VALSHEが3年ぶりにリリースするアルバムを紐解くインタビュー!

インタビュー | 2017.08.02 18:00

──なるほど。その中で、VALSHEさんの実写が初めてジャケットに使われたのがアニメ『名探偵コナン』のOPとして使われた「Butterfly Core」でした。この曲が大ヒットし、次に同アニメのEDを担当した「君への嘘」は番組史上最長となるOA記録を達成。VALSHEさんの名前自体、コナンの映画に出てきたロシア語の一部ですし。コナンとの巡り合わせは、運命という気もしますね。

「そうですね。自分も作品のファン(第一話から視聴していたそう!)だったので、テーマソングを歌わせていただけると決まったときは、OPもEDも非常に嬉しかったです」

──特にEDの「君への嘘」をアニメで見たときは 、VALSHEさんにお礼返しをするようなトリックがあってびっくりしたんですよ。

「自分もびっくりしました。だから、いまでもEDのアニメを見返すことがよくあるんです。監督さんの演出が素晴らしくて。これは完全にコナンファンの目線ですけど、当時見たときも、こんな演出でくるとは思っていなかったのですごく嬉しかったですね」

──そして、この頃からライブもやられるようになった訳ですが。最初に「デビューしたらライブをやりたい」と思うようになったきっかけはなんだったんですか?

「CDという作品を作っているときに、レコーディングブースのなかで音の作品を作るとき、(自分の)熱をセーブしなければならない機会が何度も訪れたんですね。アップテンポですごく感情を表に出す楽曲を歌ってるときに、自分の気持ちからブワッて出ているものを全部出して汗だくで歌っていたら“ライブじゃないんだから。それじゃあライブ音源になっちゃうよ”といわれてしまって(笑)。これはCDという作品になるものだから、ドタドタしないでもうちょっと綺麗に歌わなきゃいけない。そこにもどかしさを感じてしまったことがあって。あと、CDができたときに満足するものができたと思う一方で、自分はこのときもっと感情が高ぶってたんだという思いもあって。CDとしてはこれが正解なんだけど、生だったら自分はもっと違う伝え方をしている。と、思っていたらどんどんライブをやりたいという気持ちが高まっていったんです」

──分かりました。その後VALSHEさんはViCTiMというユニットを結成後、再びソロ活動をスタートさせて、今回3年ぶりのフルアルバム『WONDERFUL CURVE』を発売。アルバムのテーマを“記憶”にしようという構想はどんなふうに生まれてきたんでしょうか?

「発端はすごく細やかなことです。自分にとって嬉しかったこととか心に残る瞬間があっても“あのとき自分、なんていってたっけ?”…“あれ、忘れてる?”という事がよくありますけど、人間はすごく嬉しかったことや悲しかったことでもどうして忘れるんだろう、そもそもその“忘れる”ということにみんななぜ疑問を持たないんだろうというのがきっかけです。そこから、エビングハウスの忘却曲線というものに注目して」

──どういうものなんですか、それは?

「人間が、記憶したことを時間の経過と共に忘れていくシステムを、一つのカーブで表しているものです。それを知って“じゃあどんなに素晴らしいライブをやっても、どんなにろくでもないライブをやっても、この期間を過ぎれば人は誰でも忘れるのか”と思ったらすごく悔しくて。なんとかこのカーブをもっと緩やかにできないのかというのが、このアルバムを作るきっかけになったんです」

──いつそんなことを思いつくんですか?

「一人のときはずっと考えてますね。そういうなかで今回のようなコンセプトが出てくることが多いです」

──子供の頃から、よく一人で考えを巡らせたりしてたんですか?

「そうですね。ひとりっ子だから?かもしれないです(微笑)」

──なるほど。そうして忘却曲線を緩やかにしていく作品作りが始まった訳ですね。

「はい。例えば子供の勉強法もこのカーブを利用して、このタイミングで復習をするとカーブが緩やかになりますとか、生活上のいろんなところでこのカーブを人々は応用しているんですね」

──実生活の中で?

「ええ。なら、このアルバム作品をどういうタイミングで人がもう1度聴き返したらカーブが緩やかになるのかとか。そういうことを考えて作っていきました」

──いわば、心理作戦を仕掛けた訳ですね。作品を通して。

「はい。自分自身がそういう叙述系のトリッキーなことが好きなんです。これはあのときのあれだからもう1回見返そう、とか。そういうものを今回のアルバムは全面に押し出してみました」

──そこを紐解けば紐解くほど、楽しくなるアルバムなんですね。本作は。

「そうですね。音作品としては3枚目のアルバムということで、1枚目では絶対できなかったことに挑戦したりしていまして。音は音で楽しんでもらいたいんですけど。VALSHEを応援してくれる方々は自分で考察をするのが好きなファンが多いので、アルバムだけでは分からないけどライブを見たら“そうだったのか”と分かるものをライブの演出に取り入れてみたりとか。あとは音以外にもう1作品用意しているものがありまして。それと照らし合わせたときに、“あっ!この言葉ってこのことだったんだ”と分かったりだとか。アルバムとしては一つの音作品として楽しめながらも、『WONDERFUL CURVE』という物語としては、いろんなものをパズルのように組み合わせて自分のなかで紐解いて遊んでいくこともできる作品になってます」

──純粋な音作品にも見えるけれども、もっと踏み込めばそこにはいわば壮大なRPGみたいな物語が広がっていくということですね?

「そうですね。物語に気づくと、途中で立ち戻って“あの曲だけもう1回聴いてみよう”とか。いろんな立ち戻りをしてもらえる。もう1度聴きたくなるきっかけ作りを物語の中にたくさん仕込んでみました」

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LIVE TOUR 2017「WONDER BALANZA」

9月29日(金)30日(土) 東京キネマ倶楽部
チケット一般発売:8月19日(土) SALE

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RELEASE

3rd FULL ALBUM
「WONDERFUL CURVE」

(Being)
8月23日(水)Release!

※初回限定盤[CD+DVD+豪華フォトブック]、Musing盤[CD+DVD+白皙描き下ろしイラストポスター仕様ブックレット]、通常盤[CD]の3形態

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