──お話の中に何度も出てきますけど、アルバムを目指して進んでいるという話は、言ってしまっていいですか。
うん。今年は絶対作りたいです、ZIGGYとして。それが一番の目標ですね。それに伴ってツアーもやりたいと思っているし。要は、過去の曲ばかり並べなきゃいけないツアーを何年も続けるなんて、できないんですよ。最近作った曲をまず聴いてもらいたいし、今の俺が、この時代に、誰かと共感できるんだというものが欲しいので。過去のものは、時の流れの中でだんだん色味が変わっていって、モノクロになる人もいるし、色あせる人もいるかもしれない。自分にとってもそういうものなんですけど、そうじゃなくて、今書いた原色の曲を出し続けることができたら幸せだし、それをやり続けられる以上は、ZIGGYというバンドは存在できると僕は思うんですね。
──はい。
なんでオリジナル・メンバーでやらないんだ?とか、聞く人がいるけれど、それはオリジナル・メンバーでやったものは、過去のものだから。たとえば1987年から92年ぐらいまでの、わずか4~5年の活動の時期にみんなが執着しているということに…僕はそこから長い時間、1日たりともZIGGYじゃない日はなかったわけだから。どうにもならなかった時期にもいたし、活動休止せざるをえなかった時期のZIGGYにも僕はいた。だから、ある時期のZIGGYに戻してくれと言われるのは、実を言えば一番心外なんだよね。僕が歩いている方向と、逆の矢印を僕に強要するから。僕は前を向いていきたいし、そこに誰がいようといまいと、1984年にバンドが始まった時のことを考えれば、まったくもってそれは問題にならない。実際、これからももっと新しい人と出会っていけると信じているし、それは、僕自身が新しい音楽を作っていきたいという気持ちを持ち続けさえすれば、必ず新しい人たちと出会うことになると思うので。
──間違いないですね。
それは絶対に、どんなことがあっても、過去に作ったものよりも、自分にとって素晴らしいものになるということがわかるんだよね。1987年には、まだ24年の人生経験しかなかった人間が、今年54歳になるんだけども、そのぶんの体験があるわけだよね。どちらがいい悪いではなく、自分にとってよりリアルなものは、やっぱり54年目を生きているもののほうが、誰がどう考えても自分にとってリアルだし、本当なんだよね。そしてそれを、自分はZIGGYだと思うんだよね。それを今のメンバーとやりたいと思うし、それが一番ZIGGYでやりたいことなんだよね
──今のメンバー、楽しそうですね。ブログを見ていても、いつも笑っているし、音を通じてつながっている様子がよくわかります。
そうそう。みんな音楽をとても愛していて、僕が彼らから何をもらっているかといえば、自分もこんなふうに、好きなものを好きだと言っていいんだという安心感ですよ。その時に感じたものを、素直に形にすればいいんだということを、今の人間関係からはたくさんもらっているんですよ。それが自分を推進させる力になっているし、ファンの人たちがエールを送ってくれることで、さらに前に進める。それは何かといったら、共感しかないんですよ。それは音楽をやっていて、一番うれしいことなんですよ。その共感をもって、ZIGGYという旗のもとにみんなが集まれたら、すごいことだなと思うし。
──そうですね。
僕が二十歳の時に思った“こういう人間になる”という、そのままなんですよね。自分自身が、そういう人間でい続けられることが、とにかく幸せだし。こうやって音楽をやっていけること以上の幸福は、なかなか見つけられないですよね。
■ZIGGY “CELEBRATION DAY” (Music Video Digest)