ネクスト・ブレイク候補最右翼、ヒゲダンことOfficial髭男dism。New Digital EP「LADY」の聴き所、いまライブで表現したいことを、藤原聡(Vo&Pf)がたっぷり語る。

インタビュー | 2017.09.01 12:00

「国民的なバンドになりたい」という目標を掲げているし、紅白歌合戦に出た時にどういう音楽をやっていたいのか?って、あらためて考え直したんです。

──まさに。新しいDigital EP『LADY』の、このバラエティ感はすごいですよ。7月にサブスクリプション配信された「Tell Me Baby」と「ブラザーズ」に、リード曲の「LADY」と、もう1曲「Driver」を足した4曲入り。

これをよく1枚の盤に詰め込んだな、という感じになってます(笑)。「Tell Me Baby」と「ブラザーズ」は、今までの僕たちとは違う見られ方をされる曲ではあると思うんですよ。基本的にはみんなで演奏するんですけど、なるべく打ち込みみたいな音にしたくて、ドラムの音をサンプリングして貼っていったりとか。僕が作ったシンセサイザーの音がたくさん入っていて、自分の中でいろんなことにチャレンジした曲ですね。

──「Tell Me Baby」は、それこそブルーノ・マーズ的な、モダンなポップ・ファンク。ループするビートがすごくクールでかっこいい。

最近そういう音楽に、すっごい影響を受けていて、ブルーノ・マーズとか、DNCEとか。ブルーノの去年出たアルバムを聴くと、「うわ、この音懐かしい」みたいな音がいっぱい入っていて。僕はヒゲダンを組む前に、地元のおじちゃんおばちゃんが組んだAORのコピーバンドに入っていて、ボズ・スキャッグス、アース・ウィンド&ファイアー、スティーヴィー・ワンダーとかのカバーを、キーボーディストとしてやっていたんですけど。

──10代でそんなことを。渋いなあ。

だからすごく親しみがあって。そういうエッセンスをサウンドに取り入れてるところが、僕がブルーノ・マーズにハマってる理由かもしれませんね。楽曲の振り幅がめちゃくちゃ広いのが、ブルーノの素敵なところだと思っていて、僕らも彼に続けというわけではないですけど、やりたい音楽がいっぱいあるならどんどんやっていこうと思って、この4曲が生まれました。

──「ブラザーズ」は、すごくカワイイ曲。ちょっとコミカルで、ハッピーなポップ・チューン。

最近作った中で一番聴いてる曲です。4人で上京してきて、本当の兄弟ではないにせよ、一つ屋根の下の家族みたいになっていくのを曲にしたいなと思ったのがきっかけで。それと、地元でアマチュアバンドをやっていた頃にスタッフをやってくれていた奴がいて、ギターの(小笹)大輔くんのお兄ちゃんなんですけど、彼が車を運転してくれて5人でライブしに行ったりとか、大輔と僕の3人で夜通し遊び倒したりとか。まあ若気の至りというか、何やってんだ?ということを平気でやってた時の、あの無敵感を絶対忘れたくないなと思って、この曲の歌詞ができあがりましたね。常識とか年相応の振る舞いとかはあるけど、昔のクレイジーさを忘れたくないなという気持ちが歌詞に入ってます。

──新曲の、「Driver」は?

これはギターが印象的な楽曲になってます。大輔はハードめなギターが得意なので、それが前面に出てますね。けっこう暑苦しい曲です(笑)。でも僕の中ではすごくぐっとくるメロディで、サビのメロディが特に好きです。これも1枚のEPに入れられたことがうれしくて、ぜひ聴いてみてやってください。歌詞のテーマは「1日が始まる感じ」で、自分の朝の始まり方を考えると、スマホのアラームで起きるとか、休みの日にどこかに行くのでも、スマホで調べますし、もうスマホなしでは実現しない休みの日のライフスタイルが根づいていることに気づいて、この曲は実は「僕」がスマホなんです。スマホに擬態している曲ですね。

──そしてリード曲「LADY」。メロディも素晴らしいし、歌詞もぐっとくる、最高のピアノ・バラード。

ありがとうございます。これは歌詞を作るのに一番時間がかかった曲で、何度となく夜を明かして書いてたんですけど、それがつらいとはまったく思わなくて。ただただ、いいものが生まれていくのが楽しかったですね。バラードをリードトラックとして出すのは初めてなんですけど、ヒゲダンの音楽を聴いてくれる人は年齢も幅広いし、いろんな人たちに歌詞のメッセージが伝わるものを優先しようと思って、難しい言葉を排除していったんですよ。仮歌を歌った時に、メンバーの評判もすごく良くて、スタッフも「いい曲だね」と言ってくれて。自分の中では、ここまでわかりやすいとアーティスト性に欠けるんじゃないか?とか、斜にかまえていたなということに気づいたんですよね。韻を踏む面白さはあるけど、あえてわかりにくい表現をしていたりとか、けっこうやってたんで。でもやっぱり、「国民的なバンドになりたい」ということを目標に掲げているし、紅白歌合戦に出た時にどういう音楽をやっていたいのか?って、あらためて考え直したんですね。

──ああー。なるほど。

そこで、音楽に詳しい人もそうでない人も、みんなで同じ世界を共有できるのは、やっぱり歌詞だなと思ったので。「LADY」は恋愛の曲なんですけど、20代30代になって恋愛すると、それが初恋ということはなかなかないし、みんな気にしないと言いながらも、相手の過去のこととか、理性の裏側でこっそり気にしてるじゃないですか?そこで、記憶というものを紙に擬態化して、二人でマジックで記憶を上書きしようとするという、そういう表現を思いついて。僕の実体験も少しは混ざってるんですけど、ここに出てくる二人は、年齢は大人なんだけど子供っぽい独占欲が止められない、という内容になってます。サウンドは音数も少なく、ダイナミクスも控えめで、パワーを内に秘めてるオケなんだけど、歌はソウルフルに歌う。そのコントラストが、大人なのに子供の感情が止まらないというものとリンクしていて、サビの最初のところとか、あえて幼稚っぽく歌ってみたり、そういうこともすごく考えて歌ってます。

ライブでは、歌のパワー、楽曲のパワーを生で感じてもらうことを第一に。バラードも、手拍子する曲も、踊る曲もあって、そういうライブが一番好き。

──ぜひみなさん、チェックしてみてください。そしてリリースのあとにはツアーがあります。今、ヒゲダンがライブに臨むにあたって、一番意識していることは?

歌のパワー、楽曲のパワーを生で感じてもらうことを第一に考えてます。今度のワンマンツアーに来てくれる人たちって、ライブに来るのが初めての人もきっといて、YouTubeとかサブスクリプションとかで楽曲を聴いてきてくださると思うので。そういうオーディエンスに向かって、その時にしか歌えない歌を歌うということが、最近一番意識していることですね。演奏も、踊りやすいようにBPMを上げたり、アレンジを変えたり、いろいろやると思います。僕の好きな、行ってよかったなって満足できるライブというのは、みんなで踊るところもあれば、バラードに浸るところもあって、きっと「LADY」はそうなると思うんですけど。みんなが参加するのと、しっかり届けるのと、どっちもやりたいですね。

──欲張りですね。

欲張りです(笑)。でもそれができるのが、ポップバンドだと思うので。そのへんは、バンドのライブというよりも、ソロシンガーのライブを参考にしてるところが多いかもしれませんね。aikoさん、秦 基博さん、Superflyさんとか。バラードも、手拍子する曲も、踊る曲もあって、そういうライブが僕は一番好きなんです。

 

■Tell Me Baby[Official Video]

 

■ブラザーズ[Official Video]

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