04 Limited Sazabys、結成15周年記念となる日本武道館ワンマン2DAYS開催。初のアコースティック・セルフカバーアルバム『Re-Birth』制作の裏側も語る

インタビュー | 2023.10.20 18:00

生粋のライブハウス出身バンドとして、パンクやハードコアシーンのスピリットを守りつつ、ポップシーンに広く浸透する力を持つバンドへと成長した04 Limited Sazabysが、今年で結成15周年を迎える。記念すべきニューアルバム『Re-Birth』は、初めてのアコースティック・セルフカバー集であり、6組のアレンジャーを迎えて大胆に原曲をリメイクした挑戦的な作品だ。がむしゃらに駆け抜けた15年、そして悪戦苦闘のコロナ時代を経て、バンドがつかみとった新たなビジョンとは?DI:GA ONLINEでは5年振りとなる、全員集合インタビュー!
──15周年、心からおめでとうございます。
GEN(Ba/Vo)ありがとうございます。
──メジャーデビューからも8年以上が経ちました。
GENそうですね。気づいたら、メジャーになってからのほうが長くなったのかな。
──私事ですけど、最初にお会いしたのがメジャーデビューの時、ある音楽誌のインタビューで、「これからどんなバンドになっていきたいですか」という質問を最後にしたんです。そしたらGENさんが、「誰かみたいになりたい、という目標はないです。ただ、僕たちを見てバンドを始めたい、と思う子が出てきたら、僕らの勝ちだと思います」と。
GENああー。
──さらに、「だからもっと自分たちを確立して一つのジャンルになりたいです」と言っていました。
GENいいこと言いますね(笑)。
RYU-TA(Gt/Cho)今と全く変わらないですね。
──今同じ質問をされても、答えは変わらないですか。
GEN変わらないです。そこから時間も経って、僕らをきっかけにバンドを始めたと言ってくれる人も本当に出て来て、今の若手の世代だとKUZIRAとかFOMAREとか、「フォーリミがすごい好きで」と言ってくれてた子たちとライブをやることも多かったりしますし、誰かのきっかけになれてるんだなってすごく思いますね。
──有言実行の15年だと思います。そして今回のアルバム、最高です。そもそもどんな発想で、このアルバムを作ろうと?
GEN2020年にコロナでライブ自体ができなくなった時、ひょっとしたら僕らが生まれ育ったライブハウスの、モッシュ&ダイブがあるカルチャー自体が過去の産物になってしまうのかな?という危機感があったんですね。人と距離を取るのが当たり前になっていく中で、僕たちが大好きだった、ぐちゃぐちゃの酸欠のモッシュ&ダイブのカルチャーはもう戻ってこないかもしれないと思った時に、「座って聴けるフォーリミ」じゃないですけど、そういった作品を作りたいなとずっと思っていて、それが今回やっと形になったという感じです。
──プランは3年前からあったんですね。
GENずっとやりたいなとは思っていました。あと、今回のアレンジャーの中にクラムボンのミトさんがいるんですけど、そもそも僕はクラムボンが大好きで、クラムボンが『Re-clammbon』という、過去の作品を「Re」(再構築)する作品を出していて、僕が大好きな「Folklore」は「Re-Folklore」のほうがライブの定番になっていたりとか、ああいうふうに楽曲を大幅にアレンジして、ちょっとアコースティックチューンにしている「Re」シリーズをこの作品でやらせていただいた感じですね(笑)。でもご本人(クラムボンのミトさん)を楽曲のアレンジャーとして2曲お招きして参加いただいているからいいかなって(笑)。
──お墨付きということで。でもミトさんに限らず、本当に全曲、アレンジャーの愛を感じましたね。フォーリミ楽曲への。
GENそれは僕らも本当に感じました。
──それが音から伝わって来たのが本当に嬉しかったし、曲の良さと、演奏の味わいと、特にギタリスト二人のプレイは聴きどころだなぁと思います。
GEN実は今回、ギターは全部HIROKAZが弾いて、ベースはRYU-TAが弾いてます。僕ら、アコースティックライブを過去に何度かやらせてもらっているんですけど、僕がハンドマイクでRYU-TAがベースという編成だったので、アコースティック仕様の04 Limited SazabysはRYU-TAがベースでやっていこうということになりました。
RYU-TA今回初めてレコーディングをやらせてもらったんですけど、アレンジャーのみなさんが作ってくれたフレーズが難しくて、むちゃくちゃ練習しました。ミトさんには「Re-swim」と「Re-midnight cruising」をやってもらったんですけど、「Re-midnight cruising」はミトさんがウッドベースを弾いていて、「Re-swim」は僕がミトさんの家にお邪魔して、フレーズを教えてもらいました。楽しかったけど難しかったです。「Re-swim」に関しては、間奏からCメロに入るところのフレーズが、頭で考えるより弾いたほうがいいという感じで、理解するのは難しかったです。
HIROKAZ(Gt)歪みでごまかすことができないので、アコースティックは難しいです。特に「Re-Buster call」は…。
RYU-TA「Re-Buster call」はベースもムズい。
HIROKAZ(中川)大二郎(JYOCHO)がアレンジした曲は、全パートがキツイ(笑)。ドラムもギターもベースも、全部がちゃんと難しい。
KOUHEI(Dr/Cho)ドラムは、タッチをめちゃくちゃ意識しました。周りの人が手伝ってくれたので、音作りは早かったんですけど、作った音に対してどれがベストなのか?は、叩いて合わせてみないとわからないところがあったので、そこはすごく意識しましたね。小さい音で、粒を揃えて、タイミングも揃えてって、一番ムズいんですよ。行っちゃえ!で行けるほうが、わりと簡単だったりして、力を抑えるってめちゃくちゃムズイなと思ったし、抑えすぎても駄目だし、ちょうどいい塩梅を見つけるのが大変でした。
──ベストプレイは?
KOUHEI難しいなー。一番練習したのは「Re-Buster call」だけど、叩いてて気持ちいいも含めると、「Re-midnight cruising」かもしれない。
GENアレンジが届いた時、ビックリしたもんね。サビの展開とか、「何?この拍のずらし方?」って。
KOUHEI「どうやってるんだろう?」って、クラムボンの動画、見に行きましたもん。そこで「ミトさんってこういう手癖なんだ」と思って、コツをつかんだ気はしましたね。それを伊藤(大助/クラムボンのドラマー)さんは、全部完コピするらしいですよ。打ち込みで作ったものを。
HIROKAZ僕がミトさんちに行った時も、アコギだけど打ち込みでデモを作ってるから、聴きながら、自分で耳コピしだすんですよ。「こうやって弾くのか。めんどくさいことやらせちゃったね」とか言って(笑)。
──それぞれのプロデューサーの音作りの秘密が垣間見えて、それはそれですごく面白いですよね。
GEN楽しかったです。チャーベ(松田“チャーベ”岳二)さんとミトさんに関しては、昔から僕がファンで、バンドをやる前から聴いてたので、そういった人たちとお仕事できるのが嬉しかったですね。あと、フレデリックは友達で後輩ですけど、「プロの顔を見た」という感じがしたし、「音楽家たちやな」って思いました。音作り一つとっても、俺ら以上に繊細な聴き分けをしてたから。
──ここまで名前が出ていない人で言うと、玉屋(2060%/Wienners)さんは?
GEN玉屋さんとは事務所が一緒で、以前にアレンジを手伝っていただいたことがあるんですよ。だから一番オファーしやすかったし、しかも打ち返してくるスピードが異様に速かった。提案してから2,3日後にもうデモを、しかもパターンでくれて、天才だなと。玉屋さんのアレンジは、一番ビックリした一つかもしれない。他の方とは、オファーした段階でイメージを共有していたり、チャーベさんだったら「この楽曲がこういうふうになってほしい」って、選曲も含めてお願いしてるんですけど、玉屋さんに関してはかなり大雑把なイメージだけで、「こうしてほしい」も「この楽曲を」でもなく、特に何もリクエストをせずにお願いしたら、面白い解釈が返って来て、さすがだなと。
KOUHEIお互いの関係値があったからできたことだね。
HIROKAZ一人だけコンペに参加してるみたいな(笑)。一旦、3曲ぐらいアレンジデモをお願いしてもいいですか?って。そのぐらい気軽にお願いしちゃいましたね。
──仲が良くていいですね(笑)。でもこのアレンジは摩訶不思議でかっこいいです。「Re-fiction」の東洋レゲエみたいなリズムも、「Re-Kitchen」のスパニッシュなアレンジも。
GENかっこいいですよね。絶対に僕らはしないアプローチなので。
──あとはDAIKI(AWSM.)さん。彼はどんなキャラクターですか。
GENバンドシーンでは一番馴染みがないかなと思うんですけど、今回この企画をやるにあたって、コロナ禍で一番みんなが時間を持て余していた2020年に、DAIKIの家で「Re-monolith」と「Re-soup」を作ったんですよ。この2曲に関しては前から仕上がっていて、今作のアルバム『Re-Birth』を作るきっかけにもなった曲ですね。もともといろんなことをやりたい僕の気持ちと、「このバンドはこういうスタイルだ」というものはブレたくない、そこのバランスはずっと考えているんですけど、今回は企画ものなので、全部取っ払ってやりたいことをやってみようと思いました。
──なかなかいないですよ。これをやる勇気と、実力と、そしてファンの支持も得られるバンドは。
GENBRAHMANがあってOAUがあるみたいな、それぐらいの感じにしたいなというのはありました。
──それはなんとなく感じてました。いいお手本ですよね。
GENそれこそ、アコースティックバンドがメインのフェスとかにも毎年オファーをいただくんですけど、俺らにアコースティックは無理じゃない?というのがずっとあって。でも今回こういう作品が作れたので、僕ら自身も活動の幅が広がるし、ライブハウスじゃないところにも行けるなという気持ちがあります。それと、コロナを経て、席ありだったり、モッシュ&ダイブが完全にない世界線を体験して、あれはあれで素晴らしいものだなという発見があったので。小さい子が前の方に来れたりとか、好きにおしゃべりできたりとか、それはそれでいいもんだなという思いがあったので、それを今後やっていける道ができた気がします。
KOUHEIそれと、長年やってきて、自分たちの曲で緊張することはないんですけど、いい意味での緊張も生まれるんじゃないかと思ってるので。たぶん武道館で、こういう曲をやると思うんですけど。
──おっ。それは言っていいですか。
KOUHEIやらなかったら、「なんでやらんの?」って言われると思うんで(笑)。そこが一番緊張すると思うで、その緊張をどう乗りこなせるか。勝負というか、新しい挑戦をもらえた感じですね。たとえば「Re-fiction」だったら、スティックじゃなくてブラシを使ったりとか、「Re-midnight cruising」も「Re-swim」も、フィルの作り方も全然違うんで、そこは緊張すると思うんですけど、今から練習したいと思います。
──あともう一つ、声を大にして言いたいのは、GENさんの歌の表現力が素晴らしいこと。たとえば「Re-Kitchen」とか、子供に向けて歌いかけてるみたいな、優しい歌い方がいいなぁと思いました。「こういう歌い方もできるのか」って。
GEN玉屋さんが作ったアレンジデモは、元々はああいう感じじゃなかったんですけど、原曲がけっこうせわしないので、歌詞を減らしてゆっくりにしようと思いました。歌というより、ナレーションに近いですね。映画の冒頭で、まだ人物が登場していない、風景から入る感じをイメージして歌いました。どの曲も、基本は僕が自分で解釈して歌ってます。
──個人的な好みを言ってもいいですか。「Re-soup」が大好きです。アコースティックになることによって、曲の良さと歌詞の良さと、歌の良さが前面に出て、感動しました。
GENありがとうございます。原曲の「soup」はミュージックビデオにもなっていなくて、シングルのカップリング曲なんですけど、ファンに人気の1曲なので。ライブの定番でもないんですけど、ここでフィーチャーできたのは個人的に嬉しいです。
──みなさんぜひ、心に残るお気に入りの曲をみつけてください。さぁそして、6年振りの武道館公演が近づいてきました。しかも11月11日と12日、初の2DAYS。
GEN2DAYSになった時は、「行けんのフォーリミ?」みたいな、「出れんの!?サマソニ!?」みたいな感じだったんですけど(笑)。近年は「挑戦」という感覚がだいぶ減って来た感じもしたので、ここで大きな挑戦ができるのはいいと思います。
──どんなライブにしたいですか。何を見せたいですか。
RYU-TA初めての武道館は緊張して、ただただ「でかい」と思ってやってたんですけど。少しずつ大きいステージにも慣れてきたので、大人になった04 Limited Sazabysを見せたいなと思います。
KOUHEIワンマンでは6年振りですけど、「15年間培ってきたものはこんな感じだよ」というものを、気負わずに出せる気はしているので。勝手ながら日本代表に入れてる気も、なんとなくするので、そういうライブが2日間できたらいいなと思います。
HIROKAZコロナ中は、席ありに疑問を持ちながらやってたんですけど、今回は席ありで、それでも楽しませる自信が今はあるので。ぐちゃぐちゃにならずとも楽しめるライブ、セットリストで、みんなが満足できる内容になると思うので、楽しんでいってほしいなと思います。
──「THE BAND OF LIFE」というライブタイトルが付いてますね。どんな思いを込めていますか。
GEN僕らの、バンドマンとしての歩みを見せたいなというのは大前提として。今回15周年ということで、冒頭でも言ったように、僕らに影響されて始めてくれたバンドとか、誰かの青春の一部になれてる感覚があるんですけど、それって本当に幸せなことで。僕たちの人生の歩みが誰かの人生に関わっている幸せを噛みしめるべく、「THE BAND OF LIFE」というタイトルを付けました。それと、僕たちは見た目とか楽曲のイメージから、フレッシュなイメージをずっと持たれているかもしれないですけど、だんだん中堅になってきて、フェスでもだいぶ先輩になってきたり、後輩からどういうふうに見られてるのかな?とか思った時に、近年のライブを見てくれた人たちは「貫禄出て来たね」「余裕感あるね」と言ってくれることがすごく多いので。6年前に武道館に立った時は、自分たちがその状況についていくのに必死だったと思うんですけど、今は余裕しゃくしゃくで、「日本武道館が似合うだろ?」っていう、自信満々の状態で臨めるかなと思うので、よりたくましくなった04 Limited Sazabysを見せつけられたらいいかなと思っています。

PRESENT

『Re-Birth』ノベルティグッズ・オリジナル砂時計(04分)を4名様に!

※転載禁止

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

04 Limited Sazabys 15th Anniversary
『THE BAND OF LIFE』

RELEASE

Self Cover Album

『Re-Birth』
2023年10月18日(水)SALE

※初回盤[CD+Blu-ray/DVD]、通常盤[CD]
※初回盤特典のBlu-ray/DVDには「"YON FES 2023" live & document (約40分)」、「History of 04 Limited Sazabys Season 2 (約66分)」を収録

[初回盤・通常盤 共通特典]※初回プレス封入特典
●04 Limited Sazabys「MYSTERY TOUR 2024」最速先行応募ID
(応募期間:2023年10月18日(水)18:00〜10月29日(日)23:59)

[初回盤のみ]
●プレイパス対応(Blu-ray、DVDのみ対応)※映像がスマホで簡単再生できる「プレイパス」サービス対応

詳細はこちら
  • 宮本英夫

    取材・文

    宮本英夫

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