ボーカリスト、作詞作曲、ボーカルミックスと多彩な活動を続けるソロアーティスト、梓川。彼が6月4日(水)に2ndフルアルバム『端子』をリリースし、8月3日(日)に2nd ONE-MAN LIVE「POAT_A」を開催する。
アルバムには梓川が敬愛する豪華コンポーザーが参加し、梓川本人による作詞作曲楽曲を含む全12曲を収録。タイトルには異なる個性を持った楽曲群を梓川という端子でつなぐという意味や、自身の歌が音楽とリスナーをつなぎとめる端子でありたいという思いが込められている。その結果、様々なジャンルのリスナーの琴線に触れる多彩な作品となった。
今回のインタビューでは梓川のクリエイティブのポリシーを探りながら、『端子』の制作背景や「POAT_A」へのビジョンを尋ねた。活動開始から5年で様々な成長と変化を遂げてきた彼が今見据えるものとはいったいどんなものなのだろうか。
アルバムには梓川が敬愛する豪華コンポーザーが参加し、梓川本人による作詞作曲楽曲を含む全12曲を収録。タイトルには異なる個性を持った楽曲群を梓川という端子でつなぐという意味や、自身の歌が音楽とリスナーをつなぎとめる端子でありたいという思いが込められている。その結果、様々なジャンルのリスナーの琴線に触れる多彩な作品となった。
今回のインタビューでは梓川のクリエイティブのポリシーを探りながら、『端子』の制作背景や「POAT_A」へのビジョンを尋ねた。活動開始から5年で様々な成長と変化を遂げてきた彼が今見据えるものとはいったいどんなものなのだろうか。
──『端子』で梓川さんが手掛けた楽曲は3曲収録されていて、「エレβ」は「無色透明祭」のセルフカバー。今回新しく書き下ろした「言っちゃった!」と「平均台」は、サウンドも歌詞も真逆のアプローチなので、梓川さんのアウトプットの振れ幅が感じられました。
梓川「言っちゃった!」は「このクリエイターが集結したアルバムの中で梓川が作詞作編曲全部やって勝負することになった、どうしよう!」という苦悩をそのまま書いています(笑)。アルバム『端子』とワンマン「POAT_A」の告知が解禁されたときに、「アルバム出すこともワンマンやることも言っちゃった!」と思ったんです(笑)。
──ははは。言っちゃったら絶対にやらなきゃいけないし。
梓川第一線で活躍されているクリエイターさんに紛れて梓川も曲を作るって言っちゃったなー……って。だから自分に釘を刺す、やるからにはちゃんとやれよと自分のケツを叩くような曲になったので1曲目に置きました。曲順を考えるにあたって、聴いてくれた人が高低差やギャップで耳がキーンってなってほしいなと思ったんです(笑)。
──曲順と言えば、4曲目の「エレβ」と5曲目の原口沙輔さん提供曲「霧傷」が、前半と後半をつなぐいいハブになっていますよね。
梓川そうなんです。実はこの2曲、マスタリングで曲間を完全にクロスさせていて。
──「エレβ」には原口さんが使いがちなビートが入っているので、2曲でしっかりグルーヴができています。
梓川やっぱり原口沙輔という存在はひとつのカルチャーだし、同世代としてシンパシーも感じるし、どうしても意識してしまう存在ではあるんですよね。そんな沙輔さんがどんな曲を作ってくれるのかな?と思ったら、スローな曲が来て面食らって。それを伝えたら「しめしめ」と言われて、ほんとやられたー!って思いましたね(笑)。でもレコーディングでボーカルについて「ものすごくいいです」「こんなにもいい曲になるなんて」と言っていただけて、歌で面食らわすことができました。
──ちなみに「エレβ」はどんな着想から生まれたんですか?
梓川ナースロボ_タイプTの声がすごく印象的だったので、この声で曲を作りたいと思って。それでエレベーターの歌を歌ってもらうことにしました。僕、エレベーターが大好きなんです。エレベーターホールも好きなんです。ワクワクするんですよね。
──確かにエレベーターみたいな空間や装置は、エレベーター以外に存在しませんね。
梓川きっちりと四角で、大理石があしらわれていたり柱やボタンがあったりという形状もいいし、昇り降りという限定的な機能でありながら人を惹き付ける魅力があるのも素敵だし。歌詞に《昇ったり降りたりするだけの人生》という部分があるんですけど、よく自分はバイオリズムの波や、一喜一憂の幅が激しいと言われるんです。でも僕は常々「振れ幅は大きいかもしれないけど、平均値を取ったらまっすぐになるんだ!」と思っていて。それをナースロボ_タイプTに言ってもらいたい、叱ってもらいたいという欲望から生まれた曲です(笑)。だからナースロボ_タイプTのパートも一部分残しているんですよね。
──ちなみにいまおっしゃった“平均”と、「平均台」の“平均”は意味合い的にリンクしているのでしょうか?
梓川どうなんだろう。「平均台」は英題が「Life」で、「自分の人生は落ちないように頑張ってバランスを取って進んでいくような感じだな。物で例えるなら平均台なのかな」と思ったところから作っていったのが始まりですね。だから自分のポリシーがナチュラルに出力されたものなんですけど……でも確かにつながっているのかも。すごい落ち込んだかと思えばすっごく喜んだり、それも心のバランスを取っているのかもしれませんね。
──「平均台」はアコースティックギターと歌というシンプルなサウンドで、こちらギターも梓川さんが弾いてらっしゃるんですよね。となるとこの曲はライブで弾き語りをなさるのでしょうか。
梓川いや、迷ってるところですね。なぜこのアレンジにしたかというと、アルバムの曲順が「東京心中」の次なので、この曲で「東京心中」を弔いたいという思いがあったんです。それでなるべくナチュラルな質感にしたんですよね。
──なるほど。アルバムの整合性を最優先したアレンジなんですね。
梓川だからライブでは別のパターンで出力された「平均台」が聴きたい気持ちがあるし、アレンジを詰めていける曲だと思っているので、リメイクを視野に入れているんですよね。アコースティックセットもめちゃめちゃいいと思うし、R&Bっぽいアレンジも聴いてみたい。だから8月のワンマンでもアルバムとは違うかたちで披露できたらいいなという漠然とした理想はあります。