のリリースを記念した今回のライブ。“キャッチ—でリフの聴いた踊れるロック”というバンドのテーマをさらに押し広げた本作を軸にしたライブは、リフの惑星にとっても大きなターニングポイントになるはずだ。
メンバーの緒方良(Vo/Gt)、大月優(Gt)、小林亮平(Ba)、松丸怜吾(Dr)にEP「EUREKA」の制作、ワンマンライブに向けた意気込みなどを聞いた。
──新作EP「EUREKA」は、これまでとスタイルを変えて制作したそうですね。
緒方良(Vo/Gt)そうですね。端的に言うと、みんなで制作する方向にシフトしました。これまでは俺が担う部分が多かったんですけど、ドラムの松丸が歌詞を書いた曲があったり、アレンジをギターの大月に任せたり。バンド感が増しましたね。EP全体のテーマとしては、俺が好きな90年代のUKにフォーカスしていて。「次のEPではUKをやりたい」という話をしてから制作に入ったんですよ。
大月優(Gt)それまでは“リフがあって、踊れて”という感じでやってきたんですけど、ちょっと漠然としていたというか。明確に「ルーツはどこなんだ」「どういう音楽を目指しているのか」という話をしてなかったんです。今回、6曲入りのEPを作ることになって、「このバンドで何を目指すのか、ちゃんと話し合おうよ」というところからスタートしたという感じですね。
松丸怜吾(Dr)曲を作ってる緒方さんがUK好きだから、結果的にUKっぽい曲が出来上がるという感じだったんです、今までは。今回は緒方さんから「oasisをやりたい」という話があったし、明確に90年代UKを狙ったソングライティングをしてもらって。大月さんがUKらしさを学習して、弾き語りで作ったデモをUKナイズするというやり方でしたね。緒方さんにはメロディとかに専念してもらって、僕と小林さんがリズムを付けて。
小林亮平(Ba)今までは(緒方が作る)デモの段階で全部のパートが入ってたんですよ。正直「これ以上、何をすればいいんだろう?」みたいなこともあったし、その曲を通して伝えたいことが共有できてないことも多くて。今回は「ベースのパートは自分で作るわ」みたいな感じでやれたし、自分の知識みたいなものも組み込めてますね。やっとバンドらしくなってきたのかなと。

リフの惑星 2nd EP『EUREKA』 Teaser

──UKを意識したアレンジ作りはどうでした?
大月まず緒方さんにプレイリストを作ってもらったんですよ。50曲くらいの。
緒方oasis、The Stone Roses、The Smiths、Kula Shakerとか、いろいろ網羅して。
大月それをずっと聴きながら生活して、自分なりに「こういう感じか」というのを掴んで。
小林(UKの音楽を)そこまで聴いたのは初めてくらいでしょ?
大月まあ、有名な曲は知ってたけどね。そのなかで緒方が求めるUK感を模索しながら、アレンジに乗せていったという感じですね。
緒方俺のデモに対して、「このコード、ノエル(※)だったらこう押さえるよ」とかね(笑)。(※oasisのノエル・ギャラガー)
──EP全体を通して、音もすごくいいですよね。レコーディングのやり方も変化したんですか?
小林全然違いますね。まずドラムのテックの方に入ってもらって。
松丸「oasisだったら、レディックのビンテージ・キットがいいよ」とか、いろいろアドバイスをもらって。90年代をそのままやるというより、今のサウンドを加えたい気持ちもあったから、話し合いをするなかで僕がシックリくる音を選んでいった感じです。叩いてて楽しかったし、いいテイクが録れたんじゃないかなって。
緒方ドラムの音がめちゃくちゃ良くて、レコーディングしててもテンション上がってましたね。
小林うん。ただ、ベース自体の音は以前とほぼ変わってないんですよ。4曲目の「STORYWRITER」はディレクターさんとエンジニアの方に「ベース、ゴリゴリのUSの音でお願いします」って話して(笑)。
大月え、そうなの?
小林「UK系じゃなくていいの?」って言われたんだけど、「大丈夫です。みんな気づかないから」って(笑)。
松丸初めて聞いた(笑)
小林自分の足元(エフェクター)でも歪ませて、卓のほうでもさらにゴリゴリにしてもらって。やりたいように遊んでましたね。
緒方90年代のUKがルーツなのは自分だけで、他のメンバーは違うので(笑)。それぞれが自由にやるのも大事だし、楽しかったですね(笑)。
大月ギターに関しては、ディレクターの方にMATCHLESSのアンプを持ってきもらって、それがすげえいい音で。録り音も全然違いましたね。
──バンドの音が向上すると、ボーカルの表現にも影響するのでは? かなり強めに歌っている曲が多い印象もありました。
緒方それはかなり意識してましたね。個人的にもテンションが上がっていたし、ボーカルも力強くというか前のめりな歌い方になったかなと。本当に俺が好きなことをやらせてもらったからには、何も隠さずに、全力で自分を出そうと思ったので。
小林今回のレコーディング、初めて歌録りにも立ち会ったんですよ。ボーカルに関してもメンバー全員でいろいろ話し合うことも多かったし、ディレクターの方にも「こっちのテイクにしていください」とか注文して。それが採用されているかはわからないですけど(笑)。
緒方そこは完全に任せてましたね、確かに。
大月みんなで意見を出しながら。
小林大月くんはデモの段階でボーカルのメロディラインもしっかり入れていたので、レコーディングのときにズレている部分もすぐにわかるんですよ。(緒方に)前は一人でやってたもんね。
緒方そうだね。とにかくスケジュールがタイトだったから、話し合う余裕もなくて。今回はありがたいことに時間を頂いたので、それも楽しかったです。
小林松丸くんが一人で歌詞を書いた曲(「HELLO」)とかは、「こう歌ってほしい」というのもあったみたいで。
松丸あ、そうですね。自分の解釈と緒方さんの解釈が違う部分もあったので、「ここはこういう感じで歌ってほしいです」と拙いなりにもお伝えして。
──松丸さんが歌詞を書くことになったのはどうしてなんですか?
松丸「HELLO」「KEEP ON! KEEP ON!」を同時に作っていたんですけど、緒方さんが歌詞に行き詰まっていて。以前から「楽曲制作に絡めるとしたら、言葉だな」と思っていたので、「僕も書いてみます」と提案させてもらったんです。「KEEP ON! KEEP ON!」は緒方さんとの共作で、「HELLO」は自分一人で書いて。「HELLO」はオケの段階からノスタルジックな感じで、しんみりしているけど、温かくて優しいイメージの曲だったんですよ。僕、大学に入ったタイミングで母親を亡くしているんですけど、そのことをいつか形にしたいと思っていて。「HELLO」のオケを聴いたときに、そのテーマが使えるなと。

リフの惑星 - KEEP ON! KEEP ON! [Official Lyric Video]

緒方自分からは絶対に出てこない言葉を松丸が書いてくれたは、すごくよかったと思います。「HELLO」の歌詞の説明を受けたときは「ちゃんと歌わないと」というプレッシャーも感じましたけど、歌詞の内容、解釈の正解を委ねられるのは楽しかったですね。
──リードトラック「RUMBLE」についても聞かせてください。この曲のギターリフはド直球というか、一瞬で「あのバンドだ!」とわかりますね。
緒方言わずもがな、Arctic Monkeysですね(笑)。この曲はちょっと前からデモがあって。King GnuやTENDOUJIとかがアークティックっぽい曲を出してたから、「俺も好きだよ」と思って(笑)。満を持して、今回のEPに収録しました。Arctic Monkeysは中学生のときにリアルタイムで経験しているし、思い入れが強いんですよね。

リフの惑星 - RUMBLE [Official Music Video]

──海外のバンドに衝撃を受けて、「この感じでやろうぜ!」というのはロックバンドとして真っ当な態度だと思います。「RUMBLE」を聴いた瞬間、おお!ってテンションが上がりました。
緒方よかった。嬉しいです。
松丸「明確にルーツを出す」というテーマにも合ってますよね。ライブで共演するバンドからも「ド直球でいいね」って言われます。
──「STARTING OVER」には〈愛されていたいから/傷ついても失っても歌い続ける〉という歌詞があって。自問自答や葛藤を感じる歌だなと。
緒方このEPの歌詞はずっと難産だったんですけど、「STARTING OVER」は最初に書いたんです。さっきも話した通り「好きなことをやっていいよ」という感じで制作が始まったんですけど、「これでハズしたら、もう後がない」「逃げ道がない」というプレッシャーもあって。ずっと自問自答していたし、そのときの気持ちがモロに出ているのが「STARTING OVER」ですね。
──そのプレッシャーや葛藤を抜けたきっかけは?
緒方やっぱりアレンジや作詞を分業にしたことですね。サウンドやアレンジもどんどん良くなったし、松丸が歌詞を書いてくれたおかげで、「じゃあ、俺はこっちに行けばいい」というのが見えたので。
──なるほど。1曲目の「VICTORIA」では〈全ての結末をひっくり返しに行こうぜ〉と歌っていて。
緒方そうなんですよ。「VICTORIA」は完全にサッカーにテーマを絞っていて。学生のときにサッカー部で、ずっとサッカーが好きなので。それもメンバーのなかで自分だけなんですけど(笑)。
──サッカーとロック、どっちが先だったんですか?
緒方サッカーですね。強い高校に入ったんですけど、ブラジル人留学生に練習初日にポルトガル語で罵倒されて。自分の実力を知って、すぐ辞めて、バンドを始めました。
小林そうなんだ(笑)。
緒方身長がそんなに伸びなかったっていうのもあるんだけどね(笑)。そのあたりのことは「VICTORIA」にも出てるかも(笑)。
大月(笑)。アレンジ的には「スタジアムで鳴らせるような曲」という明確なイメージがあって。ライブで一緒に歌えるフレーズも入ってますね。
──ライブ映えしそうですよね。そして「KEEP ON! KEEP ON!」は華やかなアッパーチューン。
緒方もともとはもっと地味だったんですよ。
大月テンポがもっと遅くて、しっとりした感じで。「いまいちパッとしないね」って感じで突き返されて、アレンジをやり直したんです。
松丸スタジオで合わせながら、「もっとテンポ上げたほうが面白いね」って。
大月そこからアレンジも変わり、サビのメロディも変わって。
松丸歌詞はもともと緒方さんが書いてたんですけど、僕が前向きな言葉を加えて。
緒方みんなで作った感じがあるよね。
──そして7月21日(金)には東京・渋谷La.mamaでワンマンライブ「SUMMER OF LOVE」が開催。EP「EUREKA」を制作したことで、ライブのスタイルにも変化が起きているとか。
緒方そうですね。「KEEP ON! KEEP ON!」みたいなハッピーな曲もあるし、「VICTORIA」みたいにみんなで歌える曲もあって。開けたライブになってきたというか。お客さんにも楽しんでもらえるバンドになってきたと思いますね。以前はどっちかと言うと内向きというか、クールな感じがカッコいいと思っていたので、だいぶ変わってきたんじゃないかなと。
大月EPの制作でもライブを見据えたアレンジを意識していたし、一緒に歌ったり、手を叩いてもらえるようなパートもあって。お客さんにも乗っかってもらえたら、楽しいライブになるんじゃないかなと思います。

──声出しもOKになりましたからね。松丸さんはどうですか?
松丸いつも「大きい音で叩く」というのを意識していて。今までは4つ打ちの曲が多かったんですけど、今回はエイトビートの曲もあるし、自分のやりたいことも入ってるんですよ。それを踏まえて最近は「どうやったらお客さんを乗せられるか」を考えながら演奏しているし、ワンマンでもしっかり提示したいですね。
小林「EUREKA」の曲をライブで演奏するのは楽しいんですよ。ワチャワチャできる曲もあるし、“一緒に歌う”とか“踊る”とか、曲のコンセプトをしっかり見せられるようになって。それをお客さんと共有することで、ライブもさらに良くなっていくんじゃないかなと。自分たちにとっても分岐的になるEPだと思うし、ここからリフの惑星としていろいろと巻き込んでいけたらいいなと思ってますね。

PRESENT

メンバー全員直筆サイン入りTシャツ(ブラック&ホワイト)、
マフラータオルを各1名様にプレゼント!

※転載禁止

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

リフの惑星 「EUREKA」 EP Release Party
『SUMMER OF LOVE』

2023721() La.mama(渋谷)
19:00 開場 / 19:30 開演

◼︎チケット一般発売日:2023621() 10:00

RELEASE

『EUREKA』

EP

『EUREKA』

2023年6月21日(水) SALE

1.VITORIA
2.RUMBLE
3.STARTING OVER
4.STORYWRITER
5.HELLO
6.KEEP ON! KEEP ON! (EP ver)
  • 森朋之

    取材・文

    森朋之

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