ピアニスト、作曲家、プロデューサーとして、国内外で幅広く活動している梁 邦彦と、BREAKERZの一員としてのバンド活動のほかに、ソロとしても多彩な音楽活動を行っているギタリストのAKIHIDEとが、6月20日に品川プリンスホテル クラブeXで「Moon Sketch -first moon-」というタイトルのコンサートを開催する。活動してきたフィールドは異なるが、ジャンルやスタイルに囚われることなく、自由な発想のもと、自在な活動を展開している共通点もある。穏やかかつフランクな口調でありながら、音楽に対する熱い情熱が伝わってくるところからは、人間性においても重なる部分が少なからずあると言えそうだ。
異なる個性を持つ音楽家2人の化学変化によって、どんなコンサートになっていくのかは、本人たちにも観客にもスタッフにもわからない。おそらくピアノとギターのコラボレーションという枠組みを越えたステージになっていくのだろう。観る側の想像力を刺激してくれる、クリエイティブな音楽空間が出現するのは間違いなさそうだ。コンサートを一緒にやることになった経緯、互いの印象、ステージのビジョンなどをテーマとした対談。2人の会話を聞いていると、コンサートへの期待が大きく膨らんでいく。
異なる個性を持つ音楽家2人の化学変化によって、どんなコンサートになっていくのかは、本人たちにも観客にもスタッフにもわからない。おそらくピアノとギターのコラボレーションという枠組みを越えたステージになっていくのだろう。観る側の想像力を刺激してくれる、クリエイティブな音楽空間が出現するのは間違いなさそうだ。コンサートを一緒にやることになった経緯、互いの印象、ステージのビジョンなどをテーマとした対談。2人の会話を聞いていると、コンサートへの期待が大きく膨らんでいく。
──まずお2人が一緒にコンサートをやることになった経緯を教えていただけますか?
梁もともとのきっかけは、ディスクガレージのスタッフからの提案ですね。そのスタッフから数年前に、「梁さんと共演したら、おもしろいんじゃないかと思うアーティストがいるんですよ」との情報は聞いていました。それがAKIHIDEさんだったんですよ。その後、2023年年末に、僕が品川教会でコンサートをやった時に、AKIHIDEさんが観に来てくださり、ライブ後にお会いして、「一緒に何かできたらいいですね」という話になりました。そこから今に至るという感じです。
──AKIHIDEさんが梁さんのコンサートを観に行ったのも、そのスタッフからの勧めがあったからなんですか?
AKIHIDEそうです。そのスタッフから、「素敵なピアニストの方がいて、一緒にライブをやったら、きっとおもしろいと思います」と提案されたのが最初です。その後、梁さんのクリスマスコンサートにお声がけいただき、そこで初めて梁さんのステージを拝見しました。スリーピース編成だったのですが、本当に素敵なコンサートで、繊細さから力強さまで、ピアノの演奏によって、壮大な物語を紡いでいらっしゃっていて、とても感動しました。それで、「ご一緒できたら幸せだな」と思いながら挨拶させていただき、今回、実現することになりました。
──ライブ後に初めてAKIHIDEさんに会った時の印象を教えてください。
梁イケメンなのに礼儀正しくて、とてもナイスガイだなと思いました(笑)。しかも、これであの素晴らしいギターを弾くんだから、魅了されるはずだなと納得しました。実はスタッフから話を伺ってから、AKIHIDEさんの音楽をオンラインで聴いたりはしていたんですよ。その時点では、少し遠い感じがしていました。
──遠いというと?
梁AKIHIDEさんのギターからジャンルやスタイルを超えた“音楽の美学”のようなものを感じたんですよ。自分の世界を確立されていて、ギターを弾いている姿も絵になっていて、ひとつの世界として完結している印象があった。遠いと感じたのはそこですね。ここに自分が入っていく余地があるのだろうかと思いました。ところが楽屋に来てくださってお話をしたら、とても気さくで柔らかな印象があって、距離がぐっと縮まり、そこでやっとAKIHIDEさんのギターと人物像が一致しました。この人の中から生まれている等身大のギターなんだなと気付いてからは、AKIHIDEさんの奏でる音楽が近くに来てくれる感じがして、一緒におもしろいことができるかもしれないと思いました。
AKIHIDE多分、僕は特殊なタイプで、ギタリストらしいギタリストではないと思います。自分がこれまでに聴いたことのないような音を、ギターで出したいという思いが強いというか、ギターという文脈ではないところから入りたい自分がいるんですよ。
梁ギタリストでもあるけれど、どちらかというと、アーティストというほうがふさわしいんでしょうね。ギターを演奏することよりも先に、自分の世界を確立することがあるんだと思いますね。
──それぞれ表現に対して自由なスタンスであることが共通している印象も受けました。
梁AKIHIDEさんと何度かやり取りをして、アプローチの方法が自由だなと感じました。
AKIHIDE僕が感じたのは、梁さんは色々な物語の語り口や角度から音楽を作っていらっしゃるんだなということでした。コンサートを観させていただいた時に感じたのは、激しい曲でも優しい曲でも、お客さんを見ながらピアノを弾いて、その目線がすごいな、語り口の熱さが音に出ているんだなって、その熱き情熱に圧倒されました。
梁ありがとうございます。少しだけ自分のことをお話させてもらうと、僕はライブ活動の時間よりも、音楽を創作している時間が圧倒的に長いんですね。作ることが大好きなんですが、作るだけだと、消化されない部分もあって。ライブは自分にとって、その消化されない部分を解消するものでもあるので、ライブで演奏できる瞬間は、僕としてはかなり幸せなんですよ。コンサート会場では、そのうれしい気持ちがつい自然に出てしまうんじゃないかと思います。
──AKIHIDEさんは創作とライブに関しては、どう考えていますか?
AKIHIDE僕はライブは大好きなんですが、飽き性なところがあるので、色々なジャンルのライブをやっています。自分の所属しているロックバンド、BREAKERZでの通常のバンドスタイルライブ、ソロの配信ライブ、ギター1本とループペダルを使っての47都道府県を巡るソロライブ、プラネタリウムでのヒーリングを兼ねたライブなどなど。僕にとってライブは人生におけるかけがえのない場所であり、応援してくださっている皆さんと一緒に楽しんでいく、遊び場みたいなところでもありますね。
──お二人とも自由なライブ活動を行っているからこそ、今回のコラボレーションが実現する運びになったのだと納得しました。
梁ディスクガレージのスタッフがこの形を提案してくれたのも、それぞれのライブを観て、一緒にやったらおもしろいんじゃないかと気が付いてくれたんだろうなと思います。
──共演するおもしろさって、それぞれの人間性の融合の醍醐味もあるのではないかと思います。梁さんからは「気さくなナイスガイ」との言葉もありましたが、AKIHIDEさんは、梁さんのキャラクターについて、どう感じていますか?
AKIHIDE僕からすると、日本という枠を超えて活躍されてる大先輩のミュージシャンなので、初めてお会いした時には、緊張してしまうというか、恐縮してしまうところもあったんですよ。でも、最初のやり取りから、梁さんが優しくしてくださって、その後のメールでのやり取りでも、文面のひと言ひと言から、優しさや気遣いを感じて、なんて優しい方なんだろうって思いました。
梁いや、まだわからないですよ(笑)。
AKIHIDEいえいえ、優しい方だからこそ、奏でる音からも、優しさや深みが溢れているんだろうなと思っていますし、6月のライブが今から楽しみです。