レトロリロン、メジャーデビュー曲「UNITY」リリース、5月30日からはツアーもスタート!メンバー全員にバンドの今を聞いた

インタビュー | 2025.05.12 18:00

4月6日、ツアーファイナルを迎えた東京・EX THEATER ROPPONGIのステージで、レトロリロンは遂にメジャーデビューを発表した。バンド結成から5年、ソングライターでボーカルの涼音を中心に、全員が音楽大学出身の高度なバンドアンサンブル、同世代の共感を呼ぶ思索的メッセージ、有無を言わさぬ熱波を巻き起こすライブパフォーマンスでリスナーを増やし、満を持してのステップアップだ。
5月7日、ユニバーサルミュージック/ポリドールレコードからのメジャーデビュー曲「UNITY」は、これまでのレトロリロンの集大成と言えるサウンドの中に、「一つでもあり、全部でもある」というメッセージを込めた、新たなステージの始まりを告げる1曲。リリース後の5月30日からはツアーも始まる。大きなターニングポイントを回ったバンドは、今何を考えて、これからどこへ向かうのか。4人の本音を聞いてみよう。
──まず最初の質問を。あの日、ステージで「メジャーデビューします」と宣言した時、どんな心境でしたか。
涼音(Vo&AG)涼音(Vo&AG) 僕がどこでそれを言うか、誰にも伝えていなかったんです。メンバーもマネージャーも、あの場にいた人が誰も知らない状態で臨んで…最後の曲で言おうとは思ってたんですけど、セリフも完全アドリブで、なんとかなるだろうと思ったのが間違いで(笑)。めちゃくちゃ緊張して力が入っちゃった感じはありましたけど、ちゃんと言えたので良かったです。「忘れてるんじゃないかと思った」って、終わった後にみんなに言われましたけど。
miri(Key)最後の曲で言うことだけは決まってて、でも曲のどこで言うかは知らなくて。「もう曲終わるよ」って。
永山タイキ(Dr)言うならイントロかアウトロかな?と思って、アウトロに来ても言わないから、「ガチで忘れてるんじゃないか?」と思ってたら…。
飯沼一暁(B)本当の最後に言いましたね。
涼音あそこが一番、お客さんも僕らも一番ボルテージが上がるんじゃないかな?と思ったので。あのあと、ファンの人がいろんな考察をしてくださってたんですけど、全然意図はなかったんですよ。「陰謀だ」と言われましたけど。
miri そうそう(笑)。その前のMCで、「い」から始まる大きなものを言う、というのがあって、私は「陰謀」って言ったんですけど、それが伏線だったんじゃないか?って。
涼音全然関係ない(笑)。あの瞬間、あの時に言うのが一番ふさわしいだろうなという直感だったと思います。
──バンド結成5年、遂にここまで来ました。それぞれ、どんな思いがありますか。
永山メジャーデビューという言葉に対しては、特別なものだなとは思っています。それでガラッと変わるものではないですけど、たぶんこれまで以上に自分たちに足りないことが見えてくるし、それを自分たちの力で乗り越えていかなきゃいけないということは、涼音が「メジャーデビューします」と言って、ジャン!とやった時に思いました。メジャーデビューというものを、「またイチから始めよう」というふうに僕はとらえています。
飯沼特別大きく変わるというよりかは、全てが一個アップグレードされるイメージが強いですね。大きい場所に行くことで、自分もそこに見合って強くなっていくと思うし、スタッフも、核になるメンバーは変わらないまま、どんどんチームが増えていくイメージです。それを一番感じたのがEX THEATER ROPPONGIで、実はあの日、全員で写真を撮りたいと僕が言って、無理やりメンバーとスタッフにステージに来てもらって写真を撮ったんですよ。
涼音最悪でした(苦笑)。この二人(涼音&miri)は…。
miri まだメイク終わってないのに。
飯沼「いいから来て!」って(笑)。そしたら、ものすごい人数がいるんですよ。映像チーム、照明チーム、PAさんとか、「こんなに増えたんだ」と思って…やってることは変わらないけど、本当に自分たちがどんどん大きくなっていってることを肌で感じるライブでした。写真のタイミングは、申し訳なかったですけど(笑)。リハーサル終わりに撮るはずが、みんな忙しくて忘れちゃってて、僕が無理やり「午後4時に全員ステージに上がってください!」と言ったんですよね。とにかくメジャーに行くということ、チームが大きくなったということを、めちゃめちゃ感じた1日でした。
涼音ちょっと嫌いになったけどね(笑)。自己中なんですよ。自分の思い出優先。
──まあまあ(笑)。記念になったからいいじゃないですか。miriさんは?
miriメジャーデビューって、未だになんだかよくわからないですけど、これからもっとたくさんの人に届けるチャンスがあるステージに立てたのかな?と思います。涼音が「メジャーデビューします」と言った時は、5年やってきた中で絶対思い出す景色だと思うし、本当にいろんな人の力があって、来てくれる人がいてできた景色なので、これからそういう景色がもっと増えていくのが楽しみです。あの写真だけはちょっと…ですけど(笑)。
──涼音さん。メジャーデビューは、最初から一つの目標だった?
涼音僕はメジャーデビューに関しては、目標とかではなかったです。むしろ、あの言葉を会場に放った瞬間から、また大きな責任を背負ってしまったなという感じはありました。今までよりも求められるものも増えるでしょうし、自分で自分のハードルを勝手に上げていっちゃうというか…ユニバーサルの会社の人がいる前で言うのはあれなんですが、一個呪われたなっていう感じがする(笑)。
──呪われた(笑)。どういう意味ですか。
涼音音楽って、始めた時が一番自由だと思うんですよ。そこから一つずついろんなものを背負っていって、どんどん縛られていくというのは、どの人でもそうなのかなと思っていて。あの瞬間、「メジャーデビューします」と言ったことで、自分の人生のセーブポイントが更新されてしまったというか、もう戻れない場所に立ってしまった感じがして…ステージを降りた時に、いろんな重圧感が押し寄せてきて、自然と涙が出てしまったんですけど。それは感動というよりかは、これから先どうしていくかを自分の中で憂いていた、そういう感覚がありました。歌い始めて12年間の自分の呪いみたいなものを、また違う呪いに差し替える作業だったなという感じはしましたね。発表したあとにもいろんな人からメッセージをいただいて、その数が増えれば増えるだけ、期待と責任が自分の中に重くのしかかっている感じがして、それで気が引き締まる面もあれば、逆により不安になったというほうが正しいかもしれないです。
──そこまで重いものが。
涼音そう言うと、あんまり嬉しくないみたいな感想に聞こえるかもしれないですけど、そんなことはなくて。あの日のライブ自体は、5年間やってきた努力が繋がった感覚がすごくあって、その反面、自分にできることをより考えなきゃいけないという気持ちもあって、イメージで言うと砂時計を逆さにした感じです。今までは砂が落ちっぱなしの状態で良かったんですけど、これからは意思を持ってそうしなきゃいけないという、だからライブの最後に花瓶を持って、お立ち台にバン!って置いたんですけど、あれは砂時計をひっくり返して置いた感覚でした。
──ああー。なるほど。そうだったのか。
涼音あれも別に決めてたわけじゃなくて、ステージを去る瞬間に、ここから先は一つひとつのことを少しでも無駄にできないんだろうなと思ってしまって、多様性というテーマを掲げたEP『アナザーダイバーシティ』のジャケットの、花瓶のオブジェをステージの真ん中に置くというのが、僕にとって踏ん切りをつけるための行動だったんだろうなと思います。ファンの人たちはたぶんサービスだと思ってくれて、あの花瓶の写真を撮って帰ってくれたんですけど、僕的には自分で自分の線引きをするために置いてきたという感じでした。それくらい、考えることがたくさんあったツアーファイナルだったなと思います。
──これまでにリリースした3作のEP、『インナーダイアログ』『ロンリーパラドックス』『アナザーダイバーシティ』を、三部作という言い方をしてましたよね。それが完結して次のステージが始まるということを、どのくらい意図していたんですか
涼音『アナザーダイバーシティ』までは、ほとんど意図はなかったです。ずっとがむしゃらに曲を作って、みんなで発表して、というのをやってたんで、最初から三部作にしようというものもなかったですし、そんなに狡猾な人間ではないので、そこまで考えては作ってなかったです。実際、三部作で終わりでもよかったんですよね、僕の中では。自分の人生がいつ終わるかはわからないので、後悔のないように、事故とか病気とかで突然人生が幕を閉じたとしても、自分にとって出したいものは出せたなという満足感は、その時点ではありました。だからこそメジャーファーストシングルは、ここからどうしていきたいんだろう?って、すごく考えました。

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