「ドラム馬鹿一代」対談！ JET SET BOYS 高橋まこと×THE YELLOW MONKEY ANNIE「ドラムとバンドと人生と」。第1回 二人の出会い＆ドラムとの出会い編

まことさんの、手首に魂を入れる感じがね、かっこいいから（アニー）

──アニーさんは、ドラマーとしてのまことさんは？

アニー　ミスター8ビートですよね、それは。日本人が苦手とする速い8ビートを──。

高橋　そうなの？ 苦手なのかね？

アニー　やっぱり変にシェイクしたり、スウィングしたりするじゃないですか、日本人の血として。僕もそうなんですよ。そうじゃない、きれいな8ビートが出せる、あの強い感じがすばらしいですよね。

高橋　そうかね？ まあBOØWYの時は、レコーディングでカッチリやらされてたっていうのはあるよね。布袋（寅泰）が、「リズム、ハネないでくれ」って言うし。

アニー　速い曲が増えてくると、ラクしたくなるじゃない？（笑）。それでハイハットが4分音符に近くなっていくんだけど、そこをがまんしてきっちり8分音符を出してるのが、さすがだなと思いますよ。80年代のロックンローラーの根性みたいなところ、ありますよね？

高橋　そうだね。8つ（8分音符）で聴いたものは8つで叩かないといけないだろう、と。

アニー　僕もほんとはそこからスタートしてるんで。ルーツが……初期のアイアン・メイデンとか大好きなんですよ。BPM200近い8ビートで、裏を抜かないでちゃんと8分で叩くっていうのが大好きだったんで。

──まことさんはアニーさんのプレイはどういう印象ですか？

高橋　最初？ わりとオールドロックっていうか、ハードロックなドラムだなって。

アニー　今より全然ハードヒットしてたんでね。全部力任せだったから。でも俺、まことさんのドラムを生で観た時に……力みがちなとこ、あるじゃない？

高橋　うん。

アニー　すごい安心した（笑）。「まことさんでもそういうことあるんだ」って。自分が間違ってないって再確認したし。小手先のうまいドラムって好きじゃないから。まことさんの、手首に魂を入れる感じがね、かっこいいから。

ドラムはボコボコ叩けば音出るからさ（高橋）

──そもそもどんなふうにドラムという楽器を選んだのか、教えていただけます？

高橋　まあ、ギター弾けなかったからかな（笑）。ギターにチャレンジして、コードぐらいは弾けるようになったんだけど、♪テケテケテケ（単音弾き）っていうのは全然ダメだった。

アニー　俺、コードも弾けなかった。ライトハンドしかできない（笑）。 あと……小学校の時は、それこそ歌謡曲を聴いてて。流行ってたのはベイ・シティ・ローラーズだったりして。隣の部屋では兄貴が、エアロスミスだのチープ・トリックだのを聴いていて。 その頃はまだ歌しか聴いてなかったんですよ。で、中学に入るか入らないかの時に、YMOを聴いて、ドラムが……同じ高橋さんですけど。

高橋　ああ、幸宏さんね。

アニー　YMOを聴いた時に、気がついたら耳がドラムを聴いてたんですよね。メロディよりもハイハットの♪チッチキチッチキって音だったりを。それで、自分がやるのも自然にドラムになっちゃったっていうか。だから、僕のルーツは高橋幸宏さんなんですよ。 その頃から、ドラム耳なのかもしれない。いまだに音楽を聴くと、半分以上ドラム聴いてますからね。ほんとはいけないんだけど、それ。

高橋　俺たちはダメだね。そうなるね、どうしても。

アニー　たぶんまことさんも、最初からドラム耳なんだと思うんですけどね。

高橋　そうだねえ。ギター弾けなくて、「じゃあおまえドラムやれよ」って、やってみたらなんか超しっくりきたんだよね。「あれ？ これ、俺好きだ」と思って。 なんか、解き放たれた的な……ギターはちゃんと弾かないとブツブツ言われるけど、ドラムはボコボコ叩けば音出るからさ（笑）。

アニー　そうそう、不器用でもできる。不器用だから音楽をやってるところ、ありますからね。だからドラムがいいっていうか、大きい筋肉を使いたいんだよね、きっとね。

第2回に続く～7月3日（月）19時公開予定