Caravan。15周年・祝祭。幸福な時間に包まれた野音。

ライブレポート | 2019.07.08 19:00

Caravan 15th Anniversary Special -TRES- “Hello New World”
2019年6月29日(土) 日比谷野外大音楽堂

2019年6月29日土曜日、Caravan、2年ぶりの日比谷野外大音楽堂。本人にとって毎年恒例にしたいほど大好きな会場でのワンマンであること、でも人気が高くて毎年押さえるのが難しいので、運良く取れた年はここでやる、取れなかった年は別の場所で何かやる、という具合になっていることを、ファンもみんな把握している、そんな大事なライブである。
後方の立ち見スペースには、この日この場所限定で先行発売されたニューアルバム『The universe in my mind』を求める人たちが、長い長い行列を作っている。空は曇天だが、雨は数時間前に止んだ。

17:35、BGMが大きくなったと思ったらフッと止まり、いつものSEが流れてメンバーが現れ、最後にCaravanが登場、笑顔で右腕を突き上げて一礼。日比谷野音が大きな拍手に包まれるが、誰も席を立たないし、急いで席に駆け戻る人もいない。売店でお酒を買ってきた人たちはゆっくりと階段を下りながら拍手、物販に並んだ人たちは並んだまんまでステージに向かって手を叩いている。というこの感じ、Caravanとそのファンらしくていいなあ、と思う。熱心じゃないからそういうリアクションになるのではない。一生離れないくらい熱心なんだけど、こういう温度なのだ、態度としては。
なお、メンバーは、キーボード堀江博久、ペダルスチール宮下広輔、ベースCurly Giraffeこと高桑圭、ドラム椎野恭一という、おなじみの、かつ鉄壁の布陣である。

1曲目を「Stay」で始めたCaravan、歌い終わって「台風ができた、ときいた時は『終わったな』と思ったんですけど。毎年ヒヤヒヤですよ」と天候を心配し、2曲目に早くも代表曲中の代表曲「Wagon」を持ってくる。ほぼCaravanの弾き語り状態で1コーラスが終わり、バンドの音がドーンと入るところで、ワーッと歓声が上がってハンドクラップが大きくなるが、みんなまだ立たない。次の「Trippin' Life」で、がまんできなくなった人たちがパラパラと立ち上がり始める。歌の最後のブロックの「左手にピースサインと右手に握り拳を」のところでは、立っている人も座っている人もピースサインと拳骨を突き上げた。Caravanのハーモニカが響く。

「この天気はこの天気で、気持ちいいと俺は思っていて。恵みの雨だと思っていて、これはこれで楽しみたいと思います」
「15年くらい前は、俺はスーパー雨男で、福岡のフェスで俺の40分だけすごい雷雨で、しまいには『Caravanが来ると雨が降る』っていやがられるようになって」
というMCからの5曲目「ハミングバード」が始まると同時に、まるでその言葉に呼応したかのように雨が降り始める。それぞれニヤニヤしながらカバンをガサゴソやり始めるオーディエンス、曲が終わった頃には全員が雨具を着終わっていた。「みなさん、さすがですね。野外慣れしていらっしゃる」と感心するCaravan。確かに野外慣れしているけど、Caravan慣れもしているんだと思う。
続く6曲目「Lonesome Soul Survivor」あたりから、日没が進んでほどよく照明が効き始める。お客さんと一緒に乾杯、をはさんでの7曲目「Soul Music」で、バンド・サウンドが一気にぶ厚くなり、立ち上がる人がさらに増える。次の「Simple」では宮下広輔、フライングV型のスチールギターでソロを決めた。

宮下広輔(pedal steel guitar)

高桑 圭(ba) , 椎野恭一(dr)

堀江博久(key)

ここで、今日この場で先行リリースしたニューアルバムの話を少し。前作は華やかだったけど、今回は自分の部屋の中、自分の心の中というイメージで作った──という言葉から、弾き語りのコーナーへ。
ニューアルバム収録曲で、先に配信リリースした「革命前夜」、そして同じくニューアルバムから「1000の言葉より」。お酒を飲みながらワイワイ楽しむ人が多いCaravanのオーディエンスだが、このブロックはステージに向ける集中力がすごい、みんな。「1000の言葉より」は、Caravanがイントロをやり直したのだが、その時だけ緊張がフッと切れ、笑いが広がった。次の、宮下広輔を呼び込んでふたりで演奏した「I’m a Believer」で、新曲弾き語りコーナーが終わる。

「何回もやってきたけど、野音はいろいろあった。地震来た時もあったよね」。ああ、あった! 忘れてたけどあったわ、3・11のあとだったからけっこうビビったわ、そういえば。と、こっちも思い出す。
「最初にこの曲を野音でやった時は、感極まって歌えなくなってしまった。その曲をやります。最初のCDの1曲目です」と「Feed Back」をじっくりと聴かせるCaravan。曲の途中からメンバーが入ってきて、2サビからバンドサウンドになる。「Heiwa」「アイトウレイ」と、アップテンポな代表曲が続いたここのブロックで、全員が立ち上がった。

「今日来てくれたみなさんに捧げたい。“仲間たち”というニュアンスの言葉です」と「Folks」。そして「ひとりで何ができるだろうと思って始めたけど、ひとりじゃ何もできなかった、チームCaravan最高です!」「野音って時間の感覚がおかしくなるというか、時空が歪む。もう最後の曲になってしまいました」という言葉から歌われたのは、「Magic」だった。「I know,I know the Life is magic」「the Life is Beautiful」という、確信のような祈りのようなラインが野音を満たし、本編が終了する。

アンコールを求める拍手に応えて出てきたCaravanの「いやいや、雨やまなかったね」という言葉に、みんなフッと笑う。あきらかにオーディエンスよりもCaravanの方が、天気のことを気にしている。
毎年秋恒例のワンマンを、9月28日渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行うことと、『The universe in my mind』が一般発売になるのは8月か9月になることを告知してから、「ちょっとさ、みんなでキャンプでもしてるつもりで。みんなの声を聴きたい」と、Caravanひとりによる「Camp」からスタート。みんな頭からシンガロング、曲の後半ではギターがCaravanでボーカルがお客、という状態になる。

メンバーを呼び込み、「夜も更けてきたんで、夜っぽい唄を聴いてください」と「Stay with me」、オーディエンスにハンドクラップを求め、それに合わせてギターを弾き始めた「Key of Life」、と続いていくアンコール。「15年前には、こんな未来が待っているとは思っていなかった」とオーディエンスに感謝を伝え、「これからもどうなるかわかんないけど、Caravanを続けていきます」と決意表明してから歌ったラスト・チューンは、2007年のアルバム『Panorama Vision』の最後に入っている「Silent Screamer」だった。
「静寂と喧騒にくたびれて僕は旅立つ 群集をそれ風に乗る 翼を広げて サイレントスクリーマー」
「サイレントスクリーマー 歌いだすよ 終わる事のない希望の歌を世界に サイレントスクリーマー 君もそうさ ただ心のまま消えて行く為に」
という、何かもうどうしようもなくCaravanらしいリリックが響き、この幸福でせつない時間は終わった。

終演後の物販にも、『The universe in my mind』のために、長い長い行列ができていた。ここに来た人のほとんどが買って帰ったんじゃないか、と思うほどだった。

SET LIST

SE: Blessing
01. Stay
02. Wagon
03. Trippin’Life
04. Good Morning
05. ハミングバード
06. Lonesome Soul Survivor
07. Soul Music
08. Simple
09. 革命前夜
10. 1000の言葉より
11. I’ m a Believer
12. Feed Back
13. Heiwa
14. アイトウレイ
15. その瞬間
16. Folks
17. Magic
EN
01. Camp
02. Stay with me
03. Key of Life
04. Silent Screamer

Caravan / 革命前夜【MUSIC VIDEO】

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