赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学夏期講座 7/29(金)斉木しげる先生

ライブレポート | 2016.08.16 20:00

斉木しげる

赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学夏期講座
2016年7月29日(金) 虎ノ門講堂(ポニーキャニオン本社)

昨年から今年にかけて、ライブイベントや美術展や映画公開など、さまざまな催しが行われている「赤塚不二夫生誕80年」。その中で行われている、さまざまな分野の第一線で活躍する著名人が講義をする企画『バカ田大学』。
当DI:GA onlineでは、昨年暮にも、2015年12月5日(土)に東京大学本郷キャンパスで行われた安齋肇先生の講義『ちこくでいいのだ』のレポートをアップしたが (こちら http://www.diskgarage.com/digaonline/liverepo/232)、今年の夏にも「夏期講座」が始まったので、さっそくまた講義を受けてきました。
2016年7月29日金曜日、場所は今回は虎ノ門講堂(ポニーキャニオン本社。『バカ田大学講義集DVD』の発売元だからだと思います)、講師は斉木しげる先生。

斉木しげる

拍手の中登場するなり、「都知事選の応援演説を頼まれたのに、候補者が3人とも来ない。マック赤坂とあとふたり」などとしばらく話したあと、「……え?今日、コントライブじゃない?失礼しました」とひとりでしめくくる。
そして、自分はマンガが好きで60年読んでいること、子供の頃レレレのおじさんは杉浦茂の『猿飛佐助』のパクリだと気づいた、目とポーズが同じだったからだ、そしてそれから30年経って赤塚不二夫本人が「あれは『猿飛佐助』へのオマージュだった」と明かした、大学の時に「マンガは文化だ!」と思った──というような話を滔々と述べてから、「……長くなるね。本当はここまでで1分の予定だった(※7分以上経っていた)」。受講者一同、「え、今の前フリだったの!?」「まだ本題に入っていなかったの!?」と、混乱する。

ただ、そこからはちょっと、いや、かなり「聴けてよかった」と素直に思う、レアで濃い話が続いた。1979年、30歳の時に大竹まこと・きたろうとともにシティボーイズを結成してからの歴史を振り返りながら、時代時代でどのように笑いを作ってきたか、どういう時代にどういう場所でどういう笑いが受け入れられてどういう笑いが通用しなかったか、というようなことをテーマに、話が進んでいく。
役者と芸人の間、お笑いと芝居の間みたいなスタンスだったシティボーイズは、当時異端だった、という話には、「確かにそうだ」と得心が行った。80年代末期から90年代にかけて、劇団も笑いの領域に踏み込むようになった。その先駆者は確かにシティボーイズであり彼らと宮沢章夫が組んだラジカル・ガジベリビンバ・システムだったなあ、と思い出したりした。
そして、それらの話の間に、昔自身が行ったひとりコントの映像の披露や、「『天才バカボン』を実写化するなら俳優はこの人」というパネルトークなどもあり。

斉木しげる

最後には、話は「笑いの価値」にまで及んだ。そもそも笑いとはなんなのか、なぜ我々は笑いを必要とするのか、という、極めてディープな話。
笑いで、敵意や悪意を捨てられる。
斉木先生の言葉から、結論だけつまんで引用すると、そういうことだった。こう書くと簡単に見えるかもしれないが、でもこれ、本当にいろんなことを表している言葉だと思った。
その上で、「最近役者としてオファーが、まじめな仕事ばかりで困る」「もっと笑いがやりたい」「倒れるまでやりたい」「だから最近、(旧友である)風間杜夫と『90すぎまで生きよう、舞台をやろう』と言っている」という言葉で、講義は終わった。
なんだ。すごくいい話を聴いちゃったじゃないか。そんなつもりで来たんじゃないのに。もっとこう、脱力しつつヘラヘラ笑わされるみたいな講義かと思って足を運んだのに。上方修正的に期待を裏切られました。

この『バカ田大学夏期講座』、以降は虎ノ門講堂もしくは桑沢デザイン研究所で、タナカカツキ、田原総一朗、しりあがり寿、細川徹、ETT(江口寿史、大地丙太郎、田村信)、井筒和幸、コシノジュンコを講師に招いて、9月下旬まで行われる。

赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学夏期講座

<受講スケジュール>
■8月19日(金)タナカカツキ
会場/虎ノ門講堂(ポニーキャニオン本社)開演/19:00(開場/18:30)
■8月22日(月)田原総一朗
会場/桑沢デザイン研究所 1階 開演/19:00(開場/18:30)
■8月24日(水)しりあがり寿
会場/虎ノ門講堂(ポニーキャニオン本社)開演/19:00(開場/18:30)
■9月9日(金) 細川徹
会場/虎ノ門講堂(ポニーキャニオン本社)開演/19:00(開場/18:30)
■9月13日(火)ETT(江口寿史、大地丙太郎、田村信)
会場/桑沢デザイン研究所 1階 開演/19:00(開場/18:30)
■9月16日(金) 井筒和幸
会場/虎ノ門講堂(ポニーキャニオン本社)開演/19:00(開場/18:30)
■9月29日(木) コシノジュンコ
会場/虎ノ門講堂(ポニーキャニオン本社)開演/19:00(開場/18:30)
※受講者全員にオリジナルノート付

→赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学夏期講座 オフィシャルサイト

バカ田大学 ライブレポート

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→赤塚不二夫生誕80年企画「バカ田大学」 2016年12月5日(土)「ちこくでいいのだ」安齋肇先生