AliA、最新シングル「あいことば」リリース&新体制で初の東名阪Zeppツアー開催へ向け、バンドの今を語る

インタビュー | 2023.10.20 20:00

2023年はコンスタントにデジタルシングルのリリースを重ねながら、2月に全国5都市Zeppツアー『AliAliVe 2023 -rebirth-』、7月にAliA 5th ANNIVERSARY『-FANFARE-』の開催と、精力的なライブ活動を続けるハイブリッドロックバンド、AliA。5人が11月17日から、東名阪Zeppを回るライブツアー『AliAliVe2023 - animation -』を開催する。代表曲「かくれんぼ」のミュージックビデオがYouTube再生回数5400万回を突破し、最新シングル「あいことば」はTVアニメ『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』のエンディングテーマに起用されるなど、5年間のキャリアの中で最も脂の乗った状態とも言える彼らは、このZeppツアーでどんなことを観客に伝えたい、見せたいと考えているのだろうか。メンバー全員に話を訊いた。
──2023年のAliAは、かなり精力的な活動を見せていますよね。バンドのモードもかなりいい状態なのではないかとお見受けします。
AYAME(Vo)結成してからの5年間で、いろんなことを乗り越えたのが大きいかなと思います。その結果、メンバー全員が今まででいちばん一致団結できている感覚があるんです。

AYAME(Vo)

EREN(Gt)スタンダードな道のりを歩んできたバンドではないので、みんながみんなその環境に耐えられるわけでもないし、メンバーも同じような境遇の人が周りにいないから苦しかったこともあると思うんです。その苦しみって、やりたいことやうれしいことがいっぱいあっても消えるものではないんですよね。AliAを続けるうえでは、そこに耐えられる力を持っているかどうかがカギだと思うんです。今いる5人は、その気持ちの余裕を自分で作れるようになってきたと思っていて。

EREN(Gt)

AYAMEBOBの脱退(※2023年7月)も今年の2月頃から決まっていたことだったので、そのなかでわたしたち5人もより一層AliAというものを見つめ直して気合いが入ったというか。やりたいことを実現させるために今どんなことをするべきなのかを、逃げずにひとつずつ考えるようになりました。だから楽曲はもちろん、1本1本のライブやMV制作など、活動の全部に対して真剣に戦っている感覚です。
──しっかりと自分たちの納得いく方法で、自分たちなりの道を切り開いていくということですね。
AYAMEやっぱり自分たちのやりたいことがぶれてしまったら、それはAliAじゃなくなると思うんです。ERENくんが旗を掲げて、それ以外のメンバーがしっかりそこについていく。その関係が今まで以上にぎゅっと強くなりました。1個1個、毎日毎日みんなで乗り越えられている感覚があるんですよね。
ERENみんなが同じ熱量を持ってバンドをやれていると感じますね。前は「揉めたら嫌だからちょっと黙っとこう」みたいな空気があったけど、そういうのも越えたというか。
AYAMEERENくんにはやりたいことが明確にあって、わたしたち4人はその思想が素敵だと思っているし、そこに自分の全力を尽くす覚悟を持っているからチームとしての力が増しているんだと思います。そこにたどり着くまでに5年かかった、という感じなんですよね。
ERENこのインタビューを読んでくださってる人にも、仕事先の人とか学校のクラスメイトとかいろんな人間関係があると思うんですけど、「深いところまで話してないから仲良くやれている人」っていっぱいいると思うんですよ。
──確かにそうですね。
ERENでもAliAはやっている音楽のテーマとしても、その壁を越えていかないと曲に説得力が出てこないし、それができないなら一緒にバンドをやっている意味がないと思っていて。深いところまで話し合って関係性も深めて、「東京ドームに立つんだろ!?」と言いながらお互いの見たくもないとこも見て、家族以上の関係になって――それまでに5年かかったということですね。だからもう「あいつのああいうところちょっとやだな」と不満に思うこともないんです。気になることがあったら全員ちゃんと指摘し合っています。
AYAMEわたしもこの前ERENくんに「ムカつく!」って言ったんです。そしたら「そんなふうにしっかり伝えてくれるなんてうれしい」と言われて(笑)。みんな気持ちよく活動できています。
TKT(Key)実は今度、メンバー5人で旅行に行くんです(笑)。
SEIYA(Ba)そうそう。ツアー以外でみんなでどっか行くなんて初めてだよね。

TKT(Key)

──それは合宿とかではなく?
EREN全然音楽関係ない、普通の旅行です(笑)。オーシャンビューで星が綺麗で、ジャグジーがあってバーベキューができるコテージを予約しました。
──前回のインタビューでも本音でぶつかり合っているとおっしゃっていましたが、あれからさらにその関係性を濃くしていったということですね。そういったクリアな空気感の中で、最新シングル「あいことば」の制作に入ったのでしょうか?
ERENちょうどそのモードに移り替わっていくくらいのタイミングですね。この曲のレコーディングは、実は今年の1月なんです。休んでいたAYAMEが「またバンドを頑張る」と戻ってきて、メンバーもじっくり話し合って2月のZeppツアー『AliAliVe 2023 -rebirth-』を成功させようと気合いを入れていた時期でもあり、BOBが今後どうするのかちょっと揺れていたくらいの時期で。
AYAMEだから「あいことば」でドラムを叩いているのはBOBなんです。彼が最後までちゃんとAliAに向き合って頑張ってくれていたので、わたしたちもすごく感謝しています。
──「あいことば」はTVアニメ『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』のエンディングテーマです。作曲者のERENさんは主人公ふたりのピュアな思いに感銘を受けて制作に入ったという旨を公式コメントに寄せていましたね。
EREN原作を読んだら心の動きをピュアに描いていて素敵だなと思ったんですよね。だからテーマソングでその尊さや、人の心が動く衝動をより深く表現できれば、きっといいアニメになるなと思ったんです。「君とふたりなら何もいらないし、それだけでいいんだ」というピュアなところにフォーカスして「あいことば」を制作しました。
アニメのテーマソングを手掛けるならば、その作品のファンのために作る必要があるので、やっぱり自分がこの作品のどんなことに感動したのかは素直に表現したいし、その気持ちに嘘をついちゃいけないと思うんです。それにこの曲は『キミゼロ』への書き下ろし曲であると同時に、AliAの曲でもあるんですよね。バンドが挑戦を重ねて大きくなっていくというタイミングだからこそ、世間の空気に流されずに誰かを好きになる気持ちや感謝を大事にしていく、守っていく曲を作りたかったんですよね。
──「あいことば」は誰かを好きになる気持ちや感謝の気持ちが軸にある曲だからかもしれませんが、AliAらしいスケールの大きいハイブリッドサウンドを実現させつつ、サウンドも、TKTさんのお書きになった詞も、AYAMEさんのボーカルもこれまでの楽曲より優しさや包容力を感じました。
AYAME確かにわたしも、ここまで振り切った歌い方をしたのは初めてだったかも。そう感じていただけたらうれしいですね。

TKT自分でも作品を読んで、それプラスERENが楽曲に込めた思いを聞いて、それをどちらも噛み砕いたうえで歌詞に落とし込んでいきました。《“ゼロ”からキミと2人で歩けたから》というラインは割と序盤に出てきて、サビ頭はこのフレーズでいきたいなって。まず最初にサビを考えて、後からほかを肉付けしていきました。
EREN僕がアレンジまでがっつり組んで、それにTKTが歌詞を書いて、AYAMEが歌って、それを聴いた楽器チームがレコーディングに入るという流れですね。
──SEIYAさんとRINAさんは「あいことば」とどう向き合いましたか?
SEIYAERENの言っていた「登場人物たちの思いを、さらにAliAの音楽で感じ取ってもらいたい」というのは新しい作り方だなと思いました。AliAの曲はメロディがすごく強いので、それと比較すると「あいことば」は今までにない柔らかさというか、今までAliAが持っていたけれど曲として表現してこなかった曲調だなと思うんです。そういうことを意識しながらERENと一緒にベースのフレーズを考えましたね。
RINA(Vn)レコーディングも、まずはERENくんがメンタルセットから始めてくれて。
SEIYAカウンセリングみたいなね(笑)。
RINA(笑)。やっぱりあれがあるとないとでは、わたしのテイクが全然変わるらしくて。

RINA(Vn)

──それに近いお話を、前回のインタビューでもおっしゃっていましたね。
RINAそうですね。その曲を作った人の思いをしっかり感じていくことで、自分の演奏にも実態が伴う感覚があるんです。
ERENボーカルのAYAME、作詞をするTKT、作曲をする僕は、第三者から見ても一人ひとりの自己表現がわかりやすいと思うんですよね。でもSEIYAやRINAみたいなプレイヤーオンリーの場合は、楽曲に対して向き合うことがすべてになるというか。だからSEIYAとRINAが曲に対して感じたことを、演奏でも具体的に表現してほしいんですよね。
SEIYA譜面どおりに弾くだけでも音楽的には合ってるけど、AliAでやりたいことはそういうことじゃない、ってことですね。
EREN星が見える場面を描いているセクションで「本当にそのベースで星見えると思ってる?」「バイオリンはその星空についてどう感じてるの?」というところまで考えてほしい――そういうことをやり続けてきたんです。でもこの話し合いが少しずつ減ってきているのに、ふたりの演奏はどんどん良くなってるんですよ。正解がないものに対してずっと向き合って練習したり、考えてくれること話してくれることがすごく大事だし、それができるって無敵だと思うんですよね。
SEIYA僕は結構理屈っぽいからその感覚を掴むまでに時間が掛かったけど、音で自分の感情を表現することや、「こういうアプローチをしたらそういうふうになるんだ」と把握する経験が増えてくることで、ようやく「ERENの言いたいことはこういうことなんだ」とわかってきたんです。ERENが「演奏が良くなった」と感じるのは、そういうことも理由なんじゃないかなと思います。
EREN音楽って不思議だよね。
SEIYAほんとにね。クリエイターとかアーティストに限らず、人間は曲を聴いたりアニメを観たりして楽しくなったり、悲しい気持ちになったり、感情が動くじゃないですか。だからそういうことを踏まえて、自分たちはどういう演奏をしたいのか、どういう歌を歌うべきなのかを考えるのが大事なんだろうなって。ようやくここ1年で、自分が「受ける側」ではなく「伝える側」になったことを、本当の意味でちゃんと認識できました。日常生活からAliAの音楽に説得力を持たせられる人間であるべきだと思うんです。「あいことば」はそういうところにたどり着けた状態でレコーディングできましたね。気持ちが全部整うと、ちゃんと人に伝わるんだなと思います。

SEIYA(Ba)

ERENこの4人はちゃんとそれができるメンバーだからすごく好きだし、そういう人と出会えたことが本当にうれしいんですよね。どうしても音楽を仕事にしてしまうと、「どうやって売れようか」「どうやってお金増やそう、集客しようか」という考えが中心になってしまうケースもあるみたいで。でもAliAは何よりも「AliAとして伝えたいこと」を大事にできているんですよね。今後活動していくうえでも、このスタンスは絶対に守っていきたいんです。
SEIYA少し話は逸れるんですけど、「あいことば」のMVチェックをしていたとき、間奏のシーンを観ていてすごくAliAっぽいなと思ったんですよね。メンバー全員が別々のことをしてるんだけど、それぞれのソロではなく、ちゃんとアンサンブルになっていることが映像からも伝わってきて。
EREN確かに、身体の動きから音が聞こえてくるよね。
SEIYAうん。誰のソロでもないけどみんなが目立っていて、誰の邪魔もせずにすごく綺麗に鳴っている。今のAliAがすごく出ていると思います。前作の「animation」はアレンジで攻めるだけ攻めたAliAらしいパワフルな曲だけど、「あいことば」はシンプルでいてちゃんとAliAになっている。対照的な2曲を立て続けにリリースできたなと思います。
──今のAliAが演奏する「animation」や「あいことば」は、また音源とは違うのだろうなと。
ERENそうですね。僕たちの音楽は演奏すればするほど、歌えば歌うほど深くなっていくので。
──11月から開催される東名阪Zeppツアー『AliAliVe2023 - animation -』で、それが体感できるということですね。こちらはAliAにとって3回目のZeppツアーです。
SEIYA Zeppは僕らも何回もいろんなアーティストを観に行っているとても素敵なライブハウスだし、僕らは楽器も多くて、やりたいことも見せたいものもたくさんあるバンドなので、Zeppという会場は自分たちのやりたいことに集中できる環境なんです。だからZeppで自分たちのやりたいことを届けられなかったら、自分たちの実力が足りていないというか。ここでちゃんと自分たちの音楽を届けていくことが、自分たちの最低限クリアしなければいけないことだとも思うんです。
──タイトルは楽曲の「animation」から用いられたものですか?
EREN今回のツアーはAliAの掲げるいろんな意味での「アニメーション」を伝えきるための第1歩だと思っていて。たとえば、最近はいろんな意味で「加工」をする子が増えたじゃないですか。
──そうですね。
ERENなりたいものに近づくごとに自分が失われていく。けど理想に近づくための努力はまがい物なのか? 素のままのほうが素敵なこともあるけど、素のままでいることはサボっているということなのか? その問いに正解はないと思うんです。あと「アニメーション」は「人の理想」だと思うんですよね。だから僕らがやりたいことや見せたいものを表現する、伝えたいことを伝えることも「アニメーション」なんじゃないかなって。この「理想」を嘘にするのか本当にするのかは、僕たち次第だと思うんです。

──AliAのやりたいことがより明確になり、5人の結束も強まったことで、迷いなく一丸となって突き進めるツアーになるのではないかと、皆さんのお話を聞いていて思いました。
RINA新体制になっていろんなドラマーさんとライブをすることで、毎回自分たちに足りてないことや新しい発見があって、勉強になることばかりなんです。だからAliAも野音の後からどんどん成長してるし、みんなともどんどん深いことまで話してるから、今まで以上に世界観を深めたライブをしたいですね。ストイックに頑張るので、楽しみにしていてほしいです。
TKTさらにメンバーの仲やいろんなものがクリアになっていっているので、最近できた曲はかなり自信があるんです。もしかしたらこの東名阪Zeppツアーでそれが観られるかも……? 今の僕らが見せたいものをたくさん用意していくので、僕も楽しみだしみんなも楽しみに待っていてほしいですね。
AYAMEAliAはこの1年で良くなっているし、今も1個ずつ成長していて、その都度AliAが出せる最高を出せていると思うんです。だからその成果が東名阪Zeppツアーでどれだけ出せるかが楽しみですね。いつもAliAを応援してくれてるみんながこれをどう受け取ってくれるか、来年みんなと一緒にどういうふうに前を見ていけるか……それが今回のツアーでわたしたちが越えなきゃいけない壁かなと、わたしは勝手に思っていて。なんだかちょっと難しい感じの話をしちゃったけど、何よりも来てくれたみんなに楽しんでほしいですね。

PRESENT

サイン色紙を1名様に!

※転載禁止

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

AliAliVe 2023 -animation-

2023年11月17日(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
2023年11月28日(火) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2023年12月15日(金) 愛知・Zepp Nagoya

チケット一般発売日:2023年10月21日(土)10:00

※その他公演情報はオフィシャルサイトをご確認ください。

RELEASE

「あいことば」

Digital Single

「あいことば」

2023年10月14日(土)SALE

TVアニメ「経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。」エンディングテーマ

NEWS

「僕らの唄」2023年10月25日(水)0時より、配信リリース決定!!

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  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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  • 東 美樹

    撮影

    東 美樹

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