【ライブレポート】横浜アリーナに広がっていた、レキシでなければ広げられない幸福な空間。レキシの音楽やライブの底知れない楽しさや味わい深さを改めて考える

ライブレポート | 2019.02.28 19:00

レキシ TOUR 2019 まんま日本ムキシばなし
2019年1月22日(火)23日(水)横浜アリーナ

レキシの横浜アリーナ2DAYS。それはまるで、まだテレビが大衆娯楽として黄金の輝きを放っていた時代の音楽エンターテイメントを現場で体感しているような感覚さえ覚えるものだった。間違いなくレキシでなければ広げられない幸福な空間が横浜アリーナに広がっていたのである。両日ともに1曲目を飾った最新作『ムキシ』収録の「SEGODON」から幅広い世代のオーディエンスがメロディを口ずさみ、大笑いし、バンドのグルーヴに身を任せて踊りながら手に持った稲穂を揺らしているのだから、痛快だ。レキシのライブに触れた子どもたちにとってこの経験は間違いなく宝物のように記憶と感性に残るだろう。

楽曲と演奏のクオリティが異常に高く、そのうえで徹底的に遊ぶ。レキシ=池田貴史にはソウルミュージックやファンクなどのブラックミュージックに対する揺るぎない敬意と憧憬があるからこそ、日本の歴史や偉人をなぞらえるという設定をここまで独創的かつ突き抜けたコミカルさでポップに昇華できる。10年ほど前までは、ここ日本におけるブラックミュージックの受け入れられ方は今よりもずっとマイノリティだった。2007年にレキシが1stアルバムをリリースした当時も追い風が吹いていたわけではない。もっと言えば池田が永積 崇たちと組んでいたファンクバンド、SUPER BUTTER DOG(2008年に解散)もきっと今の時代であればもっとダイナミックな様相で多くのリスナーを惹きつけていたに違いない。しかし、池田はレキシの活動を通じてあくまで誰よりも自分が
黒い音楽を謳歌しようとし、音楽の底知れない楽しさや味わい深さを共有するようにして多種多様なシンガーやミュージシャンにレキシネームを名づけ、時代の風向きも味方につけてきた。そして、今では数えきれないほど多くのリスナー/オーディエンスがレキシの粋なエンターテイメントを享受している。

そういう意味でも、初日、4曲目の「Let’s忍者」で登場したシャカッチ(ハナレグミ / 永積 崇)が、続く「ペリーダンシング」のイントロでSUPER BUTTER DOGの「FUNKYウーロン茶」のフレーズを引用したときにはグッとくるものがあった。池田は「自分のところ(ハナレグミ)でできないことやって!」と茶化していたが、それもまたよかった。

横浜アリーナ公演に登場したゲストは、初日は前出のシャカッチ、「年貢 for you」で足軽先生(いとうせいこう)、「SHIKIBU」で劇団シキブ(八嶋智人)、アンコールの「GOEMON」でビッグ門左衛門(三浦大知)に扮した三浦やいち(やついいちろう)という布陣。2日目は本編中のゲストはなく、このまま客演なしでいくと思いきや、「GOEMON」で本物のビッグ門左衛門が登場。今や国民的シンガーになったと言っても過言ではない彼とレキシのパフォーマンス(ビッグ門左衛門はもちろん、池田のダンスもかなりキレキレだったことも特筆したい)を目撃したオーディエンスは、それこそ一つの歴史の証人になった。思えば、レキシと同じく三浦大知もここまで大きな支持を集め、日本の音楽シーンの中心で躍動するようになるまで決して平坦な道ではなかった。三浦も池田も最初から大衆を巻き込む可能性に満ちたその音楽的信念やパフォーマンスの求心力を曲げず、貫いてきたからこそ今がある。アウトプットの方向性が違う2人ではあるが、『ムキシ』のタイミングで、そして「GOEMON」という楽曲で交差したのは必然だったのだとステージを観ながらしみじみと感じた。あとは、そう、2人の共通点として池田も三浦もファンのみならず本当に多くのミュージシャンに愛されている。

「まんま日本ムキシばなし」というタイトルから誰もがわかる通り、今回のツアーは「まんが日本昔ばなし」をオマージュしていて、映像演出も豪華。オープニング映像から色黒ホモ・サピエンスことロバート・秋山竜次が稲穂の神様として登場し、池田との昔ばなしコントで会場の爆笑を誘い、2回目のアンコールが始まる前の映像では「まんが日本昔ばなし」のエンディングテーマである「にんげんっていいな」から、いいな=稲=I.N.A.=U.S.A.という方程式を無理やり導き、バンドメンバー総出演でDA PUMPの「U.S.A.」をサンプリングした「I.N.A.でダンス。強引だがレキシのルールでは完璧な伏線回収をしてみせた。あっという間の3時間。そして、終演後に残る不可思議で濃厚な多幸感。レキシの真髄をまざまざと見せつけられた横浜アリーナ2DAYSだった。

5月には北海道を皮切りに全国7都市9公演からなるホールツアー「特別公演〜豪華絢爛 レキシ歌絵巻〜」がスタートする。このツアーには、邪馬たいこちゃん(石川さゆり)、かんぱくん(さだまさし)、八百よろずや清之介(キヨサク from MONGOL800)、かえらの清盛(木村カエラ)、中のよしえの皇子(中納良恵 from EGO WRAPPIN’)、旗本ひろし(秦 基博)、シャカッチ(ハナレグミ)の参加が発表されている。絶対にありえないほど楽しいに決まっている。

<レキシTOUR 2019 まんま日本ムキシばなし> SET LIST

2019年1月22日(火)横浜アリーナ
1. SEGODON
2. なごん
3. 年貢 for you w/ 足軽先生 (いとうせいこう)
4. Let’s 忍者 w/ シャカッチ(ハナレグミ)
5. ペリーダンシング
6. KMTR645
7. SHIKIBU w/ 劇団シキブ(八嶋智人)
8. GET A NOTE
9. SAKOKU
10. 奈良に大きな仏像
11. KATOKU
12. きらきら武士
En1. GOEMON w/ 三浦やいち(やついいちろう)
En2. 狩りから稲作へ w/ 足軽先生(いとうせいこう)、やついいちろう
En3. マイ会津 w/ 足軽先生(いとうせいこう)、シャカッチ(ハナレグミ)

2019年1月23日(水)横浜アリーナ
1. SEGODON
2. なごん
3. 年貢 for you
4. Let’s 忍者
5. ペリーダンシング
6. KMTR645
7. SHIKIBU
8. GET A NOTE
9. SAKOKU
10. 奈良に大きな仏像
11. KATOKU
12. きらきら武士
En1. GOEMON w/ ビッグ門左衛門 (三浦大知)
En2. 狩りから稲作へ w/ ビッグ門左衛門(三浦大知)
En3. マイ会津

【バンドメンバー】
Gt:健介さん格さん(奥田健介 from NONA REEVES)
Piano&Cho:元気出せ!遣唐使(渡和久 from 風味堂)
Ba:パーマネント奉行(真船勝博 from FLOWER FLOWER)
Dr:伊藤に行くならヒロブミ(伊藤大地)
Sax & Flute: TAKE島流し(武嶋 聡)
Trumpet: 元妹子(村上 基 from 在日ファンク)

※2018年11月26日に本サイトに掲載しました「レキシ TOUR 2018 まんま日本ムキシばなし」中野サンプラザ公演のライブレポートにおきまして、一部記載内容に関して配慮不足がございました。お客様ならびに関係者の皆さまに深くお詫び申し上げます。ディスクガレージ DI:GA編集部

公演情報

ディスクガレージ公演

特別公演〜豪華絢爛レキシ歌絵巻〜

2019年5月5日(日) わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
ゲスト:中のよしえの皇子(中納良恵 from EGO-WRAPPIN’) / シャカッチ(ハナレグミ)

2019年5月7日(火) 東京国際フォーラム ホールA
ゲスト:邪馬たいこちゃん(石川さゆり) / かんぱくん(さだまさし)

2019年5月9日(木) 大阪・オリックス劇場
ゲスト:かえらの清盛(木村カエラ) / 中のよしえの皇子(中納良恵 from EGO-WRAPPIN’)

2019年5月10日(金) 大阪・オリックス劇場
ゲスト:邪馬たいこちゃん(石川さゆり) / シャカッチ(ハナレグミ)

2019年5月13日(月) 中野サンプラザホール
ゲスト:かえらの清盛(木村カエラ) / 旗本ひろし(秦 基博)

2019年5月15日(水) 愛知県芸術劇場大ホール
ゲスト:八百よろずや清之介(キヨサク from MONGOL800) / 中のよしえの皇子(中納良恵 from EGO-WRAPPIN’)

2019年5月17日(金) 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
ゲスト:八百よろずや清之介(キヨサク from MONGOL800) / かえらの清盛(木村カエラ)

2019年5月20日(月) 福岡市民会館
ゲスト:邪馬たいこちゃん(石川さゆり) / 旗本ひろし(秦 基博)

2019年5月21日(火) 岡山市民会館
ゲスト:八百よろずや清之介(キヨサク from MONGOL800) / 旗本ひろし(秦 基博)

チケット一般発売日:2019年4月13日(土)

愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」

2019年3月10日(日)〜2019年3月24日(日) TBS赤坂ACTシアター(東京)

2019年3月30日(土)〜2019年3月31日(日) オリックス劇場(大阪)

チケットの販売詳細はオフィシャルサイトにてご確認ください

※レキシの名曲で綴るミュージカル、レキシ本人の出演はございません

  • 取材・文

    三宅正一

  • PHOTO

    聖徳太郎

SHARE

レキシの関連記事

アーティストページへ