ハナレグミ、3年半ぶりのニューアルバム『GOOD DAY』インタビューとそのツアーにまつわる前編・後編インタビューの後編です(前編はこちら:≫ ハナレグミ、インタビュー【前編】。たくさんの出会いを熱量に、その時々を軽やかに刻んだアルバム『GOOD DAY』のこと。)。最近のライブに関する考え方や、10月24日(木)Zepp Fukuokaを皮切りにライブハウス9本・ホール2本を回る「ハナレグミ ライブツアー『TOUR GOOD DAY』『ホールでGOOD DAY』」について、本音で話していただきました。ではどうぞ!
スカパラとメキシコへ行った時は、震えましたね、喜びで
──まず、2023年は、すごい数のライブをやっていましたよね。
永積 崇やってました。
──「やるぞ!」っていうモードだったんですか?
「やるぞ!」ってなりました。やっぱりコロナがあって……僕の場合、サポートメンバーをお願いしたりとか、会場が大きくなって、スタッフも多くなって、という中でライブを打つと、それが色々な状況で開催できるのかっていう懸念が増えすぎて。
──2022年頃まで、みんなそうでしたよね。ライブをやると決めたけど、コロナの感染状況によってはできないかもしれないし、スタッフやメンバーの誰かが感染したら中止だし、という。特に規模が大きいとね。
そうそう。そういう中で、でも、音楽を鳴らしていきたいと思ったら、ひとまずいちばんミニマムな形で、フットワーク軽く、各地に行きたい、お客さんにとってもその方が安心して楽しめるのではないかと思ったんですね。
──規模を下げれば、メンバーやスタッフから感染者が出る確率も下がるし、もし中止になってもダメージが小さくなる、というのはありましたよね。
うん。それで回りたいと……各地に、音楽を待っている人が、ほんとにいっぱいいるな、っていうことを、いろんなところで感じたんですよ。配信ライブをやってる時に流れてくるタイムラインとか見ても。ほんとにライブで会えない時間が長すぎて、このままだと自分がライブをできる体力がなくなりそうな怖さもあって。まず動き出そう、スタッフも少ない体制で、と。それでギターだけ持って、フットワーク軽く全国を回ろう、というテーマで弾き語りツアー「Faraway so close」を始めたのがひとつと。(2022年2月〜6年ぶりに開催した弾き語りツアー、全国津々浦々27公演を巡り、2023年秋、大阪・東京の野外音楽堂で徳澤青弦カルテットを迎えたライブを開催)
あとはコロナ前ギリギリにやった『THE MOMENT』(2020年2月7️・8日、NHKホール)というライブを、定期的に続けたいね、っていうことで、2024年の3月に大阪と東京で二回目をやって。(3月21日・大阪フェスティバルホール、3月27日・LINE CUBE SHIBUYA)
それから、2023年はスカパラとメキシコへ行ったんですけど、やっぱり自分にとって、スカパラというのはでかくて。音楽の豊かさを、身を以て感じられるチームなんです。
あとはコロナ前ギリギリにやった『THE MOMENT』(2020年2月7️・8日、NHKホール)というライブを、定期的に続けたいね、っていうことで、2024年の3月に大阪と東京で二回目をやって。(3月21日・大阪フェスティバルホール、3月27日・LINE CUBE SHIBUYA)
それから、2023年はスカパラとメキシコへ行ったんですけど、やっぱり自分にとって、スカパラというのはでかくて。音楽の豊かさを、身を以て感じられるチームなんです。
──日本で一緒にやった時とは違いました?
全然。やってることはまったく一緒なんだけど、やっぱりオーディエンスの反応が違って。震えましたね、喜びで。この空気感を日本の人たちにも伝えたいな、ここでもらった感動を持ち帰って、メキシコで歌ったような気持ちの大きさで、自分のライブをやりたいな、とその時思いましたね。そういう意味で、海外のミュージシャンを海外で聴くとか、海外で自分がライブをやるっていうのは、大事なことなんだな、っていうのを教わったかなあ。
それから、スカパラがすごいなと思ったのは、日本でやることと海外でやることを、まったく変えないんですよ。それは、なかなかできることじゃないというか。海外向けに寄せて行くミュージシャンの方が多いと思うんだけど、スカパラはメキシコでも、GAMOさんがスペイン語で「どこがいちばん盛り上がってるんだ!」ってやってましたからね(笑)。かっこいいな!と思って。ほんとに、楽しませることに、全身全霊かけてる人たちなんだな、って。その背中は、衝撃でしたね。音楽をやることを迷ってる場合じゃねえよ、自信を持って歌っていけよ、目の前のオーディエンスを全員連れて行くぐらいの気概で音楽やらないでどうするの?って言われてるような気がしたな。
それから、スカパラがすごいなと思ったのは、日本でやることと海外でやることを、まったく変えないんですよ。それは、なかなかできることじゃないというか。海外向けに寄せて行くミュージシャンの方が多いと思うんだけど、スカパラはメキシコでも、GAMOさんがスペイン語で「どこがいちばん盛り上がってるんだ!」ってやってましたからね(笑)。かっこいいな!と思って。ほんとに、楽しませることに、全身全霊かけてる人たちなんだな、って。その背中は、衝撃でしたね。音楽をやることを迷ってる場合じゃねえよ、自信を持って歌っていけよ、目の前のオーディエンスを全員連れて行くぐらいの気概で音楽やらないでどうするの?って言われてるような気がしたな。
音楽が昔よりも自由なものじゃなくなってる気がする
──で、弾き語りツアーや、スカパラやフィッシュマンズのゲストボーカル等で、いっぱいライブをやって、さっきおっしゃったように2024年の春には、逆に大掛かりな、ホーン隊とストリングス・チームが入った10人編成の『THE MOMENT 2024』を東京と大阪で。東京公演を観ましたけど、あれは手応えあったでしょ。
そうですね。まだまだ未完な部分も多いんですけど、自分にしかやれない音楽の形が生まれそうだな、と思いました。
──ただあれ、シンプルと豪華の対比で言うと、豪華の方の究極みたいな内容だったから。これを観たお客さんが、毎回これを求めて来るようになると困るな、とも思いました。
(笑)。自分としては、お客さんには、いろんな瞬間を観てもらうのがいいと思っていて。未完なものもあれば、完成しているものもあって、いろんな編成やアレンジもあって、そういうのがひと連なりで並んでいる、っていう方が、音楽としておもしろい、と思っていて。前だったら、まさに今言われたみたいに、『THE MOMENT』みたいなものを一回やっちゃうと、それ以降はプレッシャーとか懸念とかを、自分の中で数えるような感じになったと思うけど、今はむしろ、どんどん自由になっていくっていうか。
──2024年の『THE MOMENT』では、是枝裕和監督の手紙を朗読するコーナーがありましたよね。このライブの内容に関して相談したら、「駅、ホーム、電車、出会いと別れ」というテーマを是枝監督が出してくれた、という話をして、監督からもらった手紙を朗読して、監督がセットリストに入れることを提案した中島みゆきさんの「ホームにて」を歌う、という。
ああ、うん。あの、やっぱり、違うジャンルのアーティストの人のアイデアが入ったり、その人が参加したり、っていうことも交えながら、音楽のライブをやる、音楽の場所を作る、っていうことをやっていきたいな、と思うんですよね。これは、まだまだ自分も実現できてないことだけど、なんか、音楽が昔よりも自由なものじゃなくなってる気がするんですよね。音楽を聴く環境とか、システムができあがってしまっていることが多くて。
そういう中で音楽を聴くと、きれいには聞こえるんだけど、画角が変わらない、そういう音楽の場所が増えてしまっている気がして。洗練されすぎたがゆえに。そういうものを、もう一度いきいきと鳴らせるような発想が生まれたらいいなという。だから年に一回、ダンサーの近藤良平さんと『great journey』という舞台をやるとか。熊谷和徳くん(タップダンサー)と一緒にやるとか。是枝監督の手紙もそうだし。
そうやって、音楽を音楽の環境から外に出してくれる人たちと触れ合うと、まだまだ鳴らせてないこと、音楽が音楽として鳴らせてないものが、実はまだいっぱいあるのかもしれないな、と思って。それをどうにかひっぱり出せないかな、っていうトライアルです。
だからこの先も、そういう意味で……たとえばセットリストで言うと、自分の新しい曲もやるし、昔の曲もやるし、誰かの曲もやるし、海外の曲もやるし、いろんな曲を鳴らす場所として、実のある場所が作れたらいいな、と考えています。そういうことを、ライフワークにしたいっていうか。
そういう中で音楽を聴くと、きれいには聞こえるんだけど、画角が変わらない、そういう音楽の場所が増えてしまっている気がして。洗練されすぎたがゆえに。そういうものを、もう一度いきいきと鳴らせるような発想が生まれたらいいなという。だから年に一回、ダンサーの近藤良平さんと『great journey』という舞台をやるとか。熊谷和徳くん(タップダンサー)と一緒にやるとか。是枝監督の手紙もそうだし。
そうやって、音楽を音楽の環境から外に出してくれる人たちと触れ合うと、まだまだ鳴らせてないこと、音楽が音楽として鳴らせてないものが、実はまだいっぱいあるのかもしれないな、と思って。それをどうにかひっぱり出せないかな、っていうトライアルです。
だからこの先も、そういう意味で……たとえばセットリストで言うと、自分の新しい曲もやるし、昔の曲もやるし、誰かの曲もやるし、海外の曲もやるし、いろんな曲を鳴らす場所として、実のある場所が作れたらいいな、と考えています。そういうことを、ライフワークにしたいっていうか。
──今度のツアーは、今のところ、どんな内容を考えておられます?
今度のツアーに関しては、ライブハウスが多いので。会場によっては、全員スタンディングで聴いている場所もあるから、アクティブな曲目でいこうかなと思ってるんですけど。でも、新曲がそういう曲ばかりではないから、うまく混ぜこめるようなセットリストでやれたらいいなと思っています。今回、贅沢にホーン隊もいるから。いろいろ遊べるといいな、と思っています。年末のホールも少し違った内容になると思うし、楽しみですね。