森重樹一×渡瀬マキ対談が実現!35年振りのZIGGY&LINDBERG対バンライブへ向けて大いに語る

インタビュー | 2024.10.01 18:00

ZIGGYとLINDBERG、なんと35年振りの共演イベントがいよいよ間近に迫ってきた。10月14日、東京・EX THETER ROPPONGIで開催される〈ROCKGUILD presents ZIGGY vs LINDBERG「今すぐGLORIA」〉は、80年代から今に至るまで、激動の音楽シーンを生き抜いてきた二組が相まみえる歴史的対バンだ。それはまた、当時同じ事務所に所属し、LINDBERGのデビュー曲「ROUTE 246」の作曲を森重樹一が手掛けたことをはじめ、縁の深い二組の長い友情の証でもある。過去のエピソード、それぞれの音楽観、そして来るべきライブへの思いについて、森重樹一と渡瀬マキに語ってもらおう。
──ZIGGYとLINDBERGの対バンは、これまでにほとんどなかったと聞いて逆に驚いたんですが。
渡瀬ZIGGYさんのオープニングアクトでやらせてもらったことが、一回だけあるんです。ファーストアルバムを出してすぐぐらいです。なんかもう、「シーン」みたいな(笑)。いや本当に。で、「森重さんに作ってもらいました!」と言って「ROUTE 246」を歌った覚えがあります。それ以来じゃないですか?
森重そうじゃないかな。でもずっと同じ事務所だったり、今も制作を同じ事務所にやってもらったりとかしてるんで、なんだかんだ、そんなに何もしてないなって感じじゃなかったから。
渡瀬「POP HILL」とかでご一緒したことはありましたね、石川県の。あと、越後湯沢の「POP ROCKETS」でしたっけ。
森重あったあった。そうそう、イベントとかではね。
──ZIGGYのほうが先輩になるわけですよね。
渡瀬だいぶ先輩です。
森重いや、でもそうでもないんだよ。ちょっと俺らが先なだけなんだよね。
──ええと、ZIGGYのメジャーデビューが87年で、LINDBERGが89年ですか。
森重2年ぐらいでしょ? 年齢とかもあるからさ、もっと時代的な差があるって思う人もいるかもしれないけど、意外と近いんですよ。
──そもそも今回の対バンはどなたが言い出したんでしょう。
森重制作側じゃないかな。でもね、キーボードも同じ佐藤達哉さんにやってもらってたりもするので。うちも40周年だし、マキちゃんとこももう長いしさ、同じ世代のリスナーがたぶんいると思うんですよ。繋がり感というか、そういうのもあるんじゃないかなって思うけどね。あとね、この歳になるとみんな、大病とかあったりするんだけど。
渡瀬やっぱり健康でやれることが一番のポイントになってきますよね。
森重しかも女性アーティストの場合、立ち位置というか、それぞれのスタンスって結構違うと思うんですよね。表舞台から去る人もいらっしゃるし、やり続けている方もいらっしゃるし。俺みたいなバンドマンは、細々とでもやり続けてる人も多いしね。引っ込みがつかないっていうか、引き際がわかんないからさ(笑)。俺ももう60過ぎちゃって、引き際はどこだかわかんないし、潰しが効くわけじゃないしね。だからみんなやってたりとかするけど、女性の場合は家庭に入る方もいらっしゃるし、その辺で結構スタンスが違うってのもあるかもしれないね。
──先日、ZIGGYと同じく結成40周年を迎えたPERSONZのみなさんにインタビューさせてもらう機会があったんですけども。「年だからできない」ということは一個もないって、JILLさんが胸を張って言っていました。
森重みんなそれぞれだよね。本当に。
渡瀬女の人って、一生かけて声変わりするって言うでしょう? 男子は思春期の一回だけだけど、女の人って何歳になって、また何歳になって、ずっと一生かけて声変わりしていくんですって。だからすごい難しいって言われるんですよね。だからJILLさんもすごいと思うし、 (岸谷)香ちゃんを見てもそうなんですけど、声がガンガン出てるんですよ。どうなってんのかな?と思いますけど(笑)。
森重それはきっと、気の持ちようもあるんだよね。声って、メンタルが如実に出るからさ。
渡瀬本当にそうですね。9割方、メンタルかもしれないと思うぐらい。
森重そうよ。だから俺も正直、いつからかあんまり気にしなくなったね。いつか人はみんな死ぬわけで、そこだけはみんな共通のゴールがあるわけでしょ? そこに至るプロセスがみんな違うだけで、結局みんなと同じところに行くんだから、別にこれでいいかなって。達観じゃないけど、やっぱりそういう部分って出てくるね。だから人それぞれだなと思うし、本人がいいと思えばいいわけだよ。無駄な若作りとかもしたくないしさ、せっかくこうやって60までやってこれたんだから、若い時にやったことをいくら追いかけたって無意味だから、60過ぎた男性シンガーが何をやれるか?っていうようなことは、対自分で考えればいい話でさ。人さまは人さまだし。なんかね、もう髪染めるのも嫌でさ(笑)。めんどくさいのよ。黒くすりゃ白髪が目立つし、白くすりゃ根元が目立つし、うんざりしちゃって。
渡瀬どうすりゃいいんだ?って(笑)。
森重だからもうそのままにしようと思って、2か月半ぐらいなんもしてないんだけど。そういうのはもういいよ。白がいっぱいになってくれりゃ、それはそれでいいし。
渡瀬かっこいいですよ、きっと。シルバーヘア。
森重そう思うんだよね。だからアンチエイジングの考え方もさ、外見的に若くいたいとか、そういうのはあるんだろうけど、俺はもういいかな。とっととその場所からは降りたいっていう気持ちかな。
──ちなみにマキさんの声変わりは、第何期ぐらいですか。
渡瀬…8ぐらい?(笑)。発声障害になってから、ボイトレで違う歌い方を取得しようとしているので、ギターで言ったら、右で弾いてた人が左で弾くぐらいの違いがあって、それを習得しているところなんですけど。
森重今までのやり方と、全く勝手が違うわけだもんな。
渡瀬体に染み込んでる自分の今までの歌い方が、にょきにょき出てこようとするんですよね。でもそれだと歌えないから、っていうところの狭間で、毎日毎日そのことで頭がいっぱいで。時間がかかるものだから、今すぐはどうにもできない。だけどライブはある。ライブをやりながら、「今日はこれができた」「あれ?全然できなかったな」みたいな、一進一退という感じなので。さっきも森重さんに、あまり考えすぎないほうがいいよって言ってもらったんですけど、ステージに上がるまではいろんなことを考えたりしてもいいけれど、出ちゃったらもう考えちゃダメだなっていうふうに、確かに思いました。
森重面白いもんだよな、人間って。やっぱりフィジカルとメンタルって表裏一体で繋がってるんだけど、特にシンガーはそれがすごい表に出るもんだと思うのよ。じゃあメンタルが充実してればいつもいい歌が歌えるのか?っていうと、絶対そんなことないからね。やっぱり歌の良し悪しってさ、悲しい思いでも、辛い思いでも痛みでも、した人にしか歌えない歌があるから。万事がハッピーで生きてる人が最高の歌を歌うか?って、絶対違うと俺は思う。だからこそ自分の生きざまを、否定しないでいられるんだと思うんだよね。俺が思ういいシンガーの条件ってのは、結局それをどう捉えて、どういう形にアウトプットするかだよね。みんな大変なわけじゃん? 何かしらあるわけだよ、重いもんが。でもその重みを反動にしてどうアウトプットするのか、それはみんな違うんじゃないかな。俺はもう人をうらやむことはないし、60年生きてきて、歌うことを40年以上やらしてもらって、人との違い探しをしてても時間がもったいないから、自分が残りの人生で何をやれるか、もうそれしかないよね。
──LINDBERGは10月からまたツアーが始まります。『debut 35th Anniversary Tour「Thanx a Million☆Vol.2」』です。最近のライブの感触はどうですか。
渡瀬やっぱりファンの人とあの空気を、全てを共有するっていう空間は、特別な人にしか味わえるものではないから。どこに行ってもすごくいいなって、どの会場に行っても感じます。
──みんな歌ってくれるんじゃないですか。
渡瀬めちゃくちゃ歌ってくれます! タイトルをVol.2にしたのは、Vol.1がファンの人の投票で、全てセトリを組んだんですね。1位に向かって一切何の手も加えず、本当にその順位通りをやるっていうやつなんですね。だから突然バラードが入ってきたりするわけですよ。流れが一切ないんです(笑)。それはは東名阪だけだったんですけど、せっかくやるんだったら全国の人のところでやろうよっていうことで、Vol.2にしたんです。基本はファンの人の投票を順位通りにお届けするっていうことと、あとは新曲をやります。九州だけで放送されていた番組の主題歌で、九州の人しか知らない新曲があって、あれやんないともったいないよねっていうことになって、じゃあそれもやろうか、みたいなことになってます。
──森重さん、リクエストライブってやったことありましたっけ。
森重あったね、昔。もう20年以上前じゃないかな。こっちとしてはやりたい曲があるんだけど、そういう縛りでやるのも面白いのかもしれないね。でももう忘れちゃったよ、曲がありすぎて(笑)。俺も懲りずに曲を書いちゃうんだよね。
──オリジナル、セルフカバー、ベストも含めて、ZIGGYはほぼ毎年アルバムを出してますもんね。
渡瀬すごいね、森重さん。
森重いやいや、なんかほら、飯食うのと一緒だからさ。
渡瀬えー。そんな感じなんだ。
森重そんなたいしたことじゃないんだよ。だって、あんまり堅苦しく考えるとつまんないじゃん? たいしたもん作ろうと思うから肩肘張るわけでさ、俺はたいしたもん作るなんて、これっぽっちも思ってないから。所詮は消費されてなんぼの、芸術ではないものをやってるわけだよ。俺はそう思ってるし、だからこれを選んだしね。そんな崇高なものだったら、こんな長きにわたってデタラメ続けられないと思うもん。俺はもう絶対そういう人よ。それでいいと思ってくれる人を見つけることに、ずっと俺は自分の人生の時間を使ってきたから。崇高なことすりゃ、そりゃ立派な方ですねって話になるけど、俺はご立派なやつにはなりたくないし、「やっぱクズだなあいつは」って思われる何かがないと、俺が憧れて音楽を始めた動機自体が崩れちゃうから。だからリクエストしてもらえるのは嬉しいんだけど、俺はもういいっしょ、聴きたいんだったら音源で聴いてねって感じなんだよね。だいたい、覚えてないし(笑)。
渡瀬こんな曲あったっけ?みたいな。レコーディングで一回だけ歌ったことしかないから、どんなんだっけ?みたいなのがあるんですよ。
  • 宮本英夫

    取材・文

    宮本英夫

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