ヘクとパスカル(椎名琴音・桑原まこ・岩井俊二) アジア6都市で開催のツアー直前、3人にインタビュー!

インタビュー | 2018.05.15 18:00

映画監督の岩井俊二が率いるバンド、ヘクとパスカルのアジアツアーがスタートした。2018年5月6日に開催された大阪公演を皮切りに、中国・深セン、上海、香港、台湾を周り、6月1日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでファイナルを迎える。今回、彼らがツアーのリハーサルを行なっているスタジオを直撃。女優でシンガーソングライターの椎名琴音、作曲・編曲を手掛けるピアニストの桑原まこ、岩井俊二の3人に6都市に及ぶアジアツアーに挑む率直な心境を聞いた。
──日本で1月24日にリリースされた1stアルバム『キシカンミシカン(既視感未視感)』が台湾に続き、香港、シンガポール、マレーシアでも発売されることが決定しました。
椎名琴音私、インスタグラムですごく可愛い唄を歌う女の子を見つけて。香港の子だったんですけど、自分のインスタに“すごくいい”ってアップしたら、本人から日本語で“ありがとう”っていうコメントが返ってきて。そのあと、私が英語でこういう音楽をやってるんだよって、「fish in the pool」のPVを載せたら、“知ってる!聴いてます”って返ってきて。すでに「風が吹いてる」も『キシカンミシカン(既視感未視感)』も聴いてくれていたんですよ。自分が好きな人が自分の音楽を聴いてるのが嬉しかったし、国を越えたっていう実感もありましたね。メリーラムラムっていうアーティストなんですけど、香港のライブも来てくれるそうなので、会えるのがすごく楽しみです。

椎名琴音

岩井俊二僕の場合は、映画を観てくれてる人も多くて。自分の中では、日本というよりも、アジアっていう風に世の中を見ることが、普通の日本人よりは相当多いんだろうなって思います。アジアをここ30年くらい見てますけど、いまは文化的に日本と近づいて、ほぼ同じものを共有してるのかなって感じていて。例えば、僕らが1980年代にテクノサウンドに出会った頃、中国にはテクノはなかったけど、いまはジャズとテクノとヒップホップを同時に吸収してるところがある。そういうスパンで見ると、世の中がすごく劇的に変わって、価値観もどんどん変化していってる流れの中にいるけど、100年前にあったドビュッシーの音楽が今も変わらずに鳴っているし、僕の音楽に対する趣味嗜好も小学生の頃から変わってない。そこを信じてやりたいなって思いますね。自分たちの音が、どんな風に聴こえているのかはわからないけど、本当にこれからだと思う。音楽も映画も、どんどんケミストリーが起きていってほしい。やっとアジアが理想的な状態になってきた気がするので、これからいろんな文化の交流があって、どんどん面白くなるんだろうなっていう気がしますね。

岩井俊二

桑原まこ私はそういうことに一番疎いので、全然実感がないんですけど、SNSでの反響を見る限りでは、ま、嬉しいことなんだろうなって感じてます(笑)。

桑原まこ

──(笑)。2016年7月には中国5都市でツアーを開催しましたよね。5公演で4600人を動員したツアーでもアジア全域で人気を得ている実感はなかった?
桑原音楽をやるってことは、日本でもどこでも変わらなくて。だから、同じくらい楽しかったし、同じくらい大変だったし。でも、人はみんな優しいんだなって思いました。
椎名お客さんが温かかったですね。自分が覚えている日本語を言ってくれる人がいて。“ダージャーザンマイアイン”=“みなさん、どうですか?”って呼びかけると、だいたい、“ハオ”=“いいです”って返ってくるんですけど、北京では“優しい!”とか、“可愛い!”っていう声が上がって(笑)。知ってる日本語を大声で叫んでくれたのが嬉しかったですね。
岩井さんはギターのお披露目が16年の中国でしたよね。
岩井そうだね。あの時に人前で初めて弾いた。
──そうなんですか!? もともとバンドのギタリストだと思ってました。
岩井最初は、演奏には参加してなかったんですよ。曲を作ったり、作詞をしたりはしていたけど、基本的にはプロデューサー的な立ち位置にいて。若干、キーボードを触れるくらいだったんですけど、ギターはまったくのゼロから始めたんですね。ギターを練習したら、少し参加できるかなと思って。ユニットを結成して最初の2年はやってなくて。この1年で、どうにか参加できるようになってきた。まだ全然ですけど、ちょっとずつやるとうまくなるもんで。普通にみんなが通るFコードの壁を乗り越えて、だいぶ、大丈夫になってきましたね。
椎名“やっと部員になれた”って言ってましたよね。そんな気持ちだったんだなって思ったけど。
岩井ベンチを温めてたのが、少し試合に出られるようになって。中学校の頃、剣道部だったんですけど、最初の頃は補欠だったんですよ。スタメンになった時の嬉しい気持ちと似てますけど、本当に人生、何があるかわからないですよね。なんだかんだ言って、計画的にやってきた方だったんですよ。でも、ある段階から、予期せぬことをやったほうが面白いって考えるようになって。その中のひとつが、ヘクとパスカルかもしれないですね。これは想定してなかったなっていう人生ですね。
──中国公演のMCでは“W杯の選手の一員としてピッチに立ってる感じ”と言ってました。
岩井そうそう。なぜ俺が?っていう(笑)。それは夢で何度か見たことがあるんですけど、夢の中では、なんの喜びもない恐怖体験でしたね。有名な選手が蹴ってくるボールをどうしたらいいんだろうっていう夢でしたけど、最初はそれに近い感覚がありました。映画は自分ができることとしてやってるので、緊張はないんですけど、人前で演奏することは人生の中でやってきてなくて。そこに挑むって言うのは、相当な刺激でしたね。体の細胞が全部、1回、初期化されるみたいな快感がありましたね。
──恐怖を乗り越えて快感になった?
岩井両方ですね。音楽を作ることを含め、何かしらのものづくりをすることは映画にもすごい相乗効果をもたらすと思うんですけど、自分がパフォーマンスするってなると別の話で。映画でいうと、役者をやるのに近いことなんでしょうけど、どんな体験でも無駄なことはないので。ただ、これが、自分の人生の中でこういう意味があったのかって理解するには、まだ時間がかかる気がしますね。でも、それも後年のひとつの楽しみではありますね。

公演情報

ディスクガレージ公演

大阪、深セン、上海、香港、東京、台湾で開催!
アジアツアー2018「キシカンミシカン(既視感未視感)」

2018年5月6日(日) Soap opera classics【大阪 梅田】
2018年5月10日(木) 南山文体中心聚橙剧院【中国 深セン】
2018年5月13日(日) 海東方芸術センター【中国 上海】
2018年5月19日(土) MUSIC ZONE@EMAX(九龍灣展貿徑一號)【香港】
2018年5月26日(土) 台湾公演【台北】
2018年6月1日(金) duo MUSIC EXCHANGE【東京 渋谷】

チケット一般発売日:2018年4月22日(日)

RELEASE

「キシカンミシカン(既視感未視感)」

1st フルアルバム

「キシカンミシカン(既視感未視感)」

(REM/SPACE SHOWER MUSIC)

NOW ON SALE
  • 永堀アツオ

    ライター

    永堀アツオ

  • カメラマン

    西角郁哉

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