【ライブレポート】ぜんぶ君のせいだ。Zepp Tokyoワンマンで起こした革命の正体とは?

ライブレポート | 2019.01.25 18:00

“病みかわいいで、世界征服!!”をヴィジュアルコンセプトに掲げて活動する、4人組アイドルグループ、ぜんぶ君のせいだ。が、2019年1月20日に自身最大規模となるZepp Tokyoでのライブ<ぜんぶ君のせいだ。ワンマンLIVE〜革鳴共唱〜>を開催した。

2015年夏に結成し、メンバー交代を経験しながら、如月愛海、ましろ 、一十三四、咎憐无の4人体制となって約1年。この1年はメンバーの結束も意識もより強くなり、結成時からの目標である武道館公演の実現に向けて、アクセルを踏み込んだ時間となった。特に、昨年5月の渋谷TSUTAYA O-EASTでのワンマン<ぜんぶ君のせいだ。ワンマンLIVE〜ロマン無頼IZM〜>を前に、大きなステージで“魅せる”パフォーマンス面を改めてブラッシュアップし、翌月の初の対バンライブ企画では、オルタナティヴなロックバンドからメタルコアバンドまで、さまざまなアーティストと競演しながら、フロアを一体化するアグレッシヴなライブにも磨きをかけていった。充実した2018年を経て、2019年のはじめのライブとなるこの<革鳴共唱>は、ぜんぶ君のせいだ。にとって大事な、次のステップへの足がかりとなるステージとなる。

ステージ一面にかかった紗幕にオープニング映像が流れ、フロアを埋めた観客からの会場を揺るがすような歓声に迎えられて、4人が登場。“Zepp Tokyo、一緒に盛り上がってくれるかい”という如月愛海の声で、「うぇゆうぇゆうぉっ〜ヒネクレノタリ〜」でライブがスタートした。

如月愛海
ましろ
一十三四
咎憐无

ツアーをともにしてきたバンドとの息もぴったりで、4ヴォーカルのロックバンドのような迫力である。そしてステージにはコドモメンタルに所属する後輩たちが、パフォーマーとして先輩4人にエネルギーを送る。4人はのっけから、左右に長く伸びた花道に駆け出して最前線でコブシを振って観客を煽り、咎憐无の伸びやかなヴォーカルでスタートした続く「常花」では、ヘヴィなバンドサウンドとエモーショナルな歌で観客をグッと惹きつける。「WORLD END CRISIS」では一十三四がパワフルなシャウトを決め、如月愛海は前列の観客の腕を掴むようにしてフロアに身を乗り出していく勢いだ。ポップなラウドチューン「痛カルマバ○ス」で大きなシンガロングやヘッドバンギングを起こすと、序盤にして早くも2月リリースの新曲「ロマンスセクト」を初披露。ラウドなギターリフがフロアのテンションを上げ、新曲ながら反応は抜群だ。

短い自己紹介の後は、ぜんぶ君のせいだ。のスピリットを込めた「唯君論」でさらに熱狂を生んでいく。2018年の4thフルアルバム『NEODER NATION』に収録されたこの曲は、ぜん君。作品の中でもそれぞれのソロパートが長めに設けられた曲。それまでは1フレーズ、あるいは単語ごとでパッチワーク的に4人の声色を組み合わせて、エクストリームなスピード感や色とりどりでカオティックな印象を残す曲が多かったが、より一人ひとりの表現に特化した曲でもある。ライブを積み重ねてきたことでの歌うことへの自信や、それぞれの個性や役割が明快となってきたからこそ、生まれた曲だ。その大事な曲からスタートした中盤からは、さらにフルスロットルで突き進んでいく。

ちなみにぜんぶ君のせいだ。のライブでは、アイドルのライブでは定番のサイリウムはなし。観客がコブシを突き上げてコールをし、肩を組んでシンガロングしたり、またヘヴィな曲では観客がヘッドバンキングをするなど、まるでパンクバンドのライブ会場のような熱量である。女性のファンも多く、今回のライブでは花道の前に女性エリアがあって4人に大きな声援を送っている。

「オルタナティブメランコリー」や「ルーザーごすぺる」では、ステージから花道を駆け回りながらのパフォーマンスで、元気な観客の汗をどんどん搾り取っていき、場内にはもうもうと熱気が立ち込めていった。ステージの4人も、ここまでほとんどノンストップで走りまわり、踊り、歌を歌い続けているが、その表情は晴れやかで、観客を導いていく力強さがある。自身最大キャパの会場だが、ここは彼女たちにとって通過点のひとつであり、その先にもっと大きなヴィジョンがある。その意志をもって、ここに集った観客をすべて連れて一歩を踏み出していくんだという気迫が、その目に宿っていて頼もしい。

激エモな「独白園」から、4人のシャウトにフロアがもみくしゃになって反応する「みすふぃっとらゔぁーず」、そして“みんなの声、聞こえてます!”と一十三四が叫び「キミ君シンドロームX」から「歩兵ディストピア」へとボルテージを上げていき、ラストは如月愛海の“もっと声出せるよね。Zepp Tokyo、来いよ!”という声からカタルシスたっぷりに「Cult Scream」を響かせて、駆け抜けるようにしてそのステージを締めくくった。

観客が1stシングル「無題合唱」の大合唱を起こし、アンコールに立ったぜんぶ君のせいだ。の4人。それぞれこの日を迎えるにあたっての緊張感や不安を語りながらも、こうしてフロアを埋めた観客の顔を見て、“今日も革命が起こせると思った”と咎憐无は笑顔を見せ、如月愛海は“ぜん君。はここから変わるの。最後の最後の、最後までついてきて”と声をあげた。そしてアンコールの1曲目に選んだのは、昨年12月に緊急限定リリースされた「革鳴前夜」。4人の担当カラーでなく、全員が真紅の真新しい衣装に身を包んで歌った「革鳴前夜」、そしてぜんぶ君のせいだ。の初期からの定番曲「僕喰賜君ノ全ヲ」や「無題合唱」を披露し、この後も2度目のアンコールに応えて、本編と合わせて全25曲を歌い切って、美しい汗で光る笑顔を見せてくれた。

なお、Wアンコールでは、4月28日に初の日比谷野外音楽堂でのワンマン<ぜんぶ君のせいだ。単独公演〜声高EX少数派〜>を行うことが発表された。インディペンデントでオルタナティヴな挑戦者として、ぜんぶ君のせいだ。の快進撃は止まらない。

SET LIST

01. うぇゆうぇゆうぉっ~ヒネクレノタリ~
02. 常花
03. WORLD END CRISIS
04. 痛カルマバ◯ス
05. ロマンスセクト
06. 唯君論
07. オルタナティブメランコリー
08. メスゲノムフェノメノン
09. ルーザーごすぺる
10. FAIRY TALE FANTASY
11. 独唱無題
12. 君想ゐ花散りぬ
13. 独白園
14. みすふぃっとらゔぁーず
15. キミ君シンドロームX
16. 歩兵ディストピア
17. Cult Scream

ENCORE
1. 革鳴前夜
2. ShitEndプラシーボ
3. やみかわぐんぐんか
4. せきららららいおっと
5. 僕喰賜君ノ全ヲ
6. 無題合唱

W ENCORE
1. Sophomore Sick Sacrifice
2. ねおねおじぇらすめろかおす

  • 取材・文

    吉羽さおり

  • 撮影

    関上貴也(コドモメンタル INC.)

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