Mom、最高にデトックスしたレコ発!chelmicoを迎え、あの名曲カバーも

ライブレポート | 2019.06.21 15:00

Mom 2nd album RELEASE PARTY
2019年6月14日(金)Shibuya WWW

“クラフトヒップホップ”を提唱し、作詞・作曲、アレンジ、ミックスのほか、ジャケットのアートワークなども手掛ける注目の新人アーティスト、Mom(マム)。そんな彼がゲストアクトにchelmicoを迎え、2ndアルバム『Detox』のリリース記念イベント『Mom 2nd album RELEASE PARTY』を6月14日(金)に渋谷WWWで開催した。

チケット完売で場内がパンパンに埋まった中、まずはRachelとMamikoからなるラップユニット、chelmicoがステージへ。お馴染みのTOSHIKI HAYASHI(%C)をバックDJとして引き連れ、白のTシャツにジーンズというカジュアルな出で立ちで現れた彼女たちは、風貌そのままにハツラツとまだ大人しいフロアーに活を入れ、タオル回しありのパーティーチューン「Player」、国民的CMソングをリニューアルした「爽健美茶のラップ」で一気にオーディエンスのハートを掴む。“今日は本当に楽しみだったよね。Mom大好きだから!”(Rachel)“ね。「スーパースター」が好き。分かる!?《転がる石にはなれそうかい?》ってやつ”(Mamiko)とMomトークを挟みつつ、テレビ東京系ドラマ『四月一日さん家の』オープニングテーマになっている新曲「switch」もキュートな振付とともに披露した。

インディーズ時代の「Honey Bunny」「ずるいね」などをアンニュイにしっとり聴かせたドリーミーな展開を経て、後半はリリースパーティーらしくハッピーに加速! Momも大好きだという夏向きナンバー「Highlight」、《おめでとう》の歌詞に乗せてこの日を華々しく祝った「OK, Cheers!」、《愛したい 恋したい でも愛されたい》のコール&レスポンスも鮮やかに決まった「Love is Over」と、最後まで自由気ままなキャラクターを活かしてエネルギー満点のパフォーマンスを繰り広げたchelmicoは、素晴らしいムードを作って主役のMomへとつないだ。

Rachel

Mamiko

転換タイムに観葉植物やオブジェランプなどのインテリアで彩ったステージセットへと変わり、nasthug(DJ)と堀 正輝(Dr)を従えていよいよMomが登場。「プライベートビーチソング」のイントロで“どうもMomです”と挨拶すると、フロアーからは大きな歓声が上がり、“ここで沸くんかい!”と照れながら嬉しそうな表情を見せた。《僕のため息が世界を変える 一番ユニークな策なのさ》と歌う「Boys and Girls」で自分の内面を吐き出し、「That Girl」ではハンドクラップを巻き起こすオーディエンスに“やるじゃん”と呼び掛けたり、序盤こそ緊張した様子だったが、彼がとても血の通ったライヴをやりたがっているのが伝わってくる。

Mom

“長い尺のライヴって今まで機会がなかったんで、何を喋っていいか全然分かんないし、人が多すぎてすごくビクビクしてるんです。これだけの人に見られてるのは怖いことですよ。でも、ちょっと快感だったりもしますね。ありがとうございます、本当に”と飾らずに胸中を明かす22歳のMom。ギターを弾こうとしたらアンプから音が出ない、そんなトラブルさえも初々しく映る。とはいえ、中盤以降はじわじわと自分のペースにリカバー。「スーパースター」「タクシードライバー」の頃には、彼をひと目見ようと集まった若者たちが無垢にリズミカルに行き交う歌とラップ、MacのGarageBandで編まれたオルタナティブかつローファイなサウンドに酔いしれ、夢心地で身体を揺らしている。

とりわけ印象深かったのが、なんの前触れもなく不意に披露されたザ・スパイダースのカバー「なんとなくなんとなく」。ゆったり幸せが感じられるこの曲をポンとチョイスするところに、しかもエレキギター1本で弾き語るあたりに、Momの人柄や嗜好が表われている気がしたし、ラスサビをアカペラで挑む瞬間が実にエモーショナルだった。そして、環境音トラックに乗せて、ギターを弾きながらラップをしながらヒップホップ愛を歌う「シングストリート」もやはり、“ラッパーでもバンドマンでもない”と謳うMomらしさが際立つシーンだったように思う。

“みなさん、本当にいつも温かくてね。ありがとうございます。ハツラツと喋れなくて、こういうスタンスでしかできないんですけど、頑張れ~!みたいな感じで観てくれて嬉しいです”と気恥ずかしそうにしながらも感謝の言葉を述べたMom。もしかしたら、ここに集まったファンも彼と似たような性格の人が多いのかもしれない。本編ラストはフォーキーなメロディーと歌心あふれるヴォーカルが心地良い「卒業」で堂々と締め、満員の観客を大いに沸かせた。

アンコールでは、“少し叫び足りないですよね? みんなで声を荒げ、拳を高く突き上げて、一緒に歌おうじゃないですか!”と「Boyfriend」を投下し、ファンとの交歓を重ねて楽しんだMom。さらに、chelmicoを迎えてブラックビスケッツの「Timing~タイミング~」をデュエットしちゃうサプライズまで飛び出した。“chelmicoに喰われる、ヤベェ!”と言いながらも笑顔が止まらないMomにノリノリで歌うchelmico、そして盛り上がりまくるオーディエンスを見れば、もはや一目瞭然。今回のリリース記念イベントは、集まった人たちが存分にデトックスできた一夜となった。

SET LIST

【chelmico】
01. Player
02. 爽健美茶のラップ
03. switch
04. Honey Bunny
05. Timeless
06. ずるいね
07. Highlight
08. OK, Cheers!
09. Love is Over

【Mom】
01. 6
02. プライベートビーチソング
03. Boys and Girls
04. That Girl(better mix)
05. いたいけな惑星
06. スーパースター
07. タクシードライバー
08. なんとなくなんとなく(ザ・スパイダース)
09. シングストリート
10. ひみつのふたり
11. 東京
12. 卒業

EN
01. Boyfriend
02. Timing~タイミング~(ブラックビスケッツ)

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